本文に移動

韓国の「カエル混入給食」どうして若大根ばかり

登録:2022-06-22 02:52 修正:2022-06-22 08:10
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 最近、ソウル所在の2つの高校の給食に死んだカエルが混入しているのが相次いで発見され、教育当局が調査に乗り出しました。死んだカエルが発見されたおかずは偶然にも、両者とも「ヨルム(若大根)キムチ」でした。10年あまりさかのぼる2011年にも、京畿道のある中学校の給食から死んだカエルが発見されています。やっぱりメニューは「ヨルムキムチ」でした。教育部が全国のヨルムキムチ納品業者に対する全数調査を実施することを決めた中、なぜよりによってヨルムキムチからカエルが相次いで発見されるのか、本紙はニュースASでまとめました。

「カエル混入ヨルムキムチ」は食物連鎖のせい?

 給食用ヨルムキムチから死んだカエルが初めて発見されたのは先月30日、ソウル江西区(カンソグ)のある高校でした。2週間あまりたった16日にはソウル中区(チュング)の高校の給食で、その日のメニューのヨルムキムチマリグクス(ヨルムキムチののったそうめん)から死んだカエルが発見されました。

 直ちにソウル市教育庁は納品業者と学校に対する調査を行う一方、管内の小中高校と特殊学校の給食のメニューから夏休みに入るまでヨルムキムチを除外することを決めました。正確な調査結果は出ていませんが、ソウル市教育庁は原材料にカエルが混入し、その後も漬け込み、洗浄、脱水の過程で取り除かれなかったと推定しています。教育部も、学校給食にヨルムキムチを納品する全国の製造業者に対して全数調査を行うとのことです。

先月30日、ソウルのある高校の給食から発見された死んだカエル=ツイッターより//ハンギョレ新聞社

 半月の間に同一のメニューから死んだカエルが出てきたことで、若大根にもかつてなかったほどの関心が集まっています。一体なぜ若大根なのかというわけです。農業をしているというあるネットユーザーは自身のブログに「若大根は各種のガの仲間が接近しやすい条件を備えているため幼虫が多く生じ、食物連鎖に従ってアマガエルが近づいてきます。もちろんガの仲間を防除すればアマガエルがいるはずはありません」という文章を載せています。若大根にはアマガエルの好む幼虫が多く、そのような餌がいるということは農薬を使っていないという証拠だという趣旨として読み取れます。

 しかし農家は「若大根」ばかりがにらまれるこの状況は悔しいとの立場です。京畿道抱川(ポチョン)で若大根農場を営むAさんは「(カエルの餌となる)ガのような虫はあらゆる野菜にいる。若大根そのものの問題ではない」と述べています。干ばつのような天候がカエルの生息に影響を与えたのではないか、という推論に対しても首を横に振ります。同地域の別の若大根農場の関係者のBさんは「今年が特に畑にカエルが多いというわけではない」とし、「昨年も今年も似たような環境で農産物を育てている」と言います。

 栽培作物や両生類を研究する専門家たちも、カエルが若大根畑に最近特によく現れているということは研究では確認されていないと口をそろえます。農村振興庁傘下の国立園芸特作科学院のある研究員は「白菜、キャベツ、大根などの白菜の仲間に主に生息するガは存在するが、それが若大根だけに多く分布するケースが確認された研究はない」と説明しています。ソウル大学のミン・ミスク研究教授(獣医学部)は、「カエルはガや羽虫のような昆虫類を好むため、夜間に餌を求めて畑に入ったりする」とし、「それはカエルの習性であるため、天気とは関係なく起きる」と話します。ミン教授はまた、カエルの毒性に対する不安の声があがっていることについて「ヒキガエルやチョウセンスズガエルなどの特定の種には毒性があるが、一般のアマガエルには毒性はない」と付け加えました。

問題はずさんな製造・検査である可能性が高い

 農家や専門家の話を総合すると、給食から死んだカエルが見つかったのは若大根でもカエルのせいでもないようです。結局はキムチ製造および検査段階できちんと取り除かれなかった可能性が高いということです。まず、学校でのヨルムキムチの配食の特性上、カエルを取り除くのには難しい面があります。ヨルムキムチは白菜キムチのように包丁で切る過程がなく、完成品の形で納品されて配食されるためです。ソウル市教育庁の関係者は「ヨルムキムチの色のせいでカエルが目立ちにくく、(学校で)手を加える過程もなく冷蔵保管して配食される」と語ります。

 給食を扱う人員の不足も問題だと指摘されます。民主労総サービス連盟全国学校非正規職労組の関係者は「集団給食は決められた時間に調理を終えることがカギ」とし、「現在の人数ではヨルムキムチをいちいち広げて確認するのは困難。検査を強化するためには適正な人員配置が必要だ」と強調します。

 教育部は、学校給食にヨルムキムチを納品する業者の名簿の報告を21日までに受け、その後、管轄機関である食品医薬品安全処や各地方自治体と共に工程と検査過程に対する調査を開始します。教育部によると、ヨルムキムチに関するHACCP認証を受けている業者は全国に400社あまり存在し、そのうち学校に完成品を納品している業者を教育部が詳しく調査するということです。HACCPは異物混入はもちろん、食品の生物、化学、物理的な安全性を認証する制度です。京畿道水原(スウォン)所在のあるキムチ納品業者は「肉眼、洗浄機、探知機で3回にわたり異物を取り除いている」とし、緻密な検査を行っていると抗弁します。一部からは、他の事例を参考にして衛生管理と検査を強化すべきだとする声もあがっています。有名キムチメーカーでは、白菜キムチは肉眼検査、光学検査、塩水筒での漬け込み、洗浄、水検査の5段階の検査を経ており、ヨルムキムチは肉眼検査、漬け込み、洗浄、2次肉眼検査の4段階の検査を経ているそうです。

 たとえ無農薬であることの証拠だとしても、「カエルのおかず」には二度と出会いたくありません。教育当局が業者の全数調査で「穴」を必ず見つけ出し、解決策を提示してくれることを願います。

キム・ミンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/1047916.html?_fr=mt2韓国語原文入力:2022-06-21 16:49
訳D.K

関連記事