本文に移動

精神障害者 86% ‘背中を押されて入院’

登録:2009-11-05 10:30

原文入力:2009-11-04午後10:52:14
平均 233日 入院に 退院後の利用施設不足
働き口・保険加入制限受け‘人権侵害深刻’

キム・ミンギョン記者

←人権委 年度別・類型別 精神障害者関連 陳情受付現況

#1.イ・某(50)氏は姉の意向で1989年に精神科病院に強制的に入院させられた後、‘精神分裂症’の判定を受けた。かろうじて病院を退院しても精神科病院の門前には姉と119救急車が待機していて、結局他の病院に移され2007年まで18年間にわたり病院に事実上監禁されていた。

#2.別のイ・某氏は2005年4月から8月までの間、精神科病院に入院している間の投薬拒否などを理由に16回も隔離収容された。いつも体を縛られていたが、結局6日間にわたる124時間の強迫に耐えられず同年12月に肺塞栓症で亡くなった。

#3.イム・某(35)氏は2007年精神科病院入院中に‘治療のための過程’として配膳,トイレ清掃,重症患者看病など病院職員がしなければならない業務まで強制的にさせられた。

国家人権委員会(委員長 ヒョン・ビョンチョル)は4日、このように‘人権死角地帯’に置かれている精神障害者の実態を知らせその代案を提示する‘精神障害者の人権保護と増進のための国家報告書’を発表した。

この報告書は精神科病院,療養施設,浮浪者施設などに入院した患者を対象に調査した‘2008年中央精神保健事業支援団事業報告書’を引用し、精神障害者本人の意向を無視して病院に入院するようにする‘非自意入院率’が昨年86%に達したと指摘した。これはフランスの12.5%(1999年),英国13.5%(1999年),ドイツ17.7%(2000年)等、先進国に比べ非常に高かった。精神障害者の2008年平均入院日数も233日で、英国52日(1999年),ドイツ26.9日(1997年)よりはるかに長かった。また人権委が昨年、精神科病院,療養施設などに入院中の患者を対象に実態調査を行った結果、大部分の精神障害者は入・退院,治療過程で十分な説明を聞けず、入院患者の34.7%が何の説明もないまま身体が縛られたことがあった。

また人権委は地域社会に居住する患者や退院後に社会適応のために必要な障害者施設(相談センターなど)も非常に不足していると診断した。精神疾患経歴のために働き口を得られなかったり保険加入が制限される差別もあった。

‘人権侵害にあった’として人権委を訪れる精神障害者が大きく増えている。人権委がスタートした2001年に8件に過ぎなかった精神障害者関連人権委陳情は2006年には228件、2007年548件,2008年591件に増えた。これについて人権委は2007年2月‘精神障害者専門委員会’を設け、2年8ヶ月ぶりに今回の報告書をだした。

報告書には精神障害者の人権実態だけでなく、国際動向と外国事例,人権保護と増進のための主要課題と提言などが含まれている。
人権委は今回報告書を通じて国務総理と保健福祉家族部長官に精神障害者の人権保護と増進のための具体的な政策樹立を勧告し△入・退院過程での適正手続き作り△精神保健施設内での権利保障および治療環境改善△地域社会中心の精神障害者治療△精神障害者に対する差別と偏見の解消のための用語整備などが必要だと判断した。

チェ・ギョンスク人権委常任委員は「この報告書が精神障害の問題を解決するために努力する契機になることを願う」とし「人権委だけでなく国民の理解と協調そして立法・司法・行政府の積極的な参加が重要だ」と話した。

キム・ミンギョン記者salmat@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/385908.html 訳J.S