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尹大統領が約束した「年金改革」…福祉部ばかりに押しつけ?

登録:2023-04-08 01:54 修正:2023-04-08 08:37
先月7日、ソウル中区のプレジデントホテルで行われた国民年金基金運用委員会に出席したチョ・ギュホン保健福祉部長官/聯合ニュース

 「すでに国会年金改革特別委員会に期待することは困難です。これからは長官の時間です」

 先月29日に国会で行われた年金特委の全体会議で、野党「共に民主党」のキム・ミンソク議員がチョ・ギュホン保健福祉部長官に投じたこの言葉は、「国民年金改革」推進の現状を要約して示す。これまでの尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の年金改革は、国会と福祉部が役割を分担するツートラック構造で進められてきた。福祉部は国民年金法に則って長期的な財政の見通しを計算し、改革に必要な基礎資料を作った。年金特委は民間諮問委員会を組織し、保険料率や所得代替率などの調整案を議論した。

 福祉部は昨年11月に第1回国民年金財政計算委員会を開催することで年金改革の論議を開始した。同月、年金特委も16人の専門家からなる民間諮問委を発足させたため、年金改革は急速に進むかにみえた。民間諮問委が2023年1月末までに複数の改革草案を年金特委に提出すれば、特委は世論の集約を経てその年の4月末までに具体案を導き出す計画だった。福祉部はこれを受け、国民年金総合運営計画を「10月国会」に提出するとしていた。

 しかし、民間諮問委が当初計画していた日程どおりに改革案を導き出せなかったことで、議論の過程がぎくしゃくしはじめた。民間諮問委では、財政を安定させるために現在は月所得の9%となっている保険料率を15%に引き上げようとの主張と、保険料率は引き上げる一方で2023年の42.5%から2028年までに段階的に40%にまで引き下げることにしていた所得代替率を50%に引き上げようとの立場が対立した。議論の終盤には「保険料率15%、所得代替率45%」などの折衷案も提示されたものの、意見の違いは埋まらなかった。結局、先月29日に民間諮問委が年金特委に提出した最終報告書には、合意案は記載されず、これまでの議論の経過だけが盛り込まれた。

 年金特委と民間諮問委の活動期間は今月末までだ。活動期間を延長するためには国会本会議の議決を経なければならないが、政界が延長するかは不透明だ。来年4月の総選挙が近づいてくるほど、保険料率引き上げのような「人気のない」改革の推進は負担になるからだ。野党は、尹錫悦大統領が教育、労働と共に「3大改革」として掲げてきた年金改革は早期には扱わないという雰囲気だ。先月29日の年金特委の全体会議で、共に民主党の委員たちは「政府与党の年金改革の意志がないと読み取れる」(民主党キム・ソンジュ議員)と述べ、特委空転の責任を与党「国民の力」に押し付けた。「これからは長官の責任だ。なす術がない」(キム・ミンソク議員)と政府に迫った。国民の力のペ・ヒョンジン議員が「年金特委の期間を延長しよう」と述べたものの、具体的な議論にはつながらなかった。

 今月末に年金特委が成果なく終了すれば、年金改革論議は福祉部だけの荷物になる。公的年金の持続可能性を高めつつも老後の所得保障を強化する高次方程式を、福祉部は解かなければならない。国民に改革の必要性を説得したり、世論を集約したりする作業も福祉部の役割だ。しかも昨年は国民年金基金の運用収益率が過去最低の-8.22%にまで落ち込んだことで、基金の収益率の向上策を探れという「上層部」の号令も飛んでいるとささやかれる。福祉部は今年10月までに、これらすべての宿題を解くことができるだろうか。結果が思わしくなければ、重い荷物を政府だけに押し付けた国会も責任追及は避けられない。

チョン・ホソン|人口福祉チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/1087021.html韓国語原文入力:2023-04-07 22:27
訳D.K

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