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プーチンの2度の訪朝、2000年には「朝米仲裁」、今年は「反米連帯」(2)

登録:2024-07-16 06:26 修正:2024-07-16 11:00
北朝鮮の金正恩国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2024年6月19日、平壌で会い、挨拶をしている=平壌/タス・聯合ニュース

(1からつづく)

 それから20年余りが過ぎた今日、朝鮮半島を含む国際情勢はあまりにも変わってしまった。24年ぶりに実現したロシアのウラジーミル・プーチン大統領の訪朝は、これを象徴する。24年前の訪朝には、ミサイル問題で難航していた朝米関係を仲裁しようという意図もあった。朝米に対し、ロシアが朝鮮の衛星を代わりに打ち上げることもできるという折衷案も提示した。一方、最近の訪朝は、朝米の敵対関係を十分活用することに焦点が当てられた。このため、ロシアが伝統的に重視してきた核不拡散を後回しにし、朝鮮の核保有を事実上認め、国連の対北朝鮮制裁の形骸化も辞さない。特に朝ロ間に同盟関係が回復し、反米・反西欧に向けて包括的で戦略的な協力に乗り出す動きが目を引く。

 新冷戦に対する視線も大きく変わった。2000年代には新冷戦を懸念する声は少なかった。米国のABM条約破棄とMD推進が戦略的均衡を揺さぶり、核軍備競争を触発するという懸念があった。時間が経つにつれ、新冷戦は多数の声になっている。少数の懸念はいつの間にか現実になってしまい、米中戦略競争とウクライナを戦場にしたNATOとロシアの対決が深まっている。冷戦時代にもなかった韓米日の軍事的結束が事実上の同盟へと突き進んでおり、これに対応した朝中ロの連帯もうごめいている。NATOの強化とインド太平洋戦略が結びつき、ユーラシア国家である朝中ロを取り囲む巨大な軍事ネットワークが頭をもたげたことを受け、ロシアは「ユーラシアで平等で不可分離的な安全保障構造を建設していく」と対抗している。

 新冷戦は朝鮮半島の冷戦構造が解消されなかった結果の反映でもある。1990年前後の米ソ冷戦終息は、米国に「勝利の祝杯」と主敵を失った「空虚さ」を与えた。祝杯をあげた米国は「トイレに入る時と出る時」のように変わった。NATOを拡大しないという約束を破り、東進を繰り返したのだ。「空虚さ」をなだめるために「北朝鮮脅威論」にこだわった。MDはその中心にあった。ブッシュ政権がABM条約から脱退する際にも、オバマ政権が「アジアへのリバランス」戦略を追求する際にも、トランプ政権が大々的な核戦略の変化に着手する際にも、韓米日がMDを軸にして軍事的結束に拍車をかける際にも、「北朝鮮脅威論」は定番メニューのように登場してきた。

 実際、朝鮮は米ソ冷戦終結後も続いた「旧冷戦の被害者」だった。国際的孤立から脱皮するため、米国と日本に手を差し出すたびに、そっぽを向かれた。帝国の地位に就いた米国の関心を引くために持ち出した核とミサイルのカードは、経済制裁の強化というブーメランとなって返ってきた。冷戦時代の同盟国だった中国とロシアも、対北朝鮮制裁に加わった。このような中、南北の国力の差がさらに広がり、吸収統一を心配しなければならない境遇に追い込まれた。

 ところが、「貧しくて孤立した核開発国」だった朝鮮は、いつのまにか「貧しさと孤立から脱皮する核保有国」になっている。核とミサイル能力が米国本土に届くほど高度化している。特に朝鮮は新冷戦の恩恵を受けていると言っても過言ではない。旧冷戦時代には、中国とロシアも朝鮮の核武装に反対し、対北朝鮮制裁にも参加した。しかし、新冷戦の機運が高まるにつれ、これらの国は核の不拡散よりも、勢力均衡と国際秩序の多極化を重視している。このため、朝鮮の核とミサイルの高度化に劣らず、対北朝鮮制裁の瓦解と、中ロによる朝鮮の核保有容認も加速化している。すでに自力更生と自給自足、そして並進路線を通じて経済発展の土台を築いたと信じる金正恩(キム・ジョンウン)政権の自信が高まっているのもそのためだ。

 ならば、韓国はどうなのか。朝鮮半島の旧冷戦時代には韓中国交正常化に支えられ、経済的・外交的地平を広げるとともに、韓米同盟も堅固にすることもできた。ところが、新冷戦時代は違う。韓ロ関係は国交正常化以来最悪であり、韓中貿易関係も最大の黒字から最大の赤字へと変わった。米国は韓国を懐柔・圧迫し、半導体や電気自動車、バッテリーなど先端分野を吸収するのに忙しく、日本もこれらの分野で強力な競争相手として再浮上している。一時、韓国経済の「ブルーオーシャン」と呼ばれた朝鮮半島経済共同体と北方への進出も蜃気楼のように消えた。韓国の軍事力が世界5位に浮上し、韓米同盟や韓米日軍事協力も歴代最強だというが、安全保障をめぐる不安は絶えない。

 だからこそ、「彼を知り己を知る」必要がある。朝鮮が隆起し韓国が落ち気味だとしても、国力の差は依然として大きい。朝ロ・朝中条約はまだ「文書」に近いが、韓米同盟と韓米日三角同盟は米軍駐留と合同訓練で代表される「物理力」を実体とする。しかし、これを尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権のように「勝利主義」の根拠にすれば、韓国は旧冷戦の矛盾と新冷戦の危険をそのまま抱え込むしかない。「力だけに頼る平和」から脱皮し、優位にある力の誇示を控えながら、平和共存する知恵を見いださなければならない。

(編集者注:[チョン・ウクシクコラム]で筆者は平和共存の出発点は相互認定という前提のもと、互いに「自分の名前」を呼びながら共存の知恵を探そうという趣旨で北朝鮮の呼称を正式国名である「朝鮮」(朝鮮民主主義人民共和国の略称)と表記している)

チョン・ウクシク|ハンギョレ平和研究所所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1149062.html韓国語原文入力:2024-07-15 07:39
訳H.J

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