記事修正:2008-12-04午後09:04:34
泰安油流出1年…最大被害 ‘蟻項港’ 行ってみると
養殖・漁業焦土化…刺身屋・ペンション客足途絶える
“生計維持見通し立たず、はやく補償金支給を”
ソン・インゴル記者パク・ジョンシク記者
←4日午前 忠南(チュンナム)泰安郡,所遠面蟻項里,テペ海岸でイ・ヨンウォル(71)氏等、村民たちが防除作業中休息を取っている。住民たちは日当で女性の場合6万ウォン,男性の場合7万ウォンを受けて防除作業をしている。 パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr
忠南,泰安の衝撃は続いている。7日の泰安油流出事故1年を前に先月30日訪ねた最大被害地域の一つである泰安郡,所遠面,蟻項港は客足が絶えて刺身料理屋とペンション階段には土ぼこりがたまっていた。
住民たちは「1年間は暮らすことはできた」と話したが表情は暗かった。1年間海の主人から日雇い労働者に転落したためだ。どれくらい補償を受けるのか訊く人もいないと語る。
イ・ヨンウォル(71・忠南,泰安郡,所遠面,蟻項2里)おばあさんは「今年生計費として595万ウォンを受け取り防除作業と公共勤労をして、素手で漁業をする時よりお金は多かったが何をするべきか分からず霧の中を歩いているような感じだ」と話した。孫娘(9)が「うちのおばあちゃんはできないことがない」と自慢すると、おばあさんはタバコを吸い始めた。
「一生食べ物を与てくれた海で今は稼ぐことができないので空回りする気分だよ、これから生きる道を考えれば寝ていても泣けてくる」海風にため息がにじむタバコの煙と白い髪の毛が混ざって流れた。
蟻項里のあちこちにあるビニールハウスの中では主婦たちが慣れた手つきでカキの殻ををむいていた。手間賃でも稼ごうと油被害がなかった伊院面(イウォンミョン)の養殖場から持ってきた。蟻項2里は世帯当り150本ずつ約1万5千本規模のカキ養殖場があったが被害がひどくて全て撤去した。
キム・ジョンスン(64)氏は「カキ1㎏に4000~4500ウォンだから一日に4万~5万ウォンにはなる」として「生臭いカキのにおいをかげば気分は良くなるが、それでも他人のカキをむいていると思うと腹が煮え繰り返る”と嘆いた。
「施設を新しくしても収穫までに2年はかかり世帯当り1年に20余本設置することもかなわないから以前のような養殖場を作ろうとすれば充分に20年はかかるだろう。」キム・ガンソン(68)氏が話をつなげた。
7.93t級ミョンウォル号キム・ヨンス(55)船長は「タンカーがこわれてからは、7マイル以上の近海でだけ魚が捕れるだけで、近い海ではありふれていたワタリガニやイイダコすら捕れなくなり沿海漁船事情は手ぶら漁民と同じだ」として「補償も何年待てば出るのか,どれだけ出るのか分からずに憂鬱だ」と語った。
海を黒い色で塗った蟻項分校の子供たちは、今は海を青色で描く。 1~2学年担任のイ・ヨンジク(49)教師は「子供たちはとても明るくなったが夫婦間,お隣の間での不和が多いのが心配」と言う。
泰安参加連帯カン・ヒグォン議長は「政府が早い時期に被害額を先支給し具体的な環境復元計画を明らかにしなければならない」として「泰安油類被害対策委連合会と連係して、加害者である三星重工業を相手に事故に対する無限責任を問い国家が支給した生計費などを回収する国民運動を広げる計画」と明らかにした。
泰安/ソン・インゴル記者 igsong@hani.co.kr