本文に移動

支持率51%の最大野党のイ・ジェミョン候補、過去唯一の過半数得票率を上回るか

登録:2025-05-19 06:44 修正:2025-05-19 08:08
共に民主党のイ・ジェミョン大統領選候補が14日、慶尚南道巨済市で開かれた遊説で支持を訴えている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の弾劾により、現職大統領の欠位のまま6月3日に大統領選挙が行われます。事前投票は5月29日と30日の2日間です。誰が当選するでしょうか。すべての統計と世論調査の数値が最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン候補の当選を予測します。世論調査は投票ではありません。誤差があります。数値をそのまま信じてはいけません。大きな流れを参考にすれば良いのです。

 韓国ギャラップが5月16日、公式選挙運動開始後初めて「大統領選候補支持率」の調査結果を発表しました。イ・ジェミョン51%、キム・ムンス29%、イ・ジュンソク8%でした。 その他の人物は1%、意見留保は13%でした(以下、すべての世論調査の詳細は中央選挙世論調査審議委員会ホームページを参照)。

 これまでは「将来の政治指導者に対する選好度」調査でした。今回の「大統領選候補支持率」は、有権者が選挙で誰に投票するのかを直接聞いたことに意味があります。

 韓国ギャラップは非常に歴史の長い世論調査機関です。歴代大統領選挙を前に実施した韓国ギャラップ事前世論調査はどうだったのでしょうか。世論調査と実際の選挙結果が一致したのでしょうか。一致しました。当選者はもちろん、順位が変わったこともありませんでした。

ソン・ハニョン先任記者の政治舞台裏//ハンギョレ新聞社

 1987年の大統領選挙直前の支持率は、盧泰愚(ノ・テウ)35%、金泳三(キム・ヨンサム)・金大中(キム・デジュン)28%、金鍾泌(キム・ジョンピル)8%でした。実際の選挙結果は盧泰愚36.64%、金泳三28.03%、金大中27.04%、金鍾泌8.06%でした。

 1992年の大統領選挙直前の支持率は、金泳三25%、金大中24%、チョン・ジュヨン11%、パク・チャンジョン8%でした。選挙結果は金泳三41.96%、金大中33.82%、チョン・ジュヨン16.31%、パク・チャンジョン6.37%でした。

 1997年の大統領選挙直前の支持率は、金大中33%、イ・フェチャン31%、イ・インジェ19%でした。選挙結果は、金大中40.27%、イ・フェチャン38.74%、イ・インジェ19.20%でした。

 2002年の大統領選挙直前の支持率は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)46%、イ・フェチャン 41%でした。選挙結果は、盧武鉉48.91%、イ・フェチャン46.58%でした。

 2007年の大統領選挙直前の支持率は、李明博(イ・ミョンバク)45%、チョン・ドンヨン 22%、イ・フェチャン14%、ムン・グクヒョン 6%、クォン・ヨンギル2%でした。選挙結果は、李明博48.67%、チョン・ドンヨン26.14%、イ・フェチャン15.07%、ムン・グクヒョン5.82%、クォン・ヨンギル3.01%でした。

 2012年の大統領選挙直前の支持率は、朴槿恵(パク・クネ)47%、文在寅(ムン・ジェイン)45%でした。選挙結果は、朴槿恵51.55%、文在寅48.02%でした。

 2017年の大統領選挙直前の支持率は、文在寅38%、ホン・ジュンピョ、アン・チョルス17%、ユ・スンミン、シム・サンジョン7%でした。選挙結果は、文在寅41.08%、ホン・ジュンピョ24.03%、アン・チョルス21.41%、ユ・スンミン6.76%、シム・サンジョン6.17%でした。

 2022年の大統領選挙直前の支持率は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)44%、イ・ジェミョン43%でした。選挙結果は、尹錫悦48.56%、イ・ジェミョン47.83%でした。世論調査は1ポイントの差でしたが、実際の得票率は0.73ポイントの差でした。

 1987年に大統領直選制が導入されて以来、選挙直前の韓国ギャラップ候補支持率調査で50%を超えた候補は一人もいませんでした。

 そのため、今回出たイ・ジェミョン候補の支持率51%は異例にも非常に高い数値です。イ・ジェミョン候補は大邱(テグ)・慶尚北道を除くすべての地域で、70代以上を除くすべての年齢層で、与党「国民の力」のキム・ムンス候補を上回りました。中道層はイ・ジェミョンが52%、キム・ムンスが20%でした。

 今後、予想外のことが突発的に起きない限り、イ・ジェミョン候補の大統領当選が確実という意味です。他の数値も同様です。政党支持率は民主党48%、国民の力30%でした。3週間前は民主党42%、国民の力34%だったのですが、格差が18ポイントに広がっています。

 5月15日に全国指標調査が発表した候補別好感度・非好感度調査で、イ・ジェミョン候補は「好感50%、非好感46%」でした。好感度が非好感度より高く表れた初めての結果です。 キム・ムンス候補とイ・ジュンソク候補は依然として非好感度が(好感度より)はるかに高く出ています。もはや「イ・ジェミョン候補のことを好きな人よりも嫌いな人の方が多い」という話は真実ではありません。

 各政党は形勢をどうみているのでしょうか。民主党選挙対策委員会の総括副本部長を務めたカン・フンシク議員と戦略本部長を務めたチョン・ジュンホ議員が5月16日に記者懇談会を行いました。

 「独自調査と公表された調査、歴代投票結果を多角的に分析した結果、状況を楽観的にみる段階ではない。公表された調査結果に実際の投票率を代入すると、支持率格差は減少するものと推定される。尹錫悦大統領の罷免決定と与党の分裂で世論調査への回答を回避し、一時的に政治的性向を示さない「隠れ『国民の力』支持層」が存在する。支持率の格差は今より縮まるだろう」

 与党「国民の力」のクォン・ソンドン院内代表は5月17日、記者団に対して最近の状況をこう説明しました。

 「簡単ではないだろうが、尹錫悦前大統領の離党、ハン・ドンフン前候補の遊説への合流、そしてわが党を少し離れた支持者の心が結集しているため、残り2週間だが、最善を尽くせば、9回裏のツーアウトで逆転満塁ホームランが可能だと思う」

共に民主党のイ・ジェミョン大統領選候補が17日、光州北区の5・18民主墓地を参拝している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 果たしてそうでしょうか。残りの選挙期間、世論の流れと実際の選挙結果から集中的に観察すべきポイントは3つです。

 第一に、イ・ジェミョン候補の実際の得票率です。

 1987年以降、過半数の得票率は2012年に当選した朴槿恵大統領が51.55%で唯一でした。 最近の世論調査のイ・ジェミョン候補の支持率は、朴槿恵大統領よりもはるかに高く表れています。ということは、今回の大統領選挙でイ・ジェミョン候補の得票率が、朴槿恵大統領の記録を超える可能性があります。

 高い得票率は任期序盤の国政を強くリードできる推進力となるでしょう。もちろん、李明博大統領のように傲慢な態度を見せると、すぐに逆風にさらされる可能性もあります。

 第二に、1位と2位の得票率の差です。

 大統領選挙での得票率の差が大きすぎると、野党はまともに機能することができません。歴代大統領選挙の最大得票率の格差は、2007年の李明博候補とチョン・ドンヨン候補の22.53ポイントでした。大統領選挙後、2008年の総選挙で民主党は81議席で惨敗し、2009年の盧武鉉大統領死去後、ようやく立ち直ることができました。

 歴代最低得票率の格差は、先の大統領選挙の0.73ポイントでした。イ・ジェミョン候補と民主党が大統領選挙の敗北にもかかわらず、崩れなかった理由です。

 これからの選挙期間中、キム・ムンス候補がイ・ジェミョン候補にどれくらい追いつけるでしょうか。勝敗を覆すことはできませんが、かなり差を縮めることはできます。

 2017年の朴槿恵大統領弾劾後の大統領選で、自由韓国党のホン・ジュンピョ候補は、世論調査では文在寅、アン・チョルス候補に大きく後れを取った3位でしたが、選挙運動期間中に「隠れ保守層」の結集で2位に躍り出ました。今回もそのような現象が現れる可能性があります。民主党もそうした流れを警戒しています。

改革新党のイ・ジュンソク大統領候補が5月16日、忠清南道天安中央市場で街宣車に乗って発言している/聯合ニュース

 第三に、改革新党のイ・ジュンソク大統領選候補の得票率です。

 韓国の大統領選挙でいわゆる「第3の候補」の得票率には限界があります。1992年、統一国民党のチョン・ジュヨン候補は16.31%の支持を獲得しました。1997年、国民新党のイ・インジェ候補は19.20%の得票率を記録しました。2007年、無所属のイ・フェチャン候補は15.07%の票を得ました。2017年、国民の党のアン・チョルス候補は21.41%の票を得ました。

 イ・ジュンソク候補は厳密に言えば第3の候補ではありません。しかし「若い保守」、「合理的保守」という強みがあります。二桁の得票率まで上がることができるかどうか関心が集まっています。もし15%以上得票率を上げれば、選挙費用を全額補填してもらうのはもちろん、保守陣営の新しい政治指導者として浮上することができるでしょう。保守の世代交代を進めることができるでしょう。

 唯一の革新(進歩)系の政党、民主労働党のクォン・ヨングク候補の得票率も関心事です。革新政党の得票率は、大韓民国共同体の未来志向性を示す指数です。歴代大統領選挙の革新系政党の得票率は以下の通りです。

 1997年、クォン・ヨンギル建設国民の勝利 21.19%

 2002年、クォン・ヨンギル民主労働党 3.89%

 2007年、クォン・ヨンギル民主労働党 3.01%

 2017年、シム・サンジョン正義党 6.17%

 2022年、シム・サンジョン正義党 2.37%

 今回の大統領選候補たちはすでに数多くの選挙を行った経験者たちです。個人的に蓄積された選挙経験は、大統領選挙を行う上でも大きな資産となるでしょう。

 イ・ジェミョン候補の初の公職選挙出馬は2008年の第18代総選挙でした。京畿道城南市盆唐区(ソンナムシ・プンダング)甲から統合民主党の候補として出馬し、33.23%を得票しました。64.73%を得たハンナラ党のコ・フンギル候補に惨敗したのです。

 2010年の地方選挙では民主党の公認を受け、城南市長に当選しました。51.16%を得票し、43.14%を得たハンナラ党のファン・ジュンギ候補を破りました。2014年には新政治民主連合の候補として再選に成功しました。55.05%の支持を獲得し、44.04%を得たセヌリ党のシン・ヨンス候補を破りました。保守色の強い盆唐区でも勝ちました。

 2017年の大統領選挙の民主党予備選挙では21.2%で、文在寅、アン・ヒジョンに次いで3位にとどまりました。21.5%を獲得したアン・ヒジョン候補との格差はわずか0.3ポイントでした。

 2018年の地方選挙では民主党の京畿道知事候補として出馬し、56.40%で当選しました。自由韓国党のナム・ギョンピル候補は35.51%でした。民主党候補として出馬した2022年の大統領選挙では47.83%で、尹錫悦候補(48.56%)に0.73ポイントの差で敗れました。

 キム・ムンス候補の歴代選挙戦績も華やかです。1992年の第14代総選挙に民衆党の全国区候補として出馬しましたが、落選しました。1996年の総選挙では、新韓国党の公認を受け、京畿道富川市素砂区(プチョンシ・ソサグ)から出馬しました。39.19%で当選しました。新政治国民会議のパク・チウォン候補(37.25%)を破りました。2000年の第16代総選挙、2004年の第17代総選挙も同じ選挙区で当選しました。

 2006年にはハンナラ党の公認を受けて京畿道知事に出馬し、59.68%で当選しました。開かれたウリ党のチン・デジェ候補(30.75%)を抑えました。2010年にも52.20%で当選しました。相手は国民参加党のユ・シミン候補(37.79%)でした。

 その後は下り坂でした。2012年にはセヌリ党の大統領選予備選挙に出馬しましたが、8.68%の得票率で2位にとどまりました。2016年の総選挙では大邱市寿城区(テグシ・スソング)甲から出馬しましたが、37.69%で民主党のキム・ブギョム候補(62.30%)に惨敗しました。2018年の地方選挙では自由韓国党候補としてソウル市長に立候補しましたが、23.34%の得票にとどまり、民主党のパク・ウォンスン候補(52.79%)に惨敗しました。

 イ・ジュンソク候補は2016年以降、ソウル蘆原区(ノウォング)丙からセヌリ党、正しい未来党、未来統合党の候補として3回出馬しましたが落選しました。得票率は2016年の総選挙が31.32%、2018年の再・補欠選挙が27.23%、2020年の総選挙が44.36%でした。2024年の総選挙には京畿道華城市(ファソンシ)乙から改革新党の候補として出馬し、得票率42.41%で当選しました。

 民主労働党のクォン・ヨングク候補は2016年に慶尚北道慶州市(キョンジュシ)から無所属で出馬しましたが、得票率15.90%にとどまりました。2020年の総選挙では同じ選挙区から正義党候補として出馬しましたが、11.57%にとどまりました。2024年には緑の正義党の比例代表候補として名乗りを上げましたが、落選しました。

 まとめます。大統領選挙は大韓民国の国民が主権を執行する重要な行事です。二度と尹錫悦大統領のように「無資格者」を国家の元首であり、行政府の首班の座に座らせる過ちを犯さないことを望みます。新たに選出される大統領には、尹錫悦大統領が崩した経済と外交・安全保障の基盤をしっかり固めてほしいと思います。内乱の終息を確実にするものの、統合のリーダーシップで野党との対話と妥協の政治を復元する大統領になることを願います。皆さんはどう思われますか。

ソン・ハニョン|政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/election/1197979.html韓国語原文入力:2025-05-18 18:50
訳H.J

関連記事