飛行機や衛星の軌跡か、それとも新しい天体現象か、それともUFOか。
24日夜、欧州の多くの地域の空に青いらせん形(渦巻き状)の物体が突然現れてから消え、人々の好奇心をそそった。
英国やクロアチア、ポーランド、ハンガリーなどでSNSを通じて目撃談が写真、動画と共に伝えられ、さまざまな推測があふれた。英国のある目撃者はSNSのX(旧ツイッター)に「最初はあまりに明るいので雲の後ろの月だと思った」と書き込んだ。また別の目撃者は「スタートレックのワームホールを見ているようだった」と伝えた。
しかしこの青い渦巻き状の物体は、飛行機でも衛星でもUFOでもなく、ロケットが原因だった。英国気象庁はXを通じて「今日の夜、空で輝く渦を見たという申告が多く届けられた」として「これは打ち上げられたスペースXのロケット『ファルコン9』によるものである可能性が高い」と明らかにした。
宇宙メディア「スペースドットコム」などによると、このロケットは同日午後1時48分(米東部時間基準)、米フロリダのケープカナベラル宇宙軍施設から打ち上げられたスペースXのファルコン9。ロケットはこの日、米国家偵察局(NRO)の衛星を載せて離陸した。
欧州の空に渦現象が発生したのは、打ち上げから約2時間後の午後4時(グリニッジ標準時は午後8時)ごろで、約3~4分間続いた後に消えた。
■ロケットが回転しながら捨てた燃料が日光に反射
「スペースXの渦」と呼ばれるこの現象は、ファルコン9の1段推進体(ブースター)から分離された2段ロケットが衛星の軌道配置のための上昇飛行を終えた後に起きる。衛星を展開した後、2段ロケットは螺旋状に回転しながら落下し始める。この時、ロケットに残った燃料を捨てるのだが、燃料が排出されると冷たい空気に触れすぐに凍りつくことで渦巻き模様が形成される。ここに光が反射すれば青い渦が現れることになる。
この渦はブースターの回転速度、発射時間帯、太陽に対するロケットの方向など様々な変数の影響を受けるため、打ち上げのたびに見られるものではなく、予測も難しい。
ニューヨークタイムズによると、2024年3月にもファルコン9が打ち上げられた後、欧州で似たような現象が目撃された。今のところは稀な現象だが、衛星打ち上げが増え続けている傾向であり、今後はさらに頻繁に現れるものとみられる。