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韓中日保有の米国債、大規模売却…FRB、通貨スワップに乗りだすか

登録:2022-09-22 06:38 修正:2022-09-23 04:59
21日午後、ソウル中区にあるハナ銀行のディーリングルームでディーラーたちが業務している。この日のウォン・ドル相場は午前より4.7ウォンのウォン安ドル高の1394.2ウォンで取引を終えた/聯合ニュース

 最近、韓国・中国・日本などが保有する米国債を大規模に売却する流れが続いている。特に、為替レート維持のために国債を売る一部の国々の動きは、国債価格を引き下げる圧力として作用している。このような売却傾向が続き、代表的な安全資産である米国債の価格が大きく揺らぐと、金融市場全体が不安定に陥る可能性もある。

 21日の米財務省の集計によると、海外の米国債の保有額は、昨年末の7兆7476億ドルから今年7月末には7兆5012億ドルに減少した。6~7月に反騰したが、流れとしては減少傾向が続くかたちだ。中国(-987億ドル)と日本(-697億ドル)の保有額が一番多く減り、韓国も189億ドル減少の1123億ドルだと集計された。中国と日本は通貨緩和の方針を維持しているだけに、中央銀行ではなく、個人・機関投資家が為替差益などを目的に売却したものと推定される。一方、韓国を含む他の一部の国々は、自国の通貨の価値を維持するため、保有する米国債を売り自国の市場にドルを調達したものとみられる。

 テンポが速まった米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緊縮(貸借対照表の縮小)も、米国の公債市場では不安定要素だ。今月からFRBは、保有する米財務省発行の国債のうち毎月600億ドル分までは、償還満期になっても再投資しない方針だ。その分、保有国債は減少することになる。6~8月の上限(300億ドル)の2倍だ。すでに政策金利が速いテンポで上昇しているだけに、FRBの国債保有額の減少は、国債価格の急な下落(債券利回りの上昇)につながる可能性が高い。外国為替市場の関係者は「FRBも、中長期的には国債市場の不安定要素に悩むことになるだろう」と述べた。

 実際、米国債の利回りは過去十数年ぶりの最高値を更新しており、上昇カーブを描いている。米国債10年物は19日(現地時間)、2011年4月以来初めて年3.5%を超えた。投資家の激しい売りの傾向で利回りが上昇(国債価格の下落)したのだ。基準金利に敏感に連動する国債2年物利回りも、15年ぶりに最高値の年3.94%まで上昇した。FRBの金利引上げはさらに激しくなり長く続くものとみられ、市場も敏感に反応したかたちだ。

 米FRBが通貨スワップに乗りだす可能性が提起されているのもこのような背景からだ。海外の国々の国債売りの傾向は国債価格を下げ、国債価格の下落はいっそうの売りの傾向につながる悪循環が生じることになる。全世界で最高の安全資産である米財務省債券の価格が揺らぎ、金融市場全体が不安定になる可能性があるということだ。スワップ締結が為替安定につながり、国債売りの傾向が落ちつくのであれば、FRBの立場としても役に立つと判断する可能性がある。ただし、通貨スワップが、投資家の不安心理を和らげるだけでなく、市場の名目為替レートに直接の影響を与えるのは難しいという点は変数だ。

 国債価格を守るためにFRBが考案した制度が、今回効果を発揮するかにも関心が集まる。FRBは、米国債を転売条件つきで買いとりドルを供給するFIMAレポファシリティを、2020年から運用している。海外の中央銀行が保有する米国債を担保として提供しドルを借りる方式であるため、米国債の値下がり圧力を減らすことができる。中央銀行が国債を市場で売ることなくドルを調達可能だからだ。韓国銀行も昨年、上限600億ドル(調達金利年0.25%)で契約を締結した。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1059568.html韓国語原文入力:2022-09-22 02:49
訳M.S

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