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韓国国防部の管理官が明かした「大統領室のシグナル」…証人は宣誓拒否、証言拒否

登録:2024-06-21 23:03 修正:2024-06-22 08:52
パク・チョンフン海兵隊元捜査団長(左から)、ユ・ジェウン国防部法務管理官、イム・ソングン元海兵隊第1師団長が21日午前、国会法制司法委員会で行われた「C上等兵特検法」についての立法聴聞会で、委員の質問に答えている/聯合ニュース

 大統領室が国防部に「海兵隊員C上等兵殉職事件」の記録回収を指示した具体的な情況が、「C上等兵特検法」の立法聴聞会でさらに明らかになった。国防部のユ・ジェウン法務管理官が「大統領室のイム・ギフン国家安保室秘書官(当時)が警察から電話が来ると知らせてきた」と陳述したことで、事件記録回収の指示が大統領室から始まったという疑惑はさらに色濃くなった。

■疑惑が色濃くなった大統領室による事件記録回収への関与

 21日に国会で行われた「C上等兵特検法」立法聴聞会で、ユ・ジェウン管理官は、事件記録回収当日の昨年8月2日に、国家安保室のイム・ギフン国防秘書官に「慶北警察庁から電話が来るだろう」と言われたと述べた。ユ管理官は、「イム・ギフン秘書官と電話でどんな内容の話をしたのか」というイ・ゴンテ議員(共に民主党)の質問に「そのような対話はしなかった。 イム秘書官から電話があり、慶北庁から電話が来るという話をした」と答えた。ユ管理官はその後、午後1時51分頃に慶北庁の幹部に電話をし、記録回収の意思を伝えたという。

 これまでイ・ジョンソプ前国防部長官は、自分がパク・チョンフン海兵隊捜査団長(大佐)を抗命の疑いで捜査するよう指示し、国防部の検察団が捜査の一環として警察に移牒されたC上等兵事件の捜査記録を回収したと主張してきた。だが、この日のユ管理官の証言によれば、イム秘書官がユ管理官に連絡する前に、大統領室がすでに介入して慶北警察庁と回収に関する調整を終えた状態だったわけだ。これまで「イム・ギフン秘書官→ユ・ジェウン管理官→慶北警察庁」と連なる通話記録が明らかになり、大統領室の指示がユ管理官を通じて回収指示につながったという推測はあったが、大統領室が主導した情況が具体的な通話内容として出たのは今回が初めてだ。 イム秘書官はユ管理官に電話する前の午後1時25分頃、尹錫悦大統領と通話した。

 これに先立ち、国家安保室とは別に、公職綱紀秘書官室も警察庁傘下の国家捜査本部課長を通じて慶北警察庁に「軍が事件記録を回収しようとしている」という趣旨の意思を伝えた事実が明らかになっている。海兵隊捜査団が警察に移牒した事件記録を回収するのに「公職綱紀秘書官室」と「国家安保室」が同時に関与したのだ。

 警察に移牒した事件記録の回収に大統領室が関与していたことは、シン・ボムチョル国防部次官(当時)の「失言」からも明らかになった。昨年8月2日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と通話したシン元次官はこれについて問われ、「それ(通話)は回収に関するもの」だと語った。しかし、民主党のチャン・ギョンテ議員に改めて「大統領は何と言ったのか。捜査結果を回収して来いということだったのか」と問われると、シン元次官は「明らかにするのは不適切だと考える。答えないことにする」と述べ、回答を避けた。

イ・ジョンソプ前国防部長官(右)とイム・ソングン元海兵隊第1師団長(左)が21日、「C上等兵特検法」立法聴聞会に出席している/聯合ニュース

■大統領に関連する質問には口を閉ざす

 一方、この日の聴聞会に出席した証人たちは、自身に関する疑惑については積極的に抗弁しつつも、尹大統領や大統領室に関連する質問や不利な質問には一貫して沈黙した。イ・ジョンソプ長官、シン・ボムチョル次官、イム・ソングン海兵隊第1師団長(以下、役職はいずれも当時)は聴聞会が始まると、証人宣誓を拒否した。「刑事訴追、公訴提起や有罪となることが懸念される場合は、証言を拒否することができる」とする刑事訴訟法148条をあげ、偽証の責任を回避したのだ。イ・シウォン公職綱紀秘書官は、証人宣誓はおこなったものの、ほとんどの質問に「捜査中の事案については、お答えするのが難しい」という言葉を繰り返し、退場措置が取られた。

 彼らは、特に尹大統領との通話内容については一貫して口を閉ざした。イ・ゴンテ議員に「電話で大統領からどんなことを言われたのか」と問われると、イ・ジョンソプ長官は「国防部長官と大統領の通話を明らかにするのは適切ではない」と述べた。尹大統領とイ長官は事件記録回収の当日、午後12時7分から3回も通話している。イ長官は、警察から回収したC上等兵殉職事件の記録を国防部調査本部で再検討することを決めた昨年8月8日にも、尹大統領と早朝に通話している。イ秘書官も、事件記録回収などの過程での公職綱紀秘書官室の役割などについて、一貫して答弁を拒否した。

■事件関係者、国会で虚偽答弁

 最近、C上等兵殉職事件捜査外圧疑惑の関係者たちの通話内訳が確認されたことで、この日出席した証人たちが昨年国会で虚偽答弁をおこなっていたことも改めて明らかになった。イム・ギフン秘書官は昨年8月の国会運営委員会で、尹大統領が「激怒」した昨年7月31日に海兵隊のキム・ゲファン司令官と通話したかどうかを問われ、「していない」と答えた。しかし最近公開されたイム秘書官の通話記録を確認すると、イム秘書官はその日、キム司令官と2度通話していた。これについてイム秘書官はこの日の聴聞会で、「(通話の)日付を勘違いした」と述べた。シン・ボムチョル次官も当時、尹大統領と国防部長官との間で通話がなされたかを問われ、「通話していないと認識している」と答えた。しかし最近、尹大統領とイ長官の通話内訳が明らかになり、このような発言の信憑性が疑われている。これについてシン次官は聴聞会で、「(過去の国会では)7月31日に大統領は長官と通話したのかという趣旨だと理解した。長官が『していない』と言っていたので、していないと申し上げたもの」と言葉を濁した。

 一方、安保危機などを理由としてオンラインで聴聞会に参加したキム・ゲファン司令官は、「VIP(大統領)激怒説」について、これまでは「激怒説は事実ではない」として否認してきたが、この日は証言そのものを拒否した。キム司令官は祖国革新党のパク・ウンジョン議員に「パク・チョンフン元海兵隊捜査団長にVIPが激怒したという話をしたことはあるか」と問われ、「証言を拒否する」と述べた。その後、チョン・チョンネ法制司法委員長にも重ねて問われたが、キム司令官は証言を拒否した。一方、パク・チョンフン捜査団長は「(キム司令官から)激怒の話をはっきりと聞いた」と答えた。

 キム司令官は今年2月、パク団長の抗命容疑の軍事裁判に証人として出席し、裁判長に「(パク団長は)『キム司令官が7月31日、このようなことで師団長まで処罰したら大韓民国で誰が師団長をやれるのかと大統領が国防部長官を叱責した、国防についてここまで激怒なさったことはなかった』と(述べたと)陳述した。そのような話をしたのか」と問われ、「そのような事実はない」と答えている。

ペ・ジヒョン、クァク・チンサン、チョン・グァンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1145959.html韓国語原文入力:2024-06-21 19:01
訳D.K

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