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大衆の熱望に合わせる戦略的‘左翼ポピュリズム’省察の要

登録:2010-04-22 10:34

原文入力:2010-04-21午後07:32:55(2159字)
分断など特殊な韓国的状況で
‘保守のフレーム’をひっくり返す想像が必要

ポピュリズム論争

今週を最後にこの間シン・ジンウク中央大教授,アン・ビョンジン慶熙サイバー大教授,イ・ドンヨン韓国芸術総合学校教授などのリレー寄稿を続けてきたポピュリズムに対する紙面論争を終える。次はチョ・ヒヨン聖公会大教授(社会学)の寄稿文だ。

←チョ・ヒヨン聖公会大教授

ポピュリズム論争には3つ争点があると見る。ポピュリズムの動力がどこから発生するのか、ポピュリズムの動力はどのような複合的性格を持つのか、ポピュリズム的動力がどんな指向の政治的エネルギーとして現実化されるか、という点だ。シン・ジンウクが2番目と3番目の争点を扱ったとすれば、イ・ドンヨンは2番目の争点を、アン・ビョンジンは最初の争点を扱っていると考えられる。筆者は若干別の方向からポピュリズム論争を韓国進歩の戦略的実践と関連させ拡張してみようと思う。なぜならポピュリズムに対する最近の新しい議論は、進歩の観点から見て右翼ポピュリズムがどうして大衆的動員に成功するのかを再省察すればよいかを考えるところに、その問題意識があると考えられるためだ。

その問題意識を尖鋭に表わすために、筆者は韓国の脈絡で‘左翼ポピュリズム’を想像してみればどんなものかという問いを投げようと思う。さらに具体的に話してみよう。反独裁改革自由主義政府だったと言える盧武鉉政府は、議会の過半数を占めた2004年にいわゆる‘4大改革立法’を推進しようと考えた。それはもちろん進歩が実現しなければならない重大な政治改革議題であった。ところで万一、無償給食,無償保育,無償医療,大学授業料無償のような議題で構成された‘4大社会経済改革立法’を急進的に推進しようと考えたとすればどのようになっただろうか。当時、多くの保守的言論は4大改革立法を推進する盧武鉉政府を‘ポピュリズム’的だとし、じゅうたん爆撃した。万一、ここで想像した‘左翼ポピュリズム’的観点を導入し、4大改革立法過程で "盧武鉉政府は保守の批判のようにポピュリズム的ゆえに‘失敗’したのではなく、正確な社会経済的イシューとして‘十分にポピュリズム的でなくて’失敗‘した’"と評価するならば、状況を全く違うように解釈することができる。この点が既得権勢力が強力に布陣している制度圏を迂回し多様な社会経済的ポピュリズム政策を施行したタイの‘権威主義的’ポピュリスト タクシンと盧武鉉が区別される点だ。

ここで私たちはポピュリズムとは何かという問題に直面することになる。通常、人民主義あるいは民衆主義と訳されるポピュリズムは、韓国では人気迎合主義そして制度的手段を無力化した大衆動員戦略のような‘形態的ポピュリズム’を中心に否定的に理解される。しかし、筆者はポピュリズムの合理的核心を制度的通路によっては反映されない大衆の政治的・社会経済的要求を政治指導者あるいは勢力が特定の方式で受け入れ・専有すること、そしてそれを通じて自らの大衆的基盤を強化することと見る。ラクラウの表現を借りればポピュリズム的情緒はそれを "受け入れることのできない制度的体系の無能力" と現れる。しかしこういう情緒がほとんど例外なしに右派のポピュリズム政策中に吸収・統合され、右派の政治的土台となっているということが討論の主題だ。

ここでアン・ビョンジンの表現どおり‘保守が大衆的欲望と結合する深さと程度’を進歩が凝視しなければならない必要が提起される。問題は韓国の分断の現実および強固な保守の力が、ポピュリズムという否定的規定を通じ進歩の急進的想像力を制約しているという点だ。ジジェクの表現を借りれば、全体主義やポピュリズム,共産主義などの言語は進歩と改革勢力の急進的想像力を制約する-そして自由民主主義のヘゲモニーを保障する複合的任務を遂行する-一種の知的な‘口栓’の役割を果たす。ホ・ギョンヨンの政治ギャグは制度化された政治によって実現されることのできない‘急進的な要求と不満’がギャグの形だけで政治の場に入ってくるということを悲しく語る。

もちろん筆者は民主主義自体の急進的拡張を通じ制度化された民主主義が社会との乖離を極小化し、離反された社会的要求が多様なチャンネルで吸収されなければなければならないと考える。‘良い政党’を通じて、またシン・ジンウクが強調するように大衆民主主義的通路を通じて大衆の要求と理解され、さらに多く民主主義の‘内部化’を成し遂げるようにしなければならず、大衆の挫折と熱望とが右翼ポピュリズムの動力とならないよう努力しなければならない。しかし次期民主政部ができた時、あるいは進歩政党政府ができた時、どのようにして保守政権下で裏切られた大衆の要求と利害を取りまとめるのかを想像する上で‘左翼ポピュリズム’の観点を代入してみようと提案してみたい。
 <終わり>

チョ・ヒヨン聖公会大教授

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/417141.html 訳J.S