中国が西海(ソヘ)の韓中暫定措置水域(PMZ)に設置した大型の鉄製構造物の横に、廃棄された石油ボーリング施設を使った「管理施設」を設置した。このような報道に伴い、韓国政府は養殖施設の設置など「比例対応」を推進するとの立場を改めて明らかにした。
「朝鮮日報」は21日、中国が「漁業施設」と主張する大型の鉄製構造物「深藍1号」および「深藍2号」の横に、廃棄された石油ボーリング船を利用した管理施設を運営しているとし、固定式施設であるボーリング船は事実上『人工島』と言え、中国が南シナ海のようにこれを根拠に西海の領有権を主張するだろうとの見通しを示した。
ところが、この構造物は今回新たに設置されたものではなく、以前から韓国政府が中国側に抗議してきた施設だ。カン・ドヒョン海洋水産部長官は21日、記者懇談会でこの施設について「2022年3月、韓国の漁業指導船が初めて発見し、外交チャンネルで(中国に対して)きわめて強い憂慮を表明したことがある」と明らかにした。同施設が領有権主張などに利用される固定式施設かどうかについて、カン長官は「単純な海上構造物と理解している」とし、固定式かどうかや具体的な諸元などについては「確認されていない」と述べた。
韓中が海洋境界を定められなかった西海PMZに、中国が超大型鉄製構造物の「深藍1号」と「深藍2号」を設置したことが、韓中間で敏感な外交問題になっている。深藍1号は2018年に、深藍2号は2024年に設置され、2022年にはこの隣に廃ボーリング施設を利用した構造物が設置され管理施設として運営してきた。中国はこれらの施設は全て「深海漁業養殖施設」だとしており、実際にサケの養殖をしている。だが、中国が西海を「内海」として取り込むことに利用しようとしているという憂慮は消えない。
韓国の一部マスコミがこれを「違法施設物」と報道したが、現在韓中間で結ばれている漁業協定や国際海洋法上の「違法」ではない。漁業協定は許容漁船数や許容漁獲量などは規定しているが、構造物の設置に関する規定はないためだ。中国の構造物が設置された地域は、韓国が排他的経済水域(EEZ)の境界線にすべきだと主張する中間線(両国の海岸線から同一に離れている所)を基準にして中国側に近いため、法的に問題視することは難しい。
韓国ができる対応措置として、PMZの韓国側水域に中国と同様に漁業施設などを設置することが取り上げられている。海洋水産部は、養殖施設を含め適切な施設を設置する案を関係省庁と議論し、予算を編成するという立場をこの日も明らかにした。カン長官は「比例対応に関連することは、海洋領土を守るという立場から非常に厳重に見ている」とし「政府で共同対応する」と述べた。その一方で「どの水準でどのような施設物が適正なのかから決めなければならない」として「財政当局とも協議が終わったわけではなく、継続して議論している」と話した。
今週ソウルで開かれる予定の第3回韓中海洋協力対話でも、中国の西海の構造物無断設置が主要議題として取り上げられるものと予想される。共に民主党のウィ・ソンラク議員は「中国の『西海内海化』の試みは重大な問題であり、次期政府は中国のこのような行為に対して積極的に対応しなければならない」とし「構造物に限らず、西海で韓中境界線確定と安定化策などを包括的に構想し、話し合わなければならない」と述べた。