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天安艦 北派工作員そして‘国家の嘘’

登録:2010-06-19 15:20

原文入力:2010-06-19午後12:25:41(2310字)
政府の嘘に北派工作員・枯れ葉剤戦友会も一時 被害者
真実糾明 助けた進歩団体攻撃に "醜い" という指摘 起きる

←17日午前、ソウル、鍾路区の参与連帯事務室前で、枯れ葉剤戦友会会員たちが天安艦書簡糾弾集会を開いている。 キム・テヒョン記者

参与連帯が国連安全保障理事会に‘天安艦事件の徹底した調査’を要請する書簡を送った後、大変な苦労に遭っている。ソウル、鍾路区、通仁洞の参加連帯事務室前は18日まで五日間連続で保守団体の過激集会が相次ぎ開かれた。保守団体のこういう動きは 「政府の発表はいつも正しい」という信頼に基づくようだ。だが、我が国と世界各国の歴史が示すように、政府がいつも正しい主張ばかりするわけではない。また、こういう‘政府の嘘’の被害者が、専ら進歩の人々に限定されるわけでもない。保守団体らもまた‘政府の嘘’による被害者の例外にはならないという言葉だ。

代表的な事例が保守団体らから 「ガスボンベじいさん」と呼ばれる北韓派遣工作員たちだ。韓国戦争以後、南北は互いに多くのスパイと破壊分子を送り、韓国は陸軍諜報部隊(別名 HID)所属の武装工作員を北に派遣した。だが、これらの存在は徹底的に隠された。韓国政府は長い間、これらは存在しないとし‘嘘’をついてきた。これらを北側に送るのは停戦協定違反であるだけでなく、国民に「北韓は攻撃的であり韓国は平和的」と言ってきた宣伝も打撃を受けるためだ。

武装工作員として任務を終え生還した北派工作員たちは自分たちの任務に対する正当な補償を国家から受けることを望んだが、国家の‘嘘’と言論の沈黙で耐え忍ばなければならなかった。これらが国家の嘘を突き抜け存在を認められることになったのは<ハンギョレ21>の報道の功労が大きかった。<ハンギョレ21>は1996年に我が国では初めて北派工作員の存在を知らせる記事を送りだしたのに続き、数回にわたり北派工作員特集を出し、これらが実在する人々であることを知らせた。

北派工作員らの自助努力といくつかの言論報道に力づけられ国家の嘘にはヒビが入り始めた、ついに国会でこの問題が議論されるに至った。キム・ソンホ前民主党国会議員は2004年、「7・4南北共同声明があった去る72年までに計1万人余りの韓国工作員が北韓に派遣され、この内 7,726人が失踪処理された」と明らかにした。こういう努力が実って韓国政府は北派工作員を国家有功者として優遇する法律を制定した。

現在、参与連帯前で過激デモを行っている枯れ葉剤戦友会、父母連合、自由総連盟など保守団体会員たちの論理どおりならば国家が公式に否定する武装工作員の存在を認めよとの北派工作員らもまた‘親北韓’であり‘売国’団体だったことになる。

一度、想像してみよう。これら北派工作員らが政府が否定し保守言論が沈黙する状況で、国際機構に「徹底した真相究明」を要求する書簡を送ったとしよう。恐らく政府は自身の嘘を隠すために「韓国では北韓にスパイを送ったことはない」と強弁し「彼らがどこの国の国民かわからない」と主張しただろう。その時も枯れ葉剤戦友会など保守団体らが「政府が主張することは全て正しい」という論理で対応するならば何が起きるだろうか?

しかし、参与連帯前の過激示威に最も活発に参加していると知られた‘枯れ葉剤戦友会’もまた、こういう国家の嘘による被害から自由ではない。枯れ葉剤戦友会所属会員たちは、ベトナム戦参戦の時に米国がジャングルの木を枯死させるため大量に散布した‘エージェント オレンジ’により枯れ葉剤被害をこうむった人々だ。これらは枯れ葉剤のせいで身体マヒ、各種癌、呼吸器系疾患、皮膚病、手足腐敗などの苦痛にあってきた。だが、政府は永らくこれらの苦痛と枯れ葉剤との関連性を否定してきた。 やはり‘嘘’だった。これらをこういう‘嘘の被害’から抜け出させたことにも進歩的市民団体と進歩言論の力は小さくなかった。

実際に多くの国家らが嘘をつく。最近では大量殺傷武器がないのにあると騙し、イラク戦を起こした米国ブッシュ行政府の嘘が代表的だ。我が国も例外ではない。私たちはすでに数多くのでっち上げスパイ事件を経験した。1987年6月抗争の触媒となったのも当時 拷問で死亡したソウル大生パク・ジョンチョル氏の死に対する政府の嘘がばれたことだった。

参与連帯の手紙はこういう状況で天安艦の疑惑をもう少し徹底的に検証しようということだ。政府の天安艦発表に疑惑がとても多いためであり、ひょっとしてそれが偽りならば、その被害は進歩や保守を分けないためだ。この問題はまた韓国という垣根を越え韓半島全体、一歩進んで東北アジアの平和に対する問題でもあるためだ。

ところで、自身も国家の‘嘘’の被害者だった人々がなぜあたかも国家が言うことは全て真実という方式で行動するのだろうか。ある人はこれらが保守的な国家からさらに多くの補償を望み、そのような仕事をしているのだと主張する。あるいはそれが真実ならば醜く見える。さらに参加連帯をはじめとする進歩的な市民社会団体が、国家が彼らを対象に嘘をつく時、彼らの痛みを共にして真実を糾明しようと努力した人々だという点を勘案すればより一層そうだ。

キム・ポグン記者 tree21@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/426469.html 訳J.S