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韓国の最高検察庁が昨年3月「ユン総長義母関連事件への対応文書」を作ったわけは

登録:2021-09-16 06:34 修正:2021-09-16 08:36
国民の力のユン・ソクヨル大統領選予備選候補が今月12日、西大門区新村のUCUラウンジで開かれた青年シンクタンクのトークコンサートに出席し、関係者と話し合っている=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社

 検察による与党陣営関係者に対する告発教唆疑惑に続き、最高検察庁が昨年3月にユン・ソクヨル検察総長(当時)の義母のC氏事件に対応するための文書を作成したという疑惑が浮上し、昨年3~4月のユン前総長をめぐる状況に関心が集まっている。

 昨年3月にC氏関連疑惑がマスコミに取り上げられてから、対応文書が作成され、同年4月には与党陣営関係者やジャーナリストに対する告発状が、当時の最高検察庁捜査情報政策官を通じてキム・ウン国民の力議員(当時候補)に渡されたという点で、これらの事件が「事実上一つの事件ではないか」という指摘もある。

 昨年3月は、ユン氏の義母関連疑惑がマスコミを通じて集中的に取り上げられた時期だ。MBC(文化放送)の調査報道番組「ストレート」は、同年3月9日から「義母と検事の婿」というタイトルで、ユン氏の義母C氏と妻キム・ゴンヒ氏との関連疑惑を取り上げた。特に同番組は、検察がC氏関連の私文書偽造および医療法違反の疑いをまともに捜査しなかったとし、手抜き捜査の可能性についても指摘した。C氏は現在、」医療法違反」と「私文書偽造」の疑いでそれぞれ起訴され、2件の裁判にかけられている。医療法違反の裁判は二審が進行中で、一審はC氏に懲役3年の判決を言い渡した。私文書偽造裁判は一審が行われている。

 「世界日報」が今月14日付で公開した最高検察庁の「総長の義母疑惑への対応文書」は、MBCのユン氏義母関連の報道が相次いだ昨年3月に作成されたものと推定される。A4用紙3ページ分の同文書には、C氏が関与した京畿道城南市(ソンナムシ)の不動産詐欺事件▽同業者のチョン・デテク氏事件▽坡州(パジュ)療養病院医療法違反事件▽楊平郡(ヤンピョングン)オフィステル詐欺事件など、4件に対する事件の要旨と進行・処理結果などが書かれている。

韓国検察=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 検察内外では、同文書をめぐり、最高検察庁が当時マスコミ報道に対応するために作成した資料だろうという声が上がっている。通常、このような資料は最高検察庁企画調整部で作成されるという。ある部長検事は「最高検察庁は現場の地検で行われている事件を取りまとめるところで、当時は義母事件で波紋が広がっていたため、対策として資料をまとめ、文書を作成した可能性が高い」と語った。最高検察庁に勤めたことのある検察関係者も「マスコミの誤報への対応と国会質疑などに備え、事件把握が必要だ。そのために作成された文書と思われる」と述べた。

 一方、これを告発教唆疑惑と結びつけて、ユン氏の検察私有化疑惑として捉える人たちもいる。昨年3月、C氏関連疑惑の報道後、最高検察庁の対応文書が作成され、4月3日と8日に「転送されたメッセージ:ソン・ジュンソンより」と記載されたテレグラムメッセージを通じて、ユ・シミン氏、チェ・ガンウク氏など与党陣営関係者とMBC記者らに対する告発状が、キム議員に伝えられたからだ。

 検事長出身のある弁護士は「最高検察庁で議論になっている事件について報告を受け、文書を作成するのは問題にはならないが、その後、告発教唆疑惑が浮上した状況も考慮すべきだ」とし、「検察が特定の人のために動いたとすれば、検察の存在理由を否定する行為だ」と指摘した。与党も攻勢を強めている。共に民主党のペク・ヘリョン最高委員は15日に開かれた党最高委員会議で「告発教唆と義母関連疑惑への対応文書作成は一つの事件」だとし、「指示者が誰なのかを明らかにするのが重要だ。合同捜査本部を設置し、速やかに捜査しなければならない」と述べた。

 ユン氏陣営はこのような疑惑を一蹴した。ユン氏陣営の関係者は「ユン前総長は当時、上記文書の報告を受けた事実がなく、誰がどのような経緯で文書を作成したのか分からない」とし、「文書の内容からして、検察所管部署でマスコミまたは国会対応のために基礎的事実関係をまとめたものとみられる。これは検察総長に個別に報告する必要がない通常業務」だと反論した。

ソン・ヒョンス記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1011929.html韓国語原文入力:2021-09-1602:37
訳H.J

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