検察は、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の公職選挙法違反事件の捜査に着手した。ソウル中央地検公共捜査1部が担当する。「巨大野党支持」を要請した朴前大統領の「獄中書簡」を、公職選挙法の禁止する「特定政党、候補者に対する支持活動」と見ることができるかをめぐり、法曹界からは様々な意見が出ている。
ソウル中央地検は10日、正義党が朴前大統領を公職選挙法違反の疑いで告発した事件の捜査の担当を公共捜査1部(ヤン・ドンフン部長)とすると明らかにした。朴前大統領の弁護人であるユ・ヨンハ弁護士は4日、朴前大統領がソウル拘置所収監中に作成したという3枚からなる自筆書簡を公開した。書簡には「互いに違いがあるだろうし、埋めがたい隔たりがあるかもしれないが、よりよい大韓民国のために、既存の巨大野党を中心に太極旗を掲げた皆さんが一つになって力を合わせることを訴える」という内容が記されている。
正義党は5日、朴前大統領の獄中書簡は公職選挙法違反だとし、検察に告発した。公職選挙法では、1年以上の懲役刑を言い渡された者には選挙権がなく(18条)、選挙権がなければ選挙運動もできない(60条)。
肝心なのは、朴前大統領の獄中書簡を特定政党や候補者に対する支持活動である「選挙運動」と見なすことができるかどうかだ。公職選挙法58条は、選挙運動を「当選するようにしたり、させるようにしたり、させないようにしたりするための行為」と定義し、「選挙に関する単なる意見開陳及び意思の表示」は、選挙運動には当たらないと規定している。最高裁判所も選挙運動を「特定候補者の当選または落選を図る目的意思が客観的に認められる行為」と2016年の判決で述べている。
法曹界の見解は食い違っている。元検事長のある弁護士は「政党や候補を特定していない、『野党は団結すべき』程度の表現を選挙運動と見なすことは難しい」と述べる。選挙運動を過度に広く解釈した場合、政治的意思の表現の制約となるとの指摘もある。法務法人以公のヤン・ホンソク弁護士は「選挙運動は時期、方法、主体などが法的に制限されるため、できるだけ縮小して解釈するのが妥当だ。政治的意思の表現を広範に『選挙運動』に含めると、表現の自由が制約されざるを得ない」と指摘する。
一方、元部長検事のある弁護士は「『太極旗部隊』という実体があり、同団体は朴前大統領を支持する政治的勢力だ。単数推薦など一部候補が特定された状況で、特定勢力に指針を与えたと考えることができる」と述べた。
イム・ジェウ、ファン・チュンファ記者