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大記録を連ね、アイドル育成システム輸出… 「K-POP、世界の大衆音楽の主流に」

登録:2020-09-17 10:19 修正:2020-09-17 12:06
//ハンギョレ新聞社

 世界音楽市場で「辺境」にとどまっていたK-POPが、主流文化へと飛躍している。BTS(防弾少年団)とBLACKPINKが世界最大の音楽市場である米国で連日歴史を更新し、SuperM(スーパーエム)、MONSTA X(モンスタエックス)、NCT127など後を追うグループも良い成果を出していることで、K-POPは韓国とアジアを越えて世界の人々が楽しむ大衆文化として成長している。さらに、韓国のアイドルシステムや成功ノウハウをそのまま移植したグループが海外で成功を収めるなど、K-POPの拡張性はその可能性を認められている。

 K-POPの人気を先導するBTSとBLACKPINKは、米ビルボードのチャートで大記録を連ね続けている。BTSは先月21日に公開された「Dynamite」で、発売第1週(9月5日分)でビルボードシングルチャート「ホット100」1位に入り、チャート進入第2週(9月12日分)でも首位を守った。これまで韓国歌手がこのチャートでトップについたのはBTSが唯一だ。すでに発表された第3週目(9月19日分)では、カーディ・Bとメーガン・ジー・スタリオンの「WAP」に1位を奪われたが、2位を記録し最先頭圏を守っている。

 BLACKPINKの躍進も目立つ。BLACKPINKがポップスターのセレーナ・ゴメスと歌った「Ice Cream」はホット100チャートで13位を記録し、韓国の女性歌手としては最高の成績を出した。ネットフリックスもBLACKPINKに注目した。世界190カ国にストリーミングサービスを提供するオンライン動画サービス(OTT)のネットフリックスは来月14日、『BLACKPINK:世界を照らせ』というタイトルのドキュメンタリーを公開する予定だ。2016年のデビュー以来、この4年間の姿を収めた作品だ。ネットフリックスはこれに先立ち、世界的なポップスターのレディー・ガガ、ビヨンセ、テイラー・スウィフトをそれぞれ主人公にしたドキュメンタリーを作ったが、韓国歌手を単独主人公に立てたのは今回が初めてだ。

BTS(防弾少年団)=ビッグヒットエンターテインメント提供//ハンギョレ新聞社

 BTSとBLACKPINKはビルボードが14日(現地時間)に新たに発表した「ビルボード・グローバル200」チャートでも力を示している。これは世界約200の地域で集計したストリーミングとダウンロード(音源販売)の数値を基盤に、米国をはじめ全世界で最も人気のある歌を選ぶチャートだ。「Dynamite」は2位、「Ice Cream」は8位に上った。現在、世界的に最も愛される歌の2位、8位がK-POPということだ。

 BTSやBLACKPINKの善戦の中、K-POPはアジアを越えて着々と大衆性を高め、競争力を確保している。SMエンターテインメントのアイドルグループ連合チームのSuperMが昨年、「ホット100」(シングルチャート)とともにビルボードの2大チャートである「ビルボード200」(アルバムチャート)でトップになり、今年はMONSTA XとNCT127がこのチャートでそれぞれ5位となった

 K-POPの人気は、アイドルシステムや成功ノウハウの輸出にもつながっている。JYPエンターテインメントのNiziU(ニジュー)とSMエンターテインメントのWayV(威神V、ウェイシェンブイ)が代表的だ。彼らはK-POPの企画力で、それぞれ日本と中国の現地で発掘しデビューさせたアイドルグループだ。デビューと同時に現地で各種チャート1位を席巻し、人気を集めている。

 彼らの人気の秘訣は徹底した現地化戦略にある。今年6月にプレデビューしたNiziUは、JYPエンターテインメントが日本のソニーミュージック社と提携して設立したグループだ。日本で放送オーディション番組を通じてメンバーを選抜し、韓国のJYPエンターテインメント本社で体系的に訓練した。昨年デビューしたWayVも、中国(香港を含む)とタイのメンバーだけで構成された現地化グループだ。SMエンターテインメントがプロデュースし、中国の現地合作レーベル「レーベルV」がマネージメントを担当した。中国の「限韓令」(中国内での韓流文化禁止令)よって韓流アイドルグループは中国進出が困難だったが、彼らは現地で活動しながら人気を集めている。

BLACKPINK=YGエンターテインメント提供//ハンギョレ新聞社

 アイドル音楽専門ウェブマガジン『アイドロジー』のミミョ編集長は「K-POPブームが続いているが、日本や中国では自国語で自国民が活動するアイドルに対する需要がある」とし「K-POPの音楽性とパフォーマンスを取り揃えた自国のアイドルの登場にファンが熱狂するのは当然の結果」と話した。また「BTSも日本で活動する時は日本語のアルバムを出している」とし「日本のアルバム市場は自国語中心の特殊性がある」と付け加えた。

 世界の大衆音楽市場で「辺境の歌」と思われてきたK-POPが大きな関心を集めるようになった理由としては、「コンテンツパワー」が挙げられる。大衆音楽評論家のキム・ヨンデ氏は「2000年代以降、K-POPが音楽的にも産業的にも着実に成長して人材が集まり、K-POPとして特徴づけられる韓国的カラーを備えたコンテンツが完成し始めた」とし、「米国のポップス歌手が依然として世界の音楽市場の主流を掌握しているが、見せる音楽とも言えるアイドルのポップスジャンルに限っては、韓国歌手が米国や英国歌手を上回るほど独歩的な存在に成長した」と指摘した。さらに「韓国が世界的水準の情報通信技術(IT)を保有するスマートフォンとインターネット強国という点も、世界舞台でK-POPが『聞く音楽』を超えて『見る音楽』で魅力を最大限に発揮できた要因」と付け加えた。

NijiU=JYPエンターテイメント提供//ハンギョレ新聞社

 K-POPが持つ「両面性」が人気の秘訣という評価も出ている。大衆音楽評論家パク・ヒア氏は「海外のユーザーの目にはK-POPは大きな枠組みで他のポップソングとジャンル的には大きな違いがないように聞こえるが、細部的にはBTSの『IDOL』や、BTSのシュガ(ソロ名Adust D)の『大吹打』などの事例のように、国楽的要素が結合するなど独特な色が盛り込まれている」とし、「こうした普遍性と特殊性に世界のファンが熱狂する」と分析した。

 一方では、アイドル育成システムを補完すべきだという指摘も上がっている。キム・ヨンデ氏は「K-POPの未来のためにも、一部のグループで表面化したいじめなどの原因として挙げられた長期の練習生期間や合宿生活など、韓国ならではの独特なアイドル文化を合理的に見直さなければならない時が来た」と話した。パク・ヒア氏は「NijiUのメンバーのうち1人が戦犯企業オーナーの子孫であることが明らかになり、WayVの一部のメンバーは香港デモ当時、デモ隊を過剰鎮圧した香港警察を支持し、物議をかもしたことがある」とし「韓中日は歴史的に敏感に絡み合っているだけに、メンバーを選ぶ過程でも慎重を期すべきだ」と指摘した。

キム・ギョンウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/962322.html韓国語原文入力:2020-09-16 09:29
訳C.M

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