政府が2022年までに全羅北道のセマングム干拓地一帯に4ギガワットにのぼる超大型太陽光・風力発電団地を造成する。政府は30日、全羅北道群山(クンサン)で文在寅(ムン・ジェイン)大統領が出席した中、「セマングム再生可能エネルギービジョン宣言式」を開き、このような事業推進計画を発表する予定だ。
全羅北道と政界の話を総合すると、政府と全羅北道は2022年までにセマングム一帯に世界最大の再生エネルギーのグローバルクラスターを造成することで意見をまとめた。施設事業費は国費・地方費5690億ウォン(約560億円)を投入し、民間資本10兆ウォン(約1兆円)を誘致して充当する方針だ。セマングムの立地条件を活かして再生エネルギー産業市場を先導し、グローバル前進基地を育成するという趣旨だ。再生エネルギー市場の10%を先取りし、利益が発生すればセマングム開発に再投資する一方、投資企業にインセンティブを提供し、地域住民と企業を参加させて地域経済を活性化させるということだ。
全羅北道の試算資料によると、太陽光団地(3ギガワット)の造成で年間200万人の雇用を創出でき、海上風力団地(1ギガワット)は建設期間(5年)に3万5000人、運営時に2万3000人の雇用創出が可能だと報告された。また、海上風力団地の造成が、斜陽化しつつある地域の造船機資材の生産に代替できると見通した。道関係者は「群山造船所の稼動中断と韓国GMの閉鎖で難関に直面している関連企業を再生エネルギー産業に転換させ、人材を再配置すれば地域経済も道が開けるだろう」と見通した。セマングム再生エネルギー団地の妥当性を調査してきた全羅北道とセマングム開発庁は、投資金を短期間に回収できると暫定的結論を下したという。
太陽光・風力団地造成の候補地は、まだ埋立が終わっていない防潮堤の内側だ。面積は38.6平方キロメートルで、セマングム全体面積409平方キロメートル(埋立291平方キロメートル、淡水湖118平方キロメートル)の10%足らずだ。政府と全羅北道は、再生エネルギー施設が寿命を終える20年後には原状復帰するという原則も立てた。
大統領府の高位関係者は「事業の性格が変わったように誤解されるかもしれないが、環黄海圏の経済中心基本計画はそのまま維持しながら、太陽光・風力再生エネルギー事業が追加されるもの」だとし、「新しい事業を加えて基本計画の推進速度も上げる」と明らかにした。セマングム開発庁の関係者も「2011年に確定したセマングム総合開発計画(MP)にも新再生エネルギーは出ている。セマングム地域は日照量と風資源が韓国の平均水準以上に良い条件だ。事業原案に影響のない地域に太陽光施設を設置し、20年後に原状に戻す」と説明した。発電施設の設置に要する期間は1年前後であり、現政権の任期内に施設のほとんどを稼動することになると同関係者は見通した。全羅北道はこのため、環境影響評価(アセスメント)や住民供覧の告知、説明会を実施する計画だ。
セマングム全羅北道民会議などは、まだ公式な立場を表明していない。彼らは30日午前10時30分に群山で行われる「セマングムビジョン宣言式」を見守った後、立場を明らかにする予定だ。全北環境運動連合生態デザインセンターのキム・ジェビョン所長は「政府のエネルギー転換政策を歓迎する」としながらも、「ただ、現在セマングムが直面している水質悪化、関連水産業の没落、浚渫による生態系の破壊などに対する総合的な対策を先に施行した後、それに合わせて再生エネルギー対策を立てるべきだ」と話した。ともすればその場しのぎの処方に止まったり、地域住民にまた別のバラ色の幻想を与える恐れがあるということだ。
全羅北道の政界の反応は交錯した。民主平和党のチョン・ドンヨン代表など全羅北道地域の議員らは「そもそもセマングムを環黄海圏の経済圏に作り上げるとしていた政府が、突然に新再生エネルギーのメッカにするというのは政策の転換を意味し、セマングム開発の速度戦をあきらめるということだ」と述べた。一方、民主党の全羅北道支部は、「セマングム事業を支障なく進めるという大統領と政府の立場には変わりがない。今は与党である民主党と全羅道に基盤を置いた平和党が地域のために協力する時だ」と明らかにした。