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検事「ハン・ドンフン長官称賛」実名コメント330件…忠誠競争が露骨に=韓国

登録:2022-06-01 02:39 修正:2022-06-01 09:01
ハン・ドンフン法務部長官が31日、政府ソウル庁舎と世宗庁舎を映像をつないで行われる国務会議に出席し、着席している/聯合ニュース

 ハン・ドンフン法務部長官が予定されていた「コード人事(人事権者が人脈のある人物を公職に任命すること)」で特捜系検事長たちを全面配置した中、検察の露骨な「忠誠競争」も本格化しつつある。生きている権力を厳正に捜査するとの約束とは異なり、早くもハン法務部長官の権力に順応しているのではないかとの批判の声があがっている。

 ハン長官が15日に検察内部の掲示板「イプロス」に載せた辞職あいさつには、31日午前の時点で330件あまりのコメントがついていることが確認された。検事の定員が2300人前後であることを考慮すれば、全国の検事の15%がハン長官の辞職あいさつに実名でコメントを付け、辞職を惜しんだことになる。

 問題は、このようなコメントの多くがハン長官の露骨な称賛で綴られているということだ。「凍え死のうとも籾殻の火には当たらず、飢えても草は食わない虎となるべき検事の模範を示していただき、心より感謝申し上げます」(イ・ゴヌン)、「検事人事としては晩時之嘆(時機を逸して嘆く)、新たな出発に対しては苦尽甘来(苦しみ尽きて幸福が来た)、事必帰正(万事は必ず正理に帰す)、忍苦必勝…」(カン・スサンナ)、「検事長がこれまで示してくださった姿は、後輩たちにとって検事としての模範となるでしょう」(パク・ヨンジン)などが代表的な例だ。

 この他にも、コメントを書いた検事たちはハン長官との勤務上の縁を強調したり、ハン長官とのエピソードなどをあげたりして、検事としてのハン・ドンフン長官の業績を称賛し、新法務部長官に対する期待を強調している。その中には「ある人の目にはこの文章のコメントさえも人事権者に対する忠誠競争に見えるかもしれないが、それでも本当に素晴らしい検事であり、実直な検事として鏡となってくださった」という皮肉なコメントもあった。ハン・ドンフン長官は辞職のあいさつで、「検事の仕事は『what it is』(実際)に劣らず『what it looks』(目に見える姿)も重要な領域」だとし、「公正の外観」を強調したが、肝心の人事権者に対する求愛の現場においては、後輩たちに残した彼の教訓は適用されていない格好だ。

ハン・ドンフン法務部長官が31日、政府ソウル庁舎と世宗庁舎を映像でつないで行われるオンライン国務会議に出席するため、政府ソウル庁舎の会議室に向かっている/聯合ニュース

 検察内外からは批判の声があがっている。ソウルのある部長検事は「過去にも、先輩たちが辞職の考えを明らかにすれば、感謝の言葉をコメントに記したりもしている」としつつも「しかしハン長官は検察の人事権を持つ法務部長官へと転じる際に辞職あいさつを載せたので、状況が少し異なる。人事権を持つ人に対して過度な感謝のあいさつを残すことは忠誠を競っているとみられる恐れがあるし、国民にも公正性が損なわれている印象を残す恐れがある」と指摘した。

 とりわけ、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が法務部に政府の高位職人事に対する検証権限を与えるとともに、ハン長官が検察の主要職を尹錫悦師団で埋めるなど、「法務部の肥大化」、「検察の政治化」の懸念が示されている状況であるだけに、検察の政治的中立性と公正性がいつにも増して切実に求められているとの指摘がある。検察組織を統治手段の核とする尹錫悦政権の基調が明確であるほど、検察組織が自ら中立性の防火壁を堅固に築かなければならないということだ。元検事のある弁護士は「尹錫悦政権になって法務部の権限が強化されるとともに、検察の独立性を考慮して大統領室特別監察官を廃止するという構想まで示されている状況だ。にもかかわらず検事たちがハン長官に忠誠を誓う姿を、国民がどのように受け取るか」と述べた。

ソン・ヒョンス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1045094.html韓国語原文入力:2022-05-31 11:33
訳D.K

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