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「大統領、記者会見はいつ?」…メディアとの意思疎通がすっぽり抜けた韓国の1年

登録:2023-11-09 09:37 修正:2023-11-09 09:47
尹錫悦大統領が7日、大邱達城郡にある朴槿恵元大統領の自宅で、朴元大統領と対話している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 「国民との意思疎通は必ずしも記者との意思疎通に限られるわけではない。(尹錫悦大統領は)国民の参加する行事も非常に多く実施したということを申し上げる」

 7日にキム・デギ大統領秘書室長は国会運営委員会による国政監査で「尹大統領はメディアとの意思疎通がない」と指摘され、このように答えた。

 尹大統領の意思疎通の対象からメディアが除外されてから、すでに1年。

 ソウル江西区長補欠選挙での敗北後、危機を感じたという尹大統領は先月、国民との意思疎通、現場との意思疎通、政府与党の意思疎通を進めるよう述べながらも、メディアとの意思疎通には言及しなかった。

 大統領室は尹大統領の記者会見の可能性を問う記者団に「様々な方策を検討中」と答えるにとどまった。

 尹大統領が記者会見をおこなったのは、昨年8月の「就任100日記者会見」が唯一だ。

 大統領室の龍山(ヨンサン)移転の象徴だった出勤途上の略式会見(ドアステッピング)は、昨年11月に中止された。記者たちは1年近く、尹大統領に直に質問を投げかける機会を得られずにいる。キム室長は略式会見の中止の問題点を指摘する野党議員に対し、「どうして記者たちは乱暴に近い行動を取るのか」と反論した。

 大統領室は複数のパネラーが参加する請願懇談会を意思疎通の場と考えている。

 このような懇談会では、大統領を不快にさせる質問は出ない。1日に開催されたタウンホールミーティング形式の非常経済民生会議では、カカオモビリティーの独寡占問題について質問したパネラーが、大統領選挙で当時野党の「国民の力」の釜山(プサン)選挙対策委員会の共同選挙対策委員長を務めた幹部党員であったことが明らかになり、「民生ショー」だとの批判を浴びた。

 尹大統領は日程や発言の公開、政策の宣伝などを大統領の積極的な意思疎通だと考えているようだ。しかし、大統領はメディアの不快な質問から逃げてはならず、監視とけん制を受けなければならない。

 尹大統領は当選当初の「メディアのそばで提言も苦言も傾聴するよう心掛ける。メディアとの意思疎通は究極的には国民との意思疎通だと思う」という初心を思い起こすべきだ。

ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1115550.html韓国語原文入力:2023-11-09 05:00
訳D.K

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