145% vs 125%。
米国と中国の関税戦争がチキンレースへと突き進んでいる。ドナルド・トランプ米大統領の宣戦布告に対し、中国の習近平国家主席が一歩も退かない背景には、米中の貿易構造の違いがあるとみられている。中国は米国に主に消費財を輸出し、米国は中国に産業の原材料や中間材を多く輸出する。両国の関税が上がるほど、日常で感じる関税による苦痛がより大きいのは米国の方だ。
16日に確認した米商務省と韓国貿易協会の貿易統計によると、昨年、米国は中国との商品交易で2952億ドルの赤字を出した。中国の対米輸出は4397億ドルにのぼる一方、米国の対中輸出は1446億ドルに止まった。
両国は取引する商品の種類が非常に異なる。昨年、中国の対米輸出上位5品目(金額基準)は、スマートフォンなどの無線通信機器(466億ドル)、ノートパソコンなどの自動処理機械(412億ドル)、バッテリー(134億ドル)、自動車部品(115億ドル)、おもちゃ(106億ドル)の順だった。一方、米国の対中輸出上位5品目は、大豆(141億ドル)、航空機および部品(112億ドル)、半導体など電子集積回路(87億ドル)、バイオ医薬品など(64億ドル)、プロパンおよび天然ガスなど(63億ドル)だ。
輸出品目が異なるため、関税の影響も全く違う様子だ。中国製品に145%の相互関税を課すというトランプ大統領の発表に対し、直ちに懸念を示したのは、企業ではなく一般消費者たちだった。 中国の対米輸出品が主に消費財であるため、米国市民が日常で使う商品に中国製品が多いためだ。米国内では直ちにアイフォンの価格が上がるだろうという報道が相次いだ。子どもたちのおもちゃの価格まで跳ね上がると懸念する報道も相次いでいる。代表的なおもちゃであるバービー人形は、約40%が中国で生産されている。中国製の消費財に代わる商品もあまりない。中国は低い人件費などで価格競争力を持っているため、他の国々が中国ほど安い消費財を作って米国に輸出することは不可能に近い。
物価に対する米国市民のこのような懸念は、トランプ大統領にはかなりの政治的負担になる。トランプ大統領が13日(現地時間)、スマートフォンとノートパソコンなどは相互関税ではなく別途品目関税対象に変えると発表したのも、中国製消費財の価格上昇に対する反発世論を考えたものとみられる。
習近平主席はあまり焦っていない様子だ。中国が125%報復関税を課した米国製商品は、大半が産業に使われる原材料や中間財だ。ただちに関税ショックを受けるのは、一般市民よりは企業の方だ。ところが、中国は米国と違って多様な代替品を確保している。すでに第1次トランプ政権時代に貿易戦争を経験し、米国輸入品への依存度を徐々に減らしてきた。中国の総輸入のうち、米国産の割合は2017年の8.4%から昨年には6.4%に縮小された。中国企業は関税引き上げで米国産の大豆が高くなれば中南米で、米国産の天然ガスが高くなれば中東で、それぞれ代替品の確保が可能な状態だ。習近平主席は15日、米国製航空機のボーイングもこれ以上輸入しないと述べた。
対外経済政策研究院のチョン・ジヒョン中国チーム長は「米中の輸出入構造が違うため、中国製消費財の関税引き上げにさらされる米国市民の方が関税ショックをより大きく肌で感じるだろう」とし、「米国は中国製消費財に代わる商品が限られており、物価上昇への懸念が高まるだろう。一方、中国は第1次トランプ政権以降、米国からの輸入品の多様化を進めており、原材料自給率も高くなっている」と分析した。