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重大災害法の新規適用対象83万事業所で「安全セルフ診断」開始=韓国

登録:2024-01-30 09:23 修正:2024-01-30 09:44
イ・ジョンシク雇用労働部長官が29日午前、中小零細企業への重大災害処罰法適用に向けた事業所視察でソウル中区明洞のある飲食店を訪れ、炭窯をチェックしている/聯合ニュース

 重大災害処罰などに関する法律(重大災害処罰法)が5~49人の事業所にも適用された中、韓国政府は事業主自らに事業所内の危険性の高さを評価させ、支援を要請させる産業安全大診断を開始した。法の拡大施行に伴い、制度の定着に向けた政府の対策が始まったわけだが、規模の小さい事業所であればあるほど頻繁に発生する労働災害の防止のための支援が不十分だとの懸念は消えていない。

 労働部は29日、「重大災害脆弱分野支援推進団第1回会議」を開催し、5~49人の事業所全83万7千カ所に対する産業安全大診断の実施を骨子とする細部内容を確定した。これに沿って、この日から4月末まで産業安全大診断が実施される。大診断は、事業主などが自己診断表を自ら作成し、安全保健公団のウェブサイト(www.kosha.or.kr )、郵送、訪問のいずれかで報告するかたちで行われる。自己診断は、業種や規模などの事業所の基本情報▽危険度および対応の程度▽安全保健管理体系、の細部項目からなる15の簡単な質問に答えるというもの。例えば、「事業主が定めた明確な安全方針や具体的な目標があるか」などの質問に、「1)まったくない~5)ある」などの5段階評価で答える。

 自己診断を終えたら、事業所の安全が赤、黄、緑の3段階で評価される。安全管理体系の構築が不十分なことを意味する赤と診断されれば、政府支援事業を申請するよう案内される。評価結果が黄色であれば政府支援事業の申請または自主改善、青は自主改善が求められる。

29日から事業主は、安全保健公団のウェブサイト(www.kosha.or.kr )のバナー「産業安全大診断」をクリックして自己診断を行うと、希望する政府支援が申請できる=安全保健公団のウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 重大災害処罰法は事業主(経営責任者)に安全・保健確保義務を負わせ、既存の産業安全保健法(産安法)などの安全規定を徹底して順守させることで、重大災害を防止するための法だ。法の趣旨をきちんと生かすためには、政府の支援という後押しがなければならない。50人未満の事業所の事業主は事業所の有害・危険要因を把握して改善策を立て、それを実行し続けるために政府のコンサルティングや財政支援、教育などの7つの事業を申請できる。より詳しい内容は全国30の安全保健公団に設置された相談センターで案内が受けられる。

 だが、80万を超える事業所の安全保健管理の状況を正確に診断し、問題の改善を支援するための人材と財政が不足しているという指摘もある。例えば有害・危険要因の点検などを支援するコンサルティング事業の場合、今年確保されている支援予算は約2万8千事業所分のみ。産業安全大診断も事業主自らが情報を入力するというやり方で、診断を行わない事業所に対する管理は特に行われない。

 全国民主労働組合総連盟のチョン・ホイル報道担当は「重大災害処罰法が全面的に施行されるだけに、より多くの企業が支援を受けられるよう、人材や予算などを積極的に拡大し、安定的に運用する必要がある」と話した。

チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1126383.html韓国語原文入力:2024-01-29 17:51
訳D.K

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