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「3浪4浪の人もいるのに…」「正規雇用化の方向性は正しいが…」沸き立つ仁川空港

登録:2020-06-25 01:58 修正:2020-06-25 07:13
仁川国際空港の保安警備分野の非正規職員たちが働いている様子=公共運輸労組提供//ハンギョレ新聞社

 仁川(インチョン)国際空港公社の請願警察(官庁や公企業などが費用を負担して配置された警察官)の正規職転換方針に、就活生たちの世論が沸き立っている。

 23日に大統領府の国民請掲示板にアップされた「公企業の非正規雇用の正規化を止めてください」と題する請願文には、24日午後8時現在で20万人以上が同意している。請願人は「これは平等ではなく逆差別であり、若者たちにとっては、より大きな不幸だ」と主張する。ハンギョレはこの日、11人の就活生に今回の事態に対する意見を聞いた。保安検査労働者の正規職化に賛成にしろ反対にしろ、若者たちの答えには、無限競争の中にある就活生の切迫した思いがそのままにじみ出ていた。「公企業について調べたことがあるんですが、(コンサルティングの)担当者から『仁川国際空港や馬事会、韓国銀行は夢も見るな』と言われたんです。それほど『高スペック者』が行くところなのですが、就活生にはチャンスが来ないのだから、とても虚しさを感じます」。Hさん(27)は、就活生がこれまで非正規職として働いてきた人たちと同等の機会を得られないことへの「剥奪感」を訴えた。Hさんは「既存の非正規労働者に加算点を加えて試験を受けさせるやり方で職員を選考し直したら、どうなっていただろうかと思う」と語った。

 「非正規職の正規職化」という大義には同意しても、現実的には剥奪感を感じるという人もいた。Sさん(26)は「一方では、非正規職をなくさないと働きやすい国にならない」と考えつつも、もう一方では、『こんなことがあっていいのか。逆差別ではないか。骨身を削る努力をしても(就職に)失敗する人もいるのに』という思いがする」と語った。Sさんは「ともかく良いところへ行くために、みな頑張っているわけだし、私だけでなく友人たちが努力しているのも見ているから、憤りを感じざるを得ない」と付け加えた。

 既存の非正規労働者が正規職化されることで、まだ労働市場に入れてさえいない就活生の採用枠がより狭まるかもしれないという不安も大きいように見えた。Kさん(23)は「空港公社の正規職への転換は他の公企業にも影響を与えそうだし、今後(試験で)採用される正社員の割合が減るなどの影響もありそう」と語った。

 公企業への就職を準備している人でなくても、「就職難」という若年層共通の戦線があるだけに、公務員試験に備える人たちの怒りに共感する意見もあった。Pさん(23)は「大学を卒業し、それまで勉強してきたことを基に(採用試験で)3浪、4浪までする人もいるのに、そういう人の立場からするととても悔しいだろうと思う。正社員の雇用は減らずポストだけが増えたことも不公正だと思う」と述べた。

 ただ、若者たちはこうした怒りが「非正規」へと向かうことを警戒した。Lさん(32)は「新入公開採用を準備している人より、非正規労働者の方が努力が足りていないという根拠はない。若者たちが怒りを非正規労働者に向けるのは間違っている」と指摘した。Dさん(24)も、「次の(正規職化の)順番は自分になるかもしれないのだし、正しい方向に進むのが正しい。ただ、労組も説得できないなど、政府のやり方はまずかったと思う」と語った。

 仁川国際空港の試みが広く拡散し、今の不安と怒りを乗り越えていくことを望む声もあった。キム・ユンジョンさん(25)は「今の若者も多くが非正規労働者として入社している。今すぐにパイがなくなる部分ばかりを見てはならない。このような正規職への転換は、ほかのところでも定着し、安定した雇用を創出するための第一歩となり得る」と期待を示した。

 一方この日のSNS上では、一部のネットユーザーが仁川国際空港公社の非正規雇用の正規雇用化を批判し、折れた鉛筆の写真をアップする「折れたペン運動」を展開した。

イ・ジェホ、チョン・グァンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/950828.html韓国語原文入力:2020-06-24 20:35
訳D.K