ドイツ・ベルリンのミッテ区が、ミッテ区の公有地に設置された「平和の少女像(以下少女像)」の私有地への移転か撤去を求めている中、在ドイツ日本大使館が少女像に関する教育プログラムに対するドイツ行政の支援を妨害しようとしていたことが、29日に確認された。
ベルリン市傘下の「文化・教育のためのベルリン基金」のある関係者は、匿名を前提としたインタビューに応じ、日本大使館が今年3月に基金の事業を審査する諮問委員会の委員たちに連絡し、食事に招待したと語った。同基金は、少女像を設置した在ドイツ市民団体「コリア協議会」がベルリン市に申請したプログラムなどへの支援を総括している。
コリア協議会が今年2月12日に「私の隣に座って」と題する戦時性暴力被害者についての歴史教育プロジェクトへの支援の延長届けを提出したことを受け、日本大使館はすぐさま委員たちに会おうとしたのだ。コリア協議会はこの時、8万7000ユーロ(約1億3000万ウォン)規模の支援金を申請している。その後、4月初めに実現した食事の席で、日本大使館の職員たちはコリア協議会のプロジェクトに言及した。
同関係者によると、ベルリンの中心地であるポツダム広場の5つ星ホテルでの食事に招待した日本大使館の職員たちは、「日本を一方的に悪く表現し、侮辱している」とし、「慰安婦」問題は韓日両国の問題であるため、ドイツが介入してはならず、教育プログラムとして適切ではないと主張したという。大使館職員たちは、2015年12月の韓日「慰安婦」合意で日本が「すでに謝罪した問題」だとも主張したという。
コリア協議会が申請したプログラムは、この食事の後の4月23日に諮問委員会で否決され、支援延長はなされなかった。市の支援を受けるには、10人の定足数の4分の3以上の賛成票を得なければならないが、コリア協議会の申請は賛成6、反対4で支援条件を満たせなかった。
同関係者は、ベルリン市のカイ・ウェグナー市長が委員会投票の当日に、コリア協議会のプロジェクトを支援してはならないとの意見を述べた、とも語った。同関係者は、「(ウェグナー市長は)日本政府に具体的に言及したわけではない」としつつも、「このプロジェクトは摩擦の要素が多いため続けてはならないと言っていたが、(事実上)日本のために言っているという気がした」と語った。
先月3日にはドイツの公共放送「ベルリン・ブランデンブルク放送(RBB)」が、日本政府が望んでいないとしてコリア協議会の申請を断るようウェグナー市長が要求したと報道している。ウェグナー市長は今年5月、日本の上川陽子外相と会い、「変化を作ることが重要だ」として少女像の撤去を示唆する発言をおこなっている。
コリア協議会は、戦時性暴力被害者についての歴史教育プロジェクトに対するベルリン市の予算支援も中断され、このプログラムをおこなった日本軍「慰安婦」博物館と少女像がミッテ区の要請どおり私有地に移転すると、地域社会を中心に展開されてきた「慰安婦」に関する活動がいっそう難しくなると懸念している。
コリア協議会が少女像のそばに開館した日本軍「慰安婦」博物館は、地域社会、市民団体、学校と連携して様々な歴史教育プログラムをおこなってきた。また、少女像の公的性格を考慮すると、私有地への移転は不適切であるとの指摘もある。コリア協議会は26日、ミッテ区役所に、日本軍「慰安婦」博物館の半径500メートル以内にある管内の公有地の中から、候補地として5カ所を提示するよう要請した。最大5カ所を候補地と定め、最終的な場所を議論しようというわけだ。
しかし、ミッテ区役所がこれを受け入れるかどうかは未知数だ。シュテファニー・レムリンガー区長は、私有地への移転を受け入れないコリア協議会に対し、「撤去を命ずるしかない」として、4週間以内に少女像を移転するよう求めている。