記事入力:2008-12-03午後11:43:37
貯蓄銀行不動産PF 1兆買い入れ
不動産沈滞・景気下降クッキリ…“1兆で収拾 不可能”
自助努力なしに不良債権高価買入 '論議’
アン・ソンヒ記者キム・ギョンナク記者
政府の金融圏不良債権整理のための事実上の公的資金投入が結局この間最も弱い輪と見なされていた貯蓄銀行プロジェクト ファイナンシング(PF)貸し出しから始まった。ひとまず1兆ウォン規模で始まったが、今後不動産景気沈滞が進行する程度によっては雪だるまのように増える可能性がなくはない。投入対象も貯蓄銀行だけでなく銀行・キャピタル社など金融圏全体に広まり不良の範囲もPF貸し出しから一般建設会社貸し出し,造船・海運会社貸し出しなどに拡大する恐れがある。
■ 1兆ウォンで終われるか? 政府は貯蓄銀行PF事業場の中で事業性がない所(‘悪化憂慮’事業場)が全体の12%(金額基準、事業場数基準では21%)と判断した。残りは事業性が良好で、自力で貸し出し金を返すことができるということだ。だが、これは政府の‘希望事項’に終わる可能性が大きい。
ある証券会社アナリストは3日「‘事業性’を判断するには、今後の不動産景気をどう見るかが最も重要だ」として「政府が‘注意’事業場だと曖昧に表現した33%の事業場まで含め半分程度は不良可能性が高いと見なければならない」と語った。
貯蓄銀行PF貸し出し延滞率を見れば、昨年末11.6%,今年1分期14.5%,2分期14.3%,3分期16.9%に急速に高まっている。これは不動産景気沈滞が今年に入り激しくなったためだ。専門家たちは来年に回復する可能性も高くないと展望している。
建設景気下降が続けばPF貸し出しだけでなく建設会社と不動産業(施行社など)に対する一般貸し出しもまた危険になる。貯蓄銀行よりさらに事業性が低いPF事業場貸し出しを行っているキャピタル社や事業性は少し良好だが規模が貯蓄銀行の四倍もなる都市銀行に不良が広まる可能性が大きい。イ・ユソプHMC投資証券アナリストは「重要なのは現状ではなく今後どのくらい不良債権が発生するかだ」として「景気下降が明確で不良債権が急増することが明確なのに1兆ウォン程度で対処することは不可能だ」と語った。
■貯蓄銀行 自助努力なしに政府が抱え込む
この日、政府対策の中でKAMCO(資産管理公社)の不良債権買い入れ価格も論議を呼んでいる。債権価格(貸し出し額)の70%という高い価格で不良債権を買いとってくれるが、これにともなう貯蓄銀行側の自救努力は殆どない。
例えばKAMCOが買い入れるPF貸し出し債権が500億ウォン,積み立てられた引当金が150億ウォンならばKAMCOはPF貸し出し債権を350億ウォンで買いとってくれる。買い入れ金額中70%にあたる250億ウォンは現金や公社債で,100億ウォンは次順位公社債で支給する。 その後KAMCOが競売や公売をして超過額や不足額を事後精算する方式だ。市場では70%という価格は事実上‘特典’水準だと言われている。政府は70%以下に売れた場合は事後精算を通じてKAMCOが差額を返してもらうことができると説明するが、最悪の場合貯蓄銀行自体が不良化すれば血税を失うことになるわけだ。
政府はまた、事後精算にともなう追加損失予想額について貯蓄銀行側が2~3年にかけて段階的に引当金を積み立てすることができるように許容することにした。だがこういう‘恩恵’を与えるのに反して貯蓄銀行側に要求した条件は殆どない。国際決済銀行自己資本比率が5%未満に下落すると予想される貯蓄銀行に限り‘資本拡充履行’という監督規定上の当然の要求をしただけだ。キム・グァンス金融委監督サービス局長は「今回のPF貸し出し(債権の)買い入れはKAMCOが通常行っている不良債権買い入れ事業の延長線上であり市場価格で行うため貯蓄銀行側に特別な恩恵を与えるものではない」と語った。
政府は不良憂慮貯蓄銀行リストを明らかにするとか明確な構造調整計画も出すこともなく、貯蓄銀行圏全体に対する不安感もまた相変らず持続している。 アン・ソンヒ,キム・ギョンナク記者shan@hani.co.kr