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中産層 没落もたらした‘悪魔のアパート マトリックス’

登録:2010-07-17 10:39

原文入力:2010-07-16午後07:31:35(3565字)
下流層に転落した‘家ある貧乏人’アパート狂風の犠牲 少なくとも198万世帯
政府・言論・資本が結集した網‘投機達人’に陥って蟻たちだけが残る

ハン・スンドン記者,カン・ジェフン記者

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<ハウス プア-高い住宅に住む貧しい人々>キム・ジェヨン著/ザ・ファクト・1万3000ウォン

いくら働いても絶対貧困のくびきを抜け出すことはできない人々をワーキング プア(working poor)と言うならば、今度は‘ハウス プア’(house poor)という言葉が登場した。‘家を持つ貧しい人々’を示すが、韓国で家を所有するということは中産層か否かを分ける一つの指標であるのに一体どういうことなのか?

<ハウス プア-高価な家に住む貧しい人々>

<文化放送>(MBC)‘PD手帳’キム・ジェヨン プロデューサーが書いた<ハウス プア>を見れば、ハウス プアとは、文字通り家を持つ貧しい人々ではなく、家を持ったために貧しい人々だ。この時‘家’は主にアパート、それも相対的に高価なアパートを示す。したがってハウス プアとは主に金を借りてでも、より良いアパートを無理に購入し平穏だった日常を破壊された人々、‘アパートを持たない中産層からアパートを持つ下流層へ’転落した人々だ。

もしかしたら、すでに陳腐な談論かもしれないこのハウス プアを具体的事実で実証すること、そして主にアパートブームに寄り添った韓国不動産バブルと家計負債および国家不健全の程度がどれほど眩暈のするほどの水準なのか、そしてそれを抑えるどころかむしろ煽っている政府政策と建設会社と金融業者、報道機関と不動産業者らが組んだ きらびやかな不動産マトリックスがどれほど無責任で危険なものかを冷やりと体感させること、それが<ハウス プア>の最大長所だ。

2006年中盤、109㎡(33坪)アパートが6億ウォンを越え7億ウォンに向かって行った時期、さらに上がるだろうという夢を見て4億ウォンを越える金を借り盆唐新都市に家を買ったキム氏。半年でアパートの言い値が1億ウォン以上騰がり胸がときめいたが、2008年9月以後 下がり始め5億ウォン台までに落ち、そのうえ買い傾向もぴったり途絶えた。資産価値下落で2億ウォン、銀行利子と取り引き費用で1億ウォン以上を失った。機会費用と心身苦痛などを考慮すれば損失は計測不能。500万ウォン余りの給料の中から毎月300万ウォン程度を借金元利金として出さなければならない大企業中堅幹部キム氏は「銀行の賃借人であり家の奴隷」になり、家族の人生は見た目とは大違いのものになった。

こういうハウス プアがいったいどれくらいいるだろうか? ソウル 江南の銀馬アパート4424世帯、板橋900余世帯の登記簿謄本を調べてみると、金を借りてアパートを買った世帯比重は70%内外。これを土台に2006年から2010年3月まで借金をしてアパートに住んだ首都圏と全国の所帯数を推算すると各々71.3万,159.5万世帯であった。これらが広い意味でハウス プアに含まれる可能性がある。ここには新規分譲アパート取り引きは含まれていない。国土海洋部の住宅建設許認可実績という資料を同じ方式で分析すれば、2007年下半期以後 分譲物件を申込みした新規分譲所帯数中ハウス プア範疇に入る所帯数は首都圏と全国で各々23.7万戸、38.5万戸。2007年以後、龍仁、一山、金浦、坡州、仁川、松島および永宗島などでアパートを譲り受けた世帯の大部分がこの範疇に入る。

したがってこれらを合わせたハウス プアは首都圏95万世帯、全国的には198万世帯に達する。この数値は地方の場合、すでに2004~5年頃からアパート価格上昇が止まり、単独住宅とテラスハウス売買はこの推算から抜け出ているということ、そして推算に使った売買価格が額面価という点などを考慮すれば、非常に保守的に捉えたものだ。アパート額面価がそのまま維持されるとしても2006年以後の物価上昇率約15%を勘案した実質価値はそれだけ落ちたことになり、ここに機会費用と手数料と税金などの取り引き費用まで考慮すればアパート価格が20~25%は上がってこそ損害をこうむらない。したがって2006年以後に金を借りて家を買った人々の中で住居価格が少なくとも20%以上上がることが出来ない場合もハウス プア範疇に入ることができる。
韓国アパート神話の頂点 ソウル 江南の再建築アパート、その中でも一番てっぺんびあたる大峙洞,銀馬アパート登記簿謄本を開けてみると、2010年購入者の居住実績率は11.4%にしかならなかった。大部分の取り引きが実際に住むこともないのに相場差益を狙った投機目的で行われているという話だが、購入者の70%ほどが借金し平均金融負債は約3億ウォンだった。10億ウォンの銀馬アパート一戸を買う時、自己資金3億に4億ウォンの住宅保証金を抱え、銀行から3億の融資を受けて買うのが典型的な投資方式。ところで2010年5月現在、銀馬アパート112㎡(34坪)は10.5億ウォン、102㎡(31坪)は8.8億ウォンだ。2006年には各々14億ウォン、11.3億ウォンまで上がり、2008年末には9億ウォン、7.7億ウォンへ急落したし、再び上がってきたが、2006年に買いとった人は各々5億ウォン、3.6億ウォン損害をこうむり、今もまた2.8億ウォン、2.1億ウォン程度に損失を多少挽回したわけだ。ソン・デイン キム・グァンス経済研究所副所長はあれこれ確かめてみても銀馬アパートが今後6年間に価格が現状維持だとか下がっていく場合は言うまでもなく、30%以上上昇しても再建築が正常に推進されえない可能性が高いという。

ところで、このように窮地に追い込まれた購買者たちは大概 終列車に乗った人々だ。情報が生命の再建築事業の最高受恵者たちの中の一部類が高位公務員たちだ。今まで財産公開をした高位公職者3400人余りの財産をデータベース化し分析してみると、江南3区再建築アパートを所有した前現職1級以上公職者は約10%にあたる317人。李明博政府人事聴聞会にぞろぞろ登場した、ほとんど例外がないほどの不動産投機達人らを思い出してみなさい。彼らの中には財政経済部第2次官を務めたクォン・テシン、去る16日に大統領政策室長に任命された前国税庁長ペク・ヨンホ、建設交通部1級公務員を務めた国会議員カン・キルブ(蔚州郡)氏の子息なども含まれていると本は明らかにした。ところで、2003年まで続いた高位公職者の江南再建築アパート買い傾向は2004年から大きく減った。投機の達人たちは、すでにその時から江南で不動産投機で大金を儲ける機会は消えたということを知っていたのだ。

それでは誰がこの悪魔のマトリックスを組んでいるのか? 相変らず輸出だけが生きる道として大企業、土建事業中心政策を展開し、当面の成長と景気浮揚に没頭する政府、略奪的な家計不動産担保貸し出し中心の小口金融で大きな利益を得た銀行など金融会社、そして先分譲制で土地を掘って泳ぎながら政界の金脈となり高位官僚らの未来職場となった建設業界、これら鉄の3角同盟に投機扇動を通じた広告物量増大に命をかける報道機関と各種不動産関連研究所ら、投機斡旋業者らが加勢している。ここにひたすら自分の家族だけの財テク大当たりを夢見て、灯りに群がる蝶のように飛び込む一般購買者たちも見逃すことはできないが、悪魔のマトリックスの中に追い込まれた彼ら各自に責任をおっかぶせることはできない。

既存住宅だけに総負債償還比率(DTI)規制をすることで分譲住宅を買うよう誘導し、実需要者ではない多住宅保有者らが思う存分に買って金を儲けさせ、総合不動産税廃止と譲渡所得税減免という特典まで抱かせるアパート バブルで韓国経済を危機に追い込む主犯は、まさに政府だとホン・ジョンハク暻園大教授は指摘した。それにしても私教育と土建事業に没頭する低出産高齢化社会で将来アパート投機で大きな利益を得る可能性はますます希薄だ。三角同盟が組みあげたマトリックスにこれ以上だまされるなという話だ。

文 ハン・スンドン先任記者 sdhan@hani.co.kr,写真 カン・ジェフン先任記者 khan@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/430704.html 訳J.S