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防疫のため後回しになる環境…使い捨て用品削減の動きも“一時停止”

登録:2020-04-14 01:12 修正:2020-04-14 07:06
第21代総選挙の期日前投票が実施された今月10日昼、ソウル鍾路区役所に設けられた期日前投票所にビニール手袋をはめた有権者が、投票用紙を投票箱に入れている=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で個人の衛生と安全のため使い捨て用品の使用が推奨され、環境汚染の懸念が高まっている。感染拡大を防ぐためにはやむを得ないが、事態の長期化に備え、定着しかけたばかりの使い捨て用品削減の流れを止めないための折衷案が必要だという声があがっている。

 中央選挙管理委員会は、全国1万4330カ所の投票所に使い捨てのビニール手袋を用意すると発表した。総有権者数は4390万人ほどだ。環境汚染の懸念から「手袋を持参しよう」という提案があったが、一蹴された。チョン・ウンギョン中央防疫対策本部本部長は12日、定例会見で「使い捨てビニール手袋を使った方が安全だ」と強調した。完全な防疫のための社会的費用という趣旨だ。総選挙時に使用する使い捨てのビニール手袋に「生分解性のビニール手袋」を使おうという大統領府国民請願には13日午後5時基準で、1960人が同意した。

 COVID-19で最近使い捨て用品の規制は大きく緩和された。韓国政府の指針により、今年2月末から全国のカフェやレストランなどの食品接客店では、使い捨てカップや容器の使用が認められた。「災害および安全管理基本法」に基づき、感染病危機警報「警戒」レベル以上なら使い捨て用品の使用規制が適用されないためだ。使い捨てマスクの使用量が増加しており、宅配便が増えるにつれて包装材の使用も増えている。

 ただし、実際、使い捨て用品の使用がどれだけ増えたかは正確に把握されていない。環境部が協約を結んだ5つのファーストフード店の約2400店と16のコーヒー専門店約1万1400店から回収された紙コップとプラスチックカップは、COVID-19発生前の昨年11月には4万1000件あまりだったが、発生後の今年2月には約3万6000件であることが調査で明らかになった。環境部関係者は「経済活動が低迷し、カフェやレストランでの使い捨て用品の使用が大幅に増えたわけではない」と説明したが、“テイクアウト”が増えていることから、統計がきちんと作成されていない可能性が高い。

 住居地の使い捨て用品の統計を集計するソウル市の関係者は、「最新の統計でも2年前のものなので、現状は集計されていないが、自治区では使い捨て用品の処理量が約15%増えた」と述べた。

 防疫のためにはやむを得ないという共通認識がある一方、水筒やハンカチの使用など、使い捨て用品の削減を勧めていた雰囲気が後退しかねないという懸念も高まっている。2018年に中国の廃棄物輸入禁止宣言が引き起こした“ゴミ大乱”以降、コーヒー専門店では使い捨てカップとストローの使用が禁止され、大型スーパーでは使い捨てビニール使用が制限された。ところがCOVID-19の感染拡大以降、廃棄物の処理より防疫が優先されている。昨年11月、政府は2021年からカフェで使い捨てプラスチックカップや紙コップの使用を禁止すると発表したが、事態が長期化した場合、この方針の維持が困難になる可能性もある。

 資源循環社会経済研究所のホン・スヨル所長は「防疫当局が使い捨て用品の使用関連指針を明確にしない以上、使い捨て用品を無条件に使用するなとは言えない」としながらも、「使い捨て用品の使用が再び増えれば、拡大のスピードに規制が追いつけなくなるかもしれない」と指摘した。ホン所長は、使い捨て用品の使用を控えようと提案してきた環境団体の要求も、環境ホルモンや有害物質からの危険を事前に予防するためだったという点を強調した。

 これを受け、政府が「生活防疫」へと防疫基調を転換し、COVID-19の長期化に備えているだけに、使い捨て用品の使用と関連した“折衷案”が必要だという主張もある。資源循環社会連帯のキム・ミファ理事長は、「使い捨て用品を使わなくてもよい場合でも使い捨て用品を使っているのではないか、振り返ってみる必要がある。今は廃棄物の処理に問題がないが、この状況が続けばどんな問題に直面するか分からない。防疫と廃棄物の問題を同時に処理できる賢明なアプローチが必要な時期」だとし、「水筒を持ち歩き、過度な包装材の使用は拒否すべきだ」と話した。

 環境運動連合は「COVID-19に打ち勝つエコ防疫生活」として、水筒やタンブラーの使用▽消毒液の代わりに石鹸で手洗い▽ペーパータオルではなく、ハンカチの使用などを勧めている。

チェ・ウリ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/936842.html韓国語原文入力:2020-04-13 21:27
訳H.J

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