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在韓米軍司令官が「上下逆さまの東アジア地図」を持ち出したわけは

登録:2025-11-18 06:31 修正:2025-11-18 07:42
在韓米軍が今年から内部教育用に使用する上下がひっくり返った東アジア地図=在韓米軍提供//ハンギョレ新聞社

 ザビエル・ブランソン在韓米軍司令官(陸軍大将)が上下逆さまの東アジア地図を掲げ、中ロけん制において朝鮮半島の持つ戦略的価値と在韓米軍の役割を強調した。

 ブランソン司令官は17日、在韓米軍ホームページに掲載した文で、韓国・日本・フィリピンの三角協力の潜在力と、朝鮮半島の位置が東海および西海でロシアと中国の軍事活動を困難にしていることを、上下逆さまのこの地図が視覚的に示していると綴った。地図には在韓米軍司令部がある京畿道平沢(ピョンテク)のキャンプ・ハンフリーズを基準に、台北(1425キロ)、マニラ(2550キロ)、北京(985キロ)、東京(1155キロ)、平壌(ピョンヤン・255キロ)、ウラジオストク(805キロ)までの直線距離が表記されている。北朝鮮を抑止するための「朝鮮半島に定着した軍隊」を超え、中国、東アジアまで(その役割を)拡大していこうとする在韓米軍の意志を視覚的に示している。同地図は昨年末に赴任したブランソン司令官の指示で製作され、今年から在韓米軍の教育に使われている。

 文中でブランソン司令官は、中国の1次海上防衛線であり米国の対中国封鎖線である「第1列島線」(九州-沖縄-台湾-フィリピンをつなぐ仮想の線)に言及し、「在韓米軍はもはや(有事の際に)増員が必要な『遠距離前進基地』ではなく、危機あるいは有事の際に米国が突破しなければならない防御膜の内部にすでに位置している兵力」だと主張した。朝鮮半島の位置がロシア海軍の東海進入を制限し、中国陸軍と海軍の西海側の活動を困難にするという点も強調した。特に「北京」の視点から見ると、烏山(オサン)米空軍基地は遠く離れた脅威ではなく、中国周辺で直ちに作戦効果を発揮できる近接戦力だと述べた。

ザビエル・ブランソン在韓米軍司令官が8月8日、京畿道平沢のキャンプ・ハンフリーズ在韓米軍司令部で韓国国防部記者団と質疑応答を行っている=在韓米軍司令部提供//ハンギョレ新聞社

 韓国・日本・フィリピンの「三角協力構図」が持つ戦略的意味も強調した。ブランソン司令官は「この地図で最も印象的な洞察は、韓国と日本、フィリピンを繋ぐ『戦略三角形』の登場」だとし、「韓国は地域の中心部で戦略的縦深(作戦の範囲や深さ)を提供し、日本は先端技術力と太平洋海上交通路を統制できる海上地点を保有しており、フィリピンは南側通路と太平洋とインド洋の連係海上路を確保することで作戦の接近性を提供する」と説明した。

 ブランソン司令官は「中国に対する集団防衛体制を構築するという意味か」という国防部担当記者団の書面質問に対し、「新しい同盟を作ろうとすることでも、特定の国を狙うことでもない」とし、「従来の地理的関係を認識し、協力できる実用的な案を探そうとする試み」だと答えた。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1229642.html韓国語原文入力:2025-11-17 20:56
訳H.J

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