もはや千年の都という過去の名誉だけにとどまらない。日本の古都・京都は明らかに現代美術の都市へと進化していた。
その実情を4月12日、京都御所の南の通りにある京都新聞社地下の印刷工場跡で実感した。この空間に破格的に設置されたフランス出身のアーティストJR氏の近作「クロニクル京都2024」の造形物が、観客の賛嘆の中で明滅していた。印刷工場の真ん中の通路を歩いていくと、両側に京都の老若男女の市民をクローズアップした写真が照明を受けながら相次いで登場し、それぞれが自分の人生について語る肉声(ナレーション)が鳴り響いた。油のインクのにおいを漂わせながら、絶えず紙面が刷られていた新聞社の印刷工場が現代美術の設置空間へと変貌を遂げたのだ。JRが京都新聞社の中に並べた会心の近作は2013年に初めて始まって以来、3~4年前から韓国の写真美術愛好家たちに春の巡礼行事として定着した京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIE 2025」の主な展示の一つで、同時代の京都の人たちの生き生きとした姿を視聴覚で体験し、交感することを目指したプロジェクトだった。
日本を代表する歴史都市である古都・京都が、このところ世界の現代美術界で「アジアのミュンスター」として浮上している。最近、古来の文化遺産と都市の街路などを現代美術と結合させた独創的な都市芸術プロジェクトを披露し、国際的な注目を集めているためだ。特に「KYOTOGRAPHIE」は近代の邸宅や地元の新聞社の印刷工場、安藤忠雄が作った複合商業ビルなど、京都都心の街に散在する多様な近現代空間を展示場として積極的に活用し、都市全体が観客の観覧の動線になる新しい展示フォーマットを示している。ドイツの北西部のノルトライン・ベストファーレン州の大学都市ミュンスターが10年ごとに披露する世界最高の彫刻・公共美術の祭典「ミュンスター彫刻プロジェクト」に追いついたとまで言われるほどだ。
13回目を迎えた今年、「KYOTOGRAPHIE 2025」は10カ国、13人の作家、14の場所でメイン展示が開かれたが、室町時代の有名な禅のお寺である建仁寺の両足院、都心の有力な家の伝統屋敷、三条通りの20世紀初頭の近代的な金融ビル、巨匠安藤忠雄が設計した都心にある複合商業ビルまで、特設展示場として活用し、著名なアーティストたちの作品を見ながら、歴史文化遺産や近隣観光地まで足を延ばせるよう展示範囲を拡大したことが目を引く。特に、三条通りの高瀬川の隣にある安藤忠雄の名作建築物「TIME'S」2階の特設展示場には英国の写真家マーティン・パーの作品が並んでいるが、写真の視線の流れが桜の舞い散る高瀬川の風景と自然に続く姿が、異色の景物のように感じられた。その下には、動物と土地の生態を扱った日本の中堅アーティストたちの写真が暗転した背景の中に掲げられ、名作建築物TIME'Sは生態の深淵と京都の裏面を撮った写真の秘境となった。
さらに4~6月には、江戸時代の徳川幕府が建てたユネスコ遺産「二条城」で、世界的な巨匠、アンゼルム・キーファーが世界史と日本の芸術史をテーマにしたインスタレーション・絵画展を開き、世界美術界の視線を集めた。光と陰が微妙に分割された日本の伝統建築の構造と金箔を施した障壁画のような特有の装飾的な枠組みを、キーファーは京都市の協力を得て忠実に具現化した。鉛の塊、顔料、オブジェなどが絡み合った特有のコンバイン絵画を、二条城の薄暗い「台所」の空間で自然光とともに絶妙に演出することで、人間の文明の野蛮さに対する省察と救援を光と陰が混在する自身の作品に落とし込んだ。都心の東側にある平安神社地区のミュージアムエリアでは、モネ、草間弥生といった巨匠たちの国際企画展も、このような大型企画と相まってさらに話題を集め、観客を引きつけていた。
これまで都市全体を芸術の場にした前例として、10年ごとにインスタレーション・プロジェクトが開かれるドイツのミュンスターが挙げられてきたが、今では毎年違う形で都市を現代美術の巨大な展示所にする京都が新しいモデルとして浮上している。ミュンスターが都市空間を彩る公共造形物や環境彫刻、パフォーマンスなどを追求し続けてきたとすれば、京都は文化遺産の歴史と痕跡を現代作家の想像力と結びつける大胆な構図で差別性を導き出した。1000年余りにわたりほぼそのまま保たれてきた都市の歴史的な地層が現代美術と出会い、驚くべき相乗効果を醸しだしている。このような京都市と現地の企画者たちの空間活用戦略は、多くの歴史的激変の跡を残すソウルや慶州(キョンジュ)のような韓国の歴史都市にもインスピレーションを与えている。