本文に移動

「それでも共に生き抜こう」…女性に対する「静かな虐殺」その後

登録:2020-11-21 05:31 修正:2020-11-21 07:03
「90年代生まれの女性が消えて行っている」=ジェンダーメディア「スラップ」のワンシーン//ハンギョレ新聞社

 今回の国政監査の折に保健福祉部が複数の議員事務所に提出した資料を総合すると、新型コロナウイルス感染症が襲った今年1月から8月までに自殺を図った人の3人に1人は20代の女性でした。1月~6月の20代女性の自殺者数も前年同期に比べ43%増加していました。20代女性の自殺相談件数、自殺を試みた率、自殺による死者数が急増したという報道が一時期続きました。

 こんにちは。デジタル映像局でジェンダーメディア「スラップ」の映像コンテンツを制作しているイ・ユジョンです。私は若い女性たちの自殺に関する統計を見て、この女性たちは「誰」なのか、そして「なぜ」自ら死を選ばざるを得なかったのかが知りたいと思いました。一個人の自殺は、私たちが一つひとつ知ることのできない、それぞれの個人的事情、その他の様々な要因が複合的に作用した結果です。それでも、似たような時期に生まれた人たちが自ら命を絶つことが増えたのなら、何らかの社会的要因があるのではないかと思いました。果たして何が彼女たちを死の淵へと追いやっているのでしょうか。

 今年上半期、女性の自殺率と並んで悪化した指標がもう一つあります。統計庁の「雇用動向」によると、コロナ禍開始直後、雇用問題が深刻だった3月と4月、20代女性の雇用率は全ての年齢、階層の中で最も大幅に減少しています。経済危機の際には女性の雇用が減る現象が目立ちますが、コロナ禍でもやはり、社会に出たばかりの世代の女性が真っ先に押し出されたのです。

 現在の20代女性の自殺死亡率は憂慮すべき水準です。中央大学赤十字看護学部のチャン・スクラン教授が、世界保健機関(WHO)の公開した自殺率を分析して昨年に発表した結果によると、現在20代である1996年生まれの女性の自殺率は、1951年生まれが20代だった頃のそれの7倍に達しています。また、1982年生まれの女性は1951年生まれの約5倍、1986年生まれの女性は6倍と、年齢が下がるほど高まっています。

 「女性は生物学的に感情的で意志が弱い」とか「20代はもともと不安定な時期」などという還元論的な通念は、決してこの問題の解決策にはなりません。同様に、現在の20代女性の自殺問題にコロナがどれだけ影響を及ぼしているのか、韓国社会において彼女たちが直面している独特な社会経済的環境の問題なのか、まだ誰も簡単に結論を出せません。

 もしかすると20代女性の高い自殺率は、彼女たちが置かれている社会的位置と、それによる無力感を示す最もリアルな指標なのかもしれません。同年代の死を目撃し、互いが無事におばあさんになれるのか心配しつつも、適当な時期になったらスイスに安楽死しに行く金を貯金しておこうと語る世代。私と私の友人が属する90年代生まれの女性には、なぜ死という言葉がこんなにも身近となってしまっているのでしょうか。

 この死を防ぐには、まず問題を問題として正確に認識することから始められなければなりません。統計庁は昨年発表した「将来人口特別推計」で、90年代生まれの女性が主な出産年齢層である30代になれば、出産率が高まるという見通しを示しました。国が1990年代生まれの女性を「少子化の希望」と見て空しい期待を抱いている間にも、肝心の当事者たちは生死の境のギリギリのところに立たされていたのです。女性をいまだに「出産の道具」としか見ないこの平板な視線は、20代女性が送る危機のシグナルを事前に感知できませんでした。

 90年代生まれは、性比の不均衡がもっとも大きな世代でもあります。90年生まれの出生性比(女児100人に対する男児の数)は116.5人です。出生前の性の確認が可能となり、出生の機会が選別的に男性へと、はるかに多く与えられていたことを意味します。「女」であるという理由のみで産まれてくることのできなかった時代、その中で生まれた90年代生まれの女性たちは、悲劇的にも成長してから自らの命を絶っています。

 この問題を扱った動画「『静かな虐殺』が再び始まった」の12日の公開後、コメント欄には、衝撃的で驚いたという反応から死を決心した瞬間の告白まで、1000件以上の「生存者」の証言が殺到しました。最も多かったのは「もう少しだけ頑張ってみよう、共に生きてみよう」という応援と連帯のメッセージでした。一方では、「男性の自殺率は女性の自殺率よりはるかに高い」という古くからの現実には目を向けず、20代女性の自殺率にばかり焦点を当てていたということを挙げ、バランスを欠いているという指摘もありました。しかし今回の制作は、単に誰がより大変なのかというような「対決」を見せようというものではなく、20代女性の自殺者が最近になって急速に増えているという状況の深刻さに改めて目を凝らし、その原因は何なのかを今から調べて対策を立てようという趣旨から進められたものなのです。

 20代女性の自殺の急増は、すでに10年あまり前から始まっている流れです。まだこれについての指標や統計は十分でないかもしれません。なぜ20代女性の自殺率が高くなるのかに対する正確な答えも、今はありません。ただ、このシグナルの持つ意味をより深く研究し、分析するきっかけになることを願っています。 絶望の真っ只中にあっても最後まで希望を手放さない人々が、これ以上「消えずに」共に「生き抜く」ことができればと思います。そしてそれこそが、この危うい世界において私たち全員を救う道だと信じています。

//ハンギョレ新聞社

イ・ユジョン|映像制作部時事制作チームPD (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/society/women/970873.html韓国語原文入力:2020-11-20 19:47
訳D.K