原文入力:2009-01-09午前08:01:46
クォン・ウンジュン記者
←甲状腺癌‘ショック’ ‘喉が乾く’女性ら. グラフィック ホン・ジョンギル記者jonggeel@hani.co.kr
お宅の奥さまお元気ですか。
女性癌順位が変動しました。女性がかかる癌と言えば当然思い出される乳癌・子宮癌を押しのけて新しい癌が1位に上がりました。甲状腺癌が急上昇して2007年女性全体癌発生率1位の癌になりました。
甲状腺はどこかって?首の真ん中に飛び出しているのどちんこ軟骨の下にあります。重さが30~60グラムに過ぎない蝶の形をした小さな器官ですが、私たちのからだに必要なホルモンを作る重要な部分です。この甲状腺にできる癌は唯一女性たちを狙います。甲状腺癌患者の80%が女性です。
甲状腺癌大乱が広がっていますが、それでも幸いなのはこの癌が他の癌とは違い致命的ではないという点です。甲状腺癌の死亡率は1%に満たないほどです。癌もゆっくり進行します。だから医者が患者に直接“癌です”と診断結果を話す唯一の癌と言われます。
しかし、小さいといっても癌は癌です。若い女性がかかった場合、他の癌に転移する危険性が大きいです。手術すれば首に傷跡が残るのも女性たちには重要な問題になります。また手術で甲状腺の後にある声帯を損傷する危険もあります。そして手術を受けても一生薬を飲まなければなりません。
4年間に145%急増…女性癌発病1位に‘割込み’
学界では“診断技術発達…発見率高まったため”解釈
あふれる患者受容できず治療待機期間1年は普通
他の癌比べておとなしいとは言え、患者たちは‘ウンウン’
加えて最近さらに大きな問題が生じました。突然甲状腺癌患者がとても増えたせいで、診断と手術に時間がはるかに長くかかることになりました。手術を受けるのに1年以上待つことは普通です。ある病院関係者は「かなりの‘バック’のため、はやく治療を受けることも難しい」と言います。大韓民国の女性に‘甲状腺大乱’が広がったわけです。
いったいどうして突然甲状腺癌が増えたのでしょうか? そして病院探しも難しいと言いますがどれくらい深刻なのでしょうか? <ハンギョレ>が調べてみました。
治療まで1年半は待たなければ-家族みんな肝をつぶす思い
空気がきれいで水清い済州道に住む会社員パク・某(40)氏は、去る秋に被ったことを考えただけで今でも胸が震えるという。去る10月、2人の子供の母親である36才夫人キム・某氏と、還暦をむかえた妻の母とが同時に甲状腺癌の診断を受けたためだった。癌という話にビクビクしながら2人と一緒にソウルの総合病院を訪ねたパク氏はもう一度驚いた。甲状腺癌の手術患者が激増して診断から手術までに6ヶ月、甲状腺治療に必ず必要な放射線同位元素治療だけで1年、合わせて1年6ヶ月ほどかかるということだった。
パク氏は会社同僚の中に甲状腺癌にかかった人がいて、甲状腺癌が他の癌のようには深刻でないということを知っていた。しかし癌にかかって衝撃を受けた夫人を落ち着かせることは容易ではなかった。直径1センチにもならない小さま癌で特別なものではないという医師の説明も患者の重圧感をなくすことには力不足だった。
夫人キム氏は癌が転移しうるということに非常に敏感だった。本人のストレスが深刻な水準に上がり、夫もやはり一緒に精神的苦労をしなければならなかった。パク氏はあらゆる人脈を総動員して手術日程を最大限操り上げ2ヶ月目に手術を受けることができた。昨年12月、妻の甲状腺切除手術日程を最大限短縮させて手術を終えた。 幸い癌細胞が小さくて放射線同位元素室での入院治療はしないで済んだが妻の母の手術も残っていた。妻の母は家に2人が横になっていることもできないとして、ひとまず妻の治療が終わった後に手術をすると手術を先送りしている。
かろうじて癌の恐怖から半分程度解放された朴氏は「甲状腺癌も癌なのにこれほど増えれば原因糾明と対策がなければならないのではないか」と話した。
4年で2倍以上増え-病院も大混雑
←国内甲状腺癌患者数
突然、甲状腺癌が急増して医療界も驚いている。昨年あたふたと甲状腺癌学会が作られ初めてのセミナーを行った。この間、甲状腺癌は大部分の病院で内科,外科,核医学科が協同で治療してきたが最近の急増で甲状腺クリニックを別に置く病院が増えている。
健康保険審査評価院の最近資料によれば、2007年度に全国病院・医院で癌診断を受けた患者は232万8163人だった。これは4年前の2003年の181万人余りより40%も増えているのだ。同じ期間に甲状腺癌患者は4万人余りから10万3910人に145%も増えた。こういう傾向は外国も同じだ。2006年米国医学協会ジャーナル(JAMA)によれば1973年10万人当たり3.6人水準だった米国内の甲状腺癌発病率は2002年には8.7人に増えた。
患者がこのように急増したことにより治療と手術がのろくなったせいで患者らの苦痛と不便が増大している。特に総合病院では甲状腺患者治療が集中しひどい動脈硬化現象を見せている。
患者が1,2次診療機関で甲状腺癌が疑われ総合病院を訪ねて超音波検査診断をするまでに普通3ヶ月かかる。以後、手術可否を決め手術日を決めるのにまた3ヶ月がかかる。しかし手術で終わりではない。 甲状腺を切除したので手術後癌が完治するために鉛で封印された放射性同位元素治療室に2泊3日間入院しラジオアイソトープ治療を受けなければならない。この鉛治療の待機期間が現在普通9ヶ月から1年だ。この期間を短縮しようと病院どうし空室情報を共有するほどだ。したがって甲状腺癌にかかれば治療にまる1年6ヶ月がかかるわけだ。
医師も不足-対策至急
現在我が国で甲状腺癌手術を最もたくさん行っているのは延世大セブランス病院と蛾山病院だ。ところでセブランスと蛾山病院は各々3人の外科医が甲状腺手術を引き受ける。延世大セブランス病院内分泌内科イ・ウンジク教授は「私たちの病院で甲状腺癌超音波検査をする患者が年間1万5千人」とし「その内、2千人が手術を受けるが手術担当医師は3人だけ」と話した。3人の医師が多い日は10人ずつ手術をするほどたまっているという。しかしこれよりもより大きい停滞原因は甲状腺切除後の完治のために必ず受けなければならない同位元素治療施設が不足しているためだ。
同位元素治療施設は蛾山病院とセブランスも各々4ヶ所,1ヶ所で不足している状態だ。地方にはほとんど探せないほどだ。それでも病院はこの施設の運営を敬遠する状態だ。
病院関係者たちによればラジオアイソトープ治療室の一日健康保険数価は昨年まで3万ウォンだった。しかし鉛で密閉された治療室を作り廃棄物管理法により厳格に廃棄物を管理すれば実際には25万ウォン以上かかると病院側は話す。そこで病院が数価を正常化してくれと要求した結果、昨年末から数価を11万2500ウォンに上げたが、それでも相変らず損害を被っているということだ。
キム・ジョンスン甲状腺癌学会長(韓国原子力医学院長)は「放射線治療室を個別病院次元で1,2ヶ増設していたのでは癌患者の治療待ち時間を画期的に短くすることはできない」として「数価を正常化して外国のように廃棄物統合管理のために政府次元で治療センターを作らなければならない」と強調した。
発病率急増でなく発見率のせい
このように甲状腺癌患者が急増した理由は何か?
学界は発病率でなく発見率が高まっているのだと分析する。イ・ガヒ韓国甲状腺癌学会理事(韓国原子力病院内科科長)は「発病率が高まったのでなく超音波機械の発達で癌発見率が高まっている」と話した。イ理事の話によると、超音波機器が最近飛躍的に進歩して、この間見つけられなかった1センチメートル以下の癌まで発見できるようになり癌が増えたということだ。
このために米国甲状腺癌学会では1センチメートル以下の癌は手術をするなという指針まで作ったほどという。私たちの学界でも同様な指針を作ったが、癌に対する患者の不安のためにうまく適用されないという。さらに超音波診断が健康保険適用にならないので、一部病院が収益を目的に甲状腺癌診断をたくさん行い患者が増えているという指摘も出る。
医学的には甲状腺癌の原因であるヨードを韓国の人々がたくさん摂取するためだという分析もある。しかし遺伝的要因のほかにはまだ甲状腺癌の増加原因は正確に明らかになっていない。そこで甲状腺癌発病原因中の一つが放射能露出という点のために、この頃国内甲状腺癌患者たちの間では1989年に起きたソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故による放射能漏出影響が今現れているという怪談も出回っている。ペク・ジョンファン甲状腺癌学会広報理事は「放射能被爆者がかかる甲状腺癌と我が国患者がかかる甲状腺癌とは癌組織上差がある」として、こういう主張を一蹴した。実際に2000年代序盤、全南,麗水と霊光などで甲状腺癌患者が急増し調査した結果、この地域の病院に超音波医療機が急速に普及して甲状腺患者発見が増えたということだった。
しかし発見が増えたということだけでは説明にならない部分もある。最近10代の甲状腺癌患者が増えるなど若い女性らの甲状腺癌が増えている点だ。若い女性の甲状腺癌は転移可能性が高く中壮年女性より危険だ。イ・ガヒ理事は「若い女性たちに甲状腺癌が増加しているのは医学界が挑戦し研究しなければならない課題」と語った。
クォン・ウンジュン記者 details@hani.co.kr