世界保健機関(WHO)が11日(現地時間)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を公式宣言し、今年の韓国経済成長率が1%台に下落する可能性が高まった。サービス業を中心に内需市場が急激に凍りついているうえに、世界経済の鈍化により輸出への打撃も不可避になったためだ。
12日、ブルームバーグが集計した世界投資銀行・経済研究所43カ所の今年の韓国国内総生産(GDP)成長率展望値平均は、3月基準で1.8%となり、前月集計より0.4ポイント下がった。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(1.8%)、野村証券(1.4%)、JPモルガン(1.9%)、ムーディーズ(1.4%)、オックスフォード・エコノミックス(1.4%)が先月より下方調整し、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1.1%まで下がると予想した。韓国の経済成長率が2%台を割り込むのは、1956年(0.7%)、1980年(-1.7%)、1998年(-5.1%)、2009年(0.8%)であり、主に経済・金融危機を体験した時だ。
実際、COVID-19に触発された不確実性の増大が、消費者と企業の心理を揺さぶっている。経済協力開発機構(OECD)によれば、先月の韓国の消費者信頼指数(CCI・経済状況を楽観する程度)は1カ月前(100.0)より0.4ポイント低い99.6だった。資料が集計された30カ国のうちで下落幅が最も大きかった。韓国経済研究院が発表した2月の全産業投資企業景気実体調査指数も89.5で、前月(95.9)より大幅に下がった。
輸出も打撃を受けている。COVID-19が韓国国内に本格的に拡散した先月の1日平均輸出額(操業日数基準)が前年同月より11.7%減少し、3月1~10日の1日平均輸出額も2.5%減少した。
韓国開発研究院(KDI)のキム・ソンテ経済展望室長は「COVID-19事態は、基本的にサービス業に大きな打撃を与えるので、2,3カ月程度で落ち着くならば製造業はすぐに回復できる」として「もし事態がそれ以上に長引けば製造業の生産にも影響を及ぼし、経済回復がゆっくり進行されるだろう」と話した。
韓国政府は、COVID-19の拡散にともなう経済的被害に対応するため、先月末に財政・税制・金融などの分野に20兆ウォン(約1.7兆円)を支援する民生・経済総合対策を出した。今月に入ってからは11兆7千億ウォン(約1兆円)規模の追加補正予算案も編成した。
だが経済専門家は、パンデミック宣言で経済状況がさらに悪化しかねないため、さらに積極的な財政・通貨政策を展開しなければならないと注文する。チュ・サンヨン建国大学教授(経済学)は「パンデミック宣言で市場の恐怖感がさらに高まった状況なので、財政健全性論争をするのでなく、財政・通貨政策を全方向的に展開しなければならない」と話した。チュ教授は、補正予算の規模は国内総生産の1%(約19兆ウォン=1.6兆円)以上を編成し、韓国銀行も金利を大幅に引き下げ市場にお金が回るようにしなければならないと提案した。
シン・グァンホ高麗大学教授(経済学)は「COVID-19事態が続く間に、深刻な需要減少と生産支障により企業や個人の破産リスクが高まることが最大の問題」として「企業が破産すれば、COVID-19が落ち着いても回復できないため、財政をさらに増やしつつも、一時的な減税、資金支援に集中しなければならない」と話した。