原文入力:2010-07-11午後08:12:59(2258字)
新興国に ‘資本統制’ 勧告
クォーター調整など改革推進
12日から大田でコンファレンス
米国同意なしには変化 不可能
ドル体制 脱皮も困難
アン・ソンヒ記者
←IMFクォーター変化 推移
"国際通貨基金(IMF)創始者たちが想像した私たちの姿は世界の‘最終ボス’(=中央銀行)だった。" ストゥロス カンヌ国際通貨基金総裁が昨年10月、国際通貨基金年次総会基調演説でした話だ。 ‘米国財務部の下手人’、‘ウォールストリートの手足’ という非難を受けてきた国際通貨基金が、グローバル金融危機を体験して ‘世界の中央銀行’ に一歩近寄るための変身を試みている。クォーター(持分)調整等を通じて、新興国の声を反映する一方、貸し出し制度を改善し外国為替危機を事前に予防する役割をすると自任して立ち上がった。 だが、相変らず米国が拒否権を行使できる意志決定構造を脱離することができなければ基金の変身には限界があるといわざるを得ないという懐疑論も侮れない。
■米国・金融資本 利害関係を代弁
1944年に作られた国際通貨基金は、世界銀行、世界貿易機構(WTO)とともに戦後資本主義体制を支えた ‘鉄の3角軸’ と呼ばれる。
基本的な機能は会員国が常に資金を集め財源を用意しておき、緊急資金が必要な会員国に貸し出しをすることだ。 新自由主義が広まった1980年代以後には米国と金融資本の利害関係を露骨に代弁しているという批判を受けてきた。
外国為替危機が発生した国が救済金融を要請すればドルを貸す代わりに苛酷な構造調整、高金利、財政緊縮、民営化、規制緩和などを条件に掲げた。 国際通貨基金が道を整えておけば先進国金融資本が入り、安値で企業、銀行、不動産などを買い入れ利潤を残した。1998年に我が国が体験した ‘IMF事態’ が典型的な事例だ。
■ ‘改革-地位強化’ 同時に企図
2008年に金融危機が起きるや国際通貨基金が一助となってきた米国式資本主義全体が俎上に上がった。国際通貨基金はいちはやく ‘反省文’を書き ‘改革’ を自任した。
基金は昨年3月 ‘危機から得た教訓’ という報告書で「危険を適時に知らせることができず金融危機早期鎮火に失敗した」 と自省した。 先進国中心の支配構造も変えると宣言した。先進国の持分 60.5%中 5%を新興国に渡すは一方、その間 ヨーロッパだけから選んだ総裁選出も透明にすると明らかにした。
←IMF 進行中の改革努力・支配構造政策勧告でも既存の ‘市場万能主義’ 基調を抜け出そうと努力中だ。去る2月、新興国らに投機資本の移動を規制する ‘資本統制’を勧告したのが代表的事例だ。12~13日には大田で ‘アジア21-未来経済の先導的主体’ という主題でコンファレンスを開き、アジアの重要性を強調する求愛攻勢を繰り広げる予定だ。
だが、改革努力と共に機能と権限を拡大するという野心も同時に表わした。外国為替危機が勃発した会員国に救済金融を提供するという既存機能を越え、危機前にあらかじめ予防的な貸し出しを提供するとして出たこともその一環だ。また、全世界のマクロ経済と金融安全性に対する監督を強化するとして、会員国らに情報接近権の強化を要求している。
■米国拒否権、ドル中心体制など限界
国際通貨基金が果たして根本的な改革を行うことが出来るかは未知数だ。 基金の主要意志決定は、会員国らの投票権の85%以上の賛成によって成立する。現在の米国の投票権は16.7%だ。米国の同意なしにはいかなる決定も下すことはできない構造だ。今年11月の主要20ヶ国(G20)ソウル首脳会議で先進国持分5%を新興国に渡すといっても、米国の持分(17.7%)と投票権は減る可能性が少ない。
米国は自分たちの世界経済比重が20%を越えているという理由で持分縮小を拒否し、ヨーロッパの持分を縮小しなければなければならないと主張している。主要20ヶ国(G20)首脳会議準備委員会関係者は「米国クォーターは変わる可能性が殆どなく、ヨーロッパと新興国内で過多保有論議がある一部のクォーターが減るだろう」 と話した。
さらに根本的な問題は、国際通貨基金がドル基軸通貨体制内で動くという点だ。国際通貨基金が名実共に ‘世界の中央銀行’ となるためには、別途の ‘世界通貨’ を印刷し、流動性を制限なしに供給できなければならないが、現在の支配構造では難しい。特別引き出し権(SDR)があるが、規模と機能がきわめて制限的であり、まともに作動していない。準備委関係者は「米国が世界覇権を維持する核心的な力はドル基軸通貨体制なので、米国はこの体制に亀裂を持たらしかねない特別引き出し権の拡大に反対している」 と話した。
‘新しい社会を開く研究院’ のヨ・ギョンフン研究員は「資本統制と財政支出の重要性を認めるなど、国際通貨基金がかなり変わったのは事実」としながら「だが、真の民主的支配構造と世界の中央銀行に近付くためには、米国の拒否権を廃止し、ドル体制の代案を模索することが必要だ」と話した。
アン・ソンヒ記者 shan@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/429853.html 訳J.S