(1から続く)
■朝鮮半島に再び自衛隊の軍靴の音が?
問題となる(または尹錫悦政権が成果として掲げる)もう一つの文書は、7月28日に東京で署名された「韓米日3カ国安全保障協力枠組み覚書」(TSCF、以下韓米日枠組み)だ。国防部の報道資料によると、韓米日枠組みは「ハイレベル政策協議や情報共有、3カ国訓練、国防交流協力など朝鮮半島およびインド太平洋地域とその向こうの平和と安定に寄与する韓米日防衛当局間の安保協力を制度化するもの」だ。これは6月2日のシンガポール韓米日防衛相会談で採択された共同声明と、それ以前のプノンペン(2022年11月)およびキャンプデービッド(2023年8月)3カ国首脳会談などでの合意に基づいた実行文書だ。「協力覚書」に法的拘束力があるかどうかはそれほど重要ではない。弱小国が強大国に「公式的に」縛られることは、どんな形であれ「文書」一つで十分だからだ。
枠組みの原文は公開されなかったが、3カ国防衛相の共同声明を見る限り、「インド太平洋地域とその向こう」に重点が置かれていることがわかる。北朝鮮の(核)による脅威は儀礼的レベルで言及されただけで、「米日」のインド太平洋戦略の核心目標である、台湾を含む東シナ海と南シナ海における航行の自由の確保がすなわち平和と安定であるという認識が明確に示されている。したがって韓米日枠組みは「3カ国協力の新たな時代」を開き、「地域の挑戦と挑発と脅威に効果的に対応するための3カ国協力をさらに発展させていく」ということだ。すでにかなりのレベルに「進化」した中国に対する新冷戦的対決体制に韓国が「制度的に」組み込まれ、最前線で対峙する構図が描かれている。
シン・ウォンシク国防部長官は、韓米日枠組みが尹錫悦政権の性格によって生まれたものではなく、「3カ国がそれぞれウィンウィンの状況なので、(韓国であれ米国であれ、政権が変わっても)揺らぐことなく引き続き進められるだろう」とし、「3カ国は標準作戦手続きの合意にもほとんど達した状態」だと明らかにした。「標準作戦手続き」(SOP)とは、特定の軍事状況で軍隊が「ひとまず無条件で」取るべき行動を定めたものだ。
標準作戦手続きは、韓米間よりは韓日にとってより重要な意味を持つ。韓日軍事協力は、日本にとっては確かな利益だが、韓国にとっては懸念と警戒の対象だ。しかしこれは、尹錫悦政権が発足してからは、徐々に迫ってくるものではなくブレーキのない疾走と言っても過言ではないほどだ。韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)が復元され、韓米日ミサイル警戒情報の伝達体系が確立され、「多領域」にわたる合同軍事演習が定例化され、韓米日枠組みが始まった。残っているのはいわゆる「韓日軍需支援協定(ACSA)」だけだ。その名称をそのまま使用しなくても、同じレベルの標準作戦手続きを樹立することも考えられる。近いうちに自衛隊または「日本軍」の軍靴の音が朝鮮半島で鳴る可能性もあるということだ。
米国および日本の企画と尹錫悦政権の同調で、韓米日3カ国はいつの間にか同盟体制に進入している。これを制度化する「韓米核指針」と韓米日枠組みは3つの「統合」を通じて進んでいる。韓米の核・通常兵器の統合(CNI)、来年発足する自衛隊の「統合作戦司令部」、それに合わせて新設される在日米軍の「統合軍司令部」だ。韓国は北朝鮮に対する核抑止と核作戦という仮面を脱ぎ捨て、新冷戦と従属の泥沼から抜け出さなければならない。