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[ニュース分析]李元大統領、収賄など16の容疑で逮捕・起訴

登録:2018-04-10 06:01 修正:2018-04-10 07:11
検察が今月9日、収賄などの疑いで李明博元大統領を拘束起訴した。これに先立ち、李元大統領が裁判所の拘束令状の発給により、先月23日未明、ソウル江南区論硯洞の自宅で東部拘置所に行くために車に乗り込んでいる=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 収賄の疑いなどで拘束された李明博(イ・ミョンバク)元大統領が9日、裁判にかけられた。李元大統領は「検察の起訴は架空のシナリオを作り、超法規的な身辺調査と結論ありきの捜査を行った結果」だとして、強く反発した。法曹界は裁判を拒否した朴槿恵(パク・クネ)元大統領とは異なり、李元大統領側が法廷で検察と激しい攻防を繰り広げるものと予想している。

 ソウル中央地検特殊2部(部長ソン・ギョンホ)と先端犯罪捜査1部(部長シン・ボンス)はこの日、李元大統領を拘束起訴し、横領(約349億ウォン)と脱税(約31億ウォン)などダースと関連する7つの容疑や、収賄(約111億ウォン)と大統領記録物流出など9つの容疑を適用した。これまで知られなかったたソウル内谷洞(ネゴクドン)の自宅の土地買取金の6億ウォン(約6千万円)の秘密も明らかになった。2012年、特検の捜査で李元大統領の息子、イ・シヒョン氏は「伯父の家の押し入れに保管されていたカネ」と供述したが、検察はこの日「6億ウォンは(李元大統領の夫人の)キム・ユンオク氏が渡した現金である事実を確認した」と明らかにした。李元大統領の事件は同日、電子配当を通じて、ソウル中央地裁刑事27部(裁判長チョン・ギェソン)に配当された。

■ダースの実質的な所有者の立証が核心争点になる見込み

 李明博元大統領の容疑は大きく分けて「ダースの実質的な所有者」と「賄賂」の二つである。このうち「李元大統領がダースの本当の持ち主」という点は「サムスンによる訴訟費用の代納」など他の疑いの犯行動機や背景を説明する重要な前提となっている。検察と李元大統領側が今後の裁判で「実質的に所有しているかどうか」をめぐり鋭く対立せざるを得ないのも、そのためだ。

 検察が同日、捜査結果の発表文の冒頭に「ダースの実所有者が李元大統領という結論を下した」と強調したのも同じ脈絡だ。検察は「これを究明するため、誰が創業計画を樹立し、資本金を調達したのか、また、誰が会社の主要意思決定を下し、会社の経済的利益を享受したのかを全般的に調査して下した結果」だと説明した。

 これと共に、李元大統領は2008年の大統領就任後も、ダースを引き続き掌握していたというのが検察の判断だ。2010年2月、ダースの大株主で義弟のキム・ジェジョン氏が死亡すると、大統領府の公務員らにキム・ジェジョン名義の相続財産の処理及び相続税の納付案を検討させ、財団法人の設立を通じた相続税の削減案を報告することにしたことなどが代表的な事例だ。

 検察は特に、李元大統領がダースを通じてBBK投資諮問に投資した140億ウォン(約14億円)を回収するため、米国で開かれていた訴訟過程に“執着”と言えるほどの関心を示したと明らかにした。ダースの訴訟代理人だったキム・ジェス氏の資格をめぐり議論になったにもかかわらず、ロサンゼルス(LA)総領事の任命を強行し、サムスン側に接近して大統領当選前の2007年11月から訴訟費用を代納するようにしたのが代表的な事例だ。

■李元大統領の「獄中政治闘争」が本格化?

 同日、李元大統領は検察の起訴にあわせて発表した立場文で「(ダースが)家族(所有の)企業であるため、設立から運営過程に至るまで経営上の助言をしたのは事実(だが)、ダースは今日まで長兄によって家族会社として運営されてきた」とし、「『実質的所有権』という耳慣れない用語で政治的攻撃を行うのは呆れたものだ」と主張した。

 先月23日拘束収監の時「すべては私のせいという心情」だと言っていた李元大統領は態度を変え、「政権の手先となり、憲政史上類の見ない結論ありきの標的捜査を進めてきた検察捜査の正当性を全く認めない。検察の調査に応じないのもまさにこのため」だと明らかにした。また、「私を狙った捜査が10カ月以上続いた。まさに「戊戌獄事」(今年戊戌の年であることの喩え)と言える」とし、「李明博政権と朴槿惠政権で安保の最一線に立ってきた国情院長や大統領府安保室長、国防部長官らがほとんど拘束、もしくは起訴されている。北朝鮮にいかなるメッセージとして伝わるか、懸念せざるを得ない」と主張した。事実上の「獄中政治闘争宣言」と言える。

ソ・ヨンジ、キム・ヤンジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/839854.html韓国語原文入力:2018-04-09 23:16
訳H.J