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ソウル大学病院「無期限集団休診」拡大か…韓国の医療空白、答えなし

登録:2024-06-07 08:43 修正:2024-06-07 09:18
6日午後、ソウル市内のある大病院で、医療関係者が救急医療センターに向かっている/聯合ニュース

 ソウル大学病院の教授たちが17日から救急室と集中治療室以外の無期限全面休診を決議したことで、医師団体の集団行動は新たな局面に入りつつある。ソウル大学病院における医療への支障はさらに深刻になる可能性があるうえ、他大学の医学部の教授も同調する可能性が高まっている。政府が業務開始命令を撤回するなどの融和策を提示したにもかかわらず、医療界の反発はさらに強まっているため、医療の空白は深刻化する兆しを見せている。

 6日にソウル大学医学部・ソウル大学病院教授協議会非常対策委員会(非対委)が決議した全体休診は、開始日だけが17日と定められており、無期限だ。救急室や集中治療室などの必要不可欠な部署以外の全体が休診するという決定であるため、これまでの個別休診より強硬な態度だ。

 これは、2回にわたって所属教授に対しておこなったアンケート調査の結果に沿ったものだ。今月3~6日に「教授の行動の方向性」を問う第1次アンケート調査では、939人の回答者の63.4%が「休診を含む強硬な闘争」に賛成。続く5~6日の「休診の方式に同意するかどうか」を問う第2次アンケート調査では、750人の回答者の68.4%が「救急室や集中治療室などの必要不可欠部署以外の全体休診」に参加すると回答した。

 非対委の要求は、政府は専攻医に対する行政処分の可能性を全面的に除去せよというもの。保健福祉部は4日、このかん強調してきた「法と原則」を曲げ、専攻医に下した診療維持命令や業務開始命令などを撤回するとともに、免許停止の行政処分手続きを中断することを表明した。だが、ソウル大学医学部の教授たちは、「命令」、「処分」はいつでも再開されうると考えている。非対委は、福祉部の発表より前の、辞表提出を開始した2月19日から6月3日までの行動が「違法行為」と判断される可能性があるとし、政府が専攻医に下した命令と処分の「全面取り消し」を主張している。

 非対委が予告通り17日から全面休診に突入すると、ソウル大学病院の医療にさらに支障が出るのは避けられない。非対委には、ソウル大学病院はもちろん、盆唐(プンダン)ソウル大学病院、ソウル市ポラメ病院、ソウル大学病院江南(カンナム)センターの4つの病院の教授が所属している。ソウル大学病院はすでに診療に支障が出ている。ソウル大学病院は専攻医の割合が46.2%(昨年12月時点)で、ソウルの主要な5つの病院の中で専攻医への依存度が最も高いため、診療の空白も最も深刻になっていた。2月1~7日と比較すると先月31日の外来患者は57.8%に減っており、ソウル峨山(アサン)病院(77.2%)、サムスンソウル病院(71.9%)、セブランス病院(66.6%)、ソウル聖母病院(59.8%)の、いわゆる5大病院の中でも減少率が最大となっている。さらに、ソウル大学病院(1803床)と盆唐ソウル大学病院(1335床)は難しい医療行為を専門とする上級総合病院であると同時に、ソウルと京畿圏域の責任医療機関だ。ソウル大学病院の関係者は「どのように(全体休診に)参加して診療日程を調整するかによって、及ぶ影響も変わるだろう。状況を見守っている」と話した。

 他大学の医学部の教授たちも、休診などの今後の闘争方向をめぐって内部で議論を開始する計画だ。高麗大学医学部教授協議会のイム・チュンハク共同非常対策委員長は、「今週中に非常対策委員会を開き、全教授アンケートなどについて議論する」と語った。カトリック大学医学部教授協議会のイ・ドサン会長は、「ソウル聖母病院は休診を週1回実施中だが、ソウル大学病院非対委の決定について内部で議論する」と述べた。

 このように医師の休診範囲が広がるとともに、さらに強硬になる兆しを見せていることから、政府は対策に乗り出す。保健福祉部のキム・グギル保健医療政策官は、「7日午前の医師集団行動中央事故収拾本部(中収本)の会議で(対応策を)協議する予定」だと述べた。

 いっぽう患者諸団体は、診療被害に懸念を表明しつつ、全体休診決定を批判した。患者団体連合会のアン・ギジョン代表は、「医療界は、政府に反対する方法として患者に被害を与える方策を選んできた」とし、「患者に被害が発生しない状態で政府に対して闘争していたなら、誰も反対しない」と述べた。韓国重症疾患連合会のキム・ソンジュ会長も声明で、「ソウル大学医学部の教授たちが無期限集団休診を決議したのは、国民の命より医療集団の利己主義を合理化することで患者たちを投げ捨てた無責任な態度」だとし、「患者の生命権を奪う非人道的な決定を直ちに撤回せよ」と述べた。

イム・ジェヒ、ソン・ジミン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1143822.html韓国語原文入力:2024-06-06 22:28
訳D.K

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