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「朝鮮半島の戦争構造を変える力を作ることこそ進歩政治の大きな課題」

登録:2023-11-10 06:45 修正:2023-11-10 08:45
KAISTのユン・ヨンサン助教授//ハンギョレ新聞社

 「朝鮮半島の戦争構造と韓米同盟の現実を認めつつも、それを変えうる力を作り出すことこそ最も重要な課題の一つだ」

 韓国科学技術院(KAIST)文述未来戦略大学院のユン・ヨンサン研究助教授は「朝鮮半島の戦争構造と韓米同盟」を「韓国政治の変化を促すために最も克服すべき3つの核心的、構造的制約」の一つにあげた。戦後70年が経過しても戦時作戦統制権が返還されず、南北首脳会談が5回行われたにもかかわらず朝鮮半島の平和体制が実現できず、その中で「北朝鮮の核問題」は日増しに悪化するという現実は、「朝鮮半島の戦争構造と韓米同盟」なしには説明できないということだ。

 同氏は最近出版した『改めて進歩の道を問う』(木と森刊)で、「(1987年の)6月抗争や朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾事態の中でも、保守勢力が揺らぐことなく強力に存在しうる構造的基盤こそ、朝鮮半島の戦争秩序」だと指摘する。そして「北朝鮮と米国を変化させてこそ、70年以上にわたる戦争秩序は変えられる」としつつも、「韓国の保守政治勢力を圧倒し、米国を変化させうる構造的な力と政治力が作り出せなければ、南北関係、韓日関係、韓中関係のバランスの取れた発展は不可能だ」と強調する。同氏が「天の意思を知る時(知天命)」と言われる50代にして大学院に入り、「韓国政府の朝鮮半島冷戦解体戦略の研究」(2018年、北韓大学院大学)で博士号を取得したのはそのような考えが背景にある。

著書『改めて進歩の道を問う』の表紙//ハンギョレ新聞社

 ユン氏は今、「反米」や「1980年代式の進歩運動の復元」を主張しているのではない。例えば、韓国政治の「3つの構造的制約」のもう一つとして「世界資本主義秩序に縛られて成長してきた経済構造」を指摘しつつも、「韓国経済の安定性の確保の努力なくして成長も分配も推進しえない」と断言する。変化を目指すにしても、「構造的制約」を見過ごしてはならないということだ。

 1983年の大学入学から今まで「進歩政治」の基礎の構築と拡大に努めてきた。1985年、韓国社会を揺るがした米国文化院占拠事件で投獄・除籍され、釈放後は仁川(インチョン)・京畿地域で労働運動に従事。その後、進歩政党推進委の政策局長、民主労働党政策委副議長、進歩新党政策委副委員長などを歴任した。要するに「進歩政党建設運動」に若き日々をささげてきたのだ。

 ユン氏は「韓国進歩政治運動の最も深刻な問題点は、民主大連合と政治的独自性を効果的に結び付けられなかったこと」だとし、「私たちには違いを認めつつも連帯・連合する能力があまりにも足りない」と語る。裏を返せば、韓国政治の発展を押さえつける「構造的制約」を突破するには依然として、政治的独自性を維持しつつ「民主大連合」を具現化する勢力の形成・強化、すなわち「両翼戦略」の実現が必要であるという主張だ。ただし「政治的独自性」とは独自政党のみを意味するわけではない。同氏は7日のハンギョレの電話取材に対し、「(『民主大連合』と『政治的独自性』を効果的に結び付け、韓国政治を発展させる努力を)最後まで続けていきたい」と述べた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1115696.html韓国語原文入力:2023-11-09 18:26
訳D.K

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