1970~80年代、国家保安法捜査を口実に拷問などの人権弾圧が強行された警察の「保安分室」が「ソウル警察庁別館」など曖昧な看板で依然として実体を隠していることが明らかになった。保安分室は当初「○○商事」「治安研究所」などの偽装看板を掲げており、過度な秘密主義と高圧的という指摘を受けてきた。文在寅(ムン・ジェイン)政府の発足以後「警察官署」であることを示す看板をかけて国民のそばに近寄ると宣言したが、小細工で国民を欺いているという指摘が出ている。
6日、ハンギョレによる取材の結果、ソウル市内の保安捜査隊分室の建物5カ所にそれぞれ「ソウル地方警察庁別館」という文字の書かれた看板が掲げられていることが確認された。ソウル警察庁保安捜査1隊(玉仁洞分室)は「ソウル地方警察庁紫霞門路別館」、ソウル警察庁保安捜査2隊(長安洞分室)は「ソウル地方警察庁長漢路別館」という看板を掲げていた。「保安捜査」と関連した機関であることを明確に示した分室は一カ所もなかった。
警察は数年前まで保安分室に偽装看板を掲げたり、あるいは何も看板を出していなかった。外部と徹底的に隔離し、被調査人に恐怖と威圧感を与え、家族や弁護人が簡単に探せないようにする意図があった。国家人権委員会は2008年に、調査される人々が弁護人の助けを受けるうえで不便を感じないよう保安分室の情報などを公開せよと勧告した。だが、依然として明確な機関情報を公開しないでいる。
警察庁関係者は「別館形態の保安捜査隊を第一線の警察署に移管する方案を検討中」としながらも「保安捜査の特性上、捜査部署の名前や建物の位置を公開すれば、テロなどの危険があるため(看板を曖昧に懸けることは)避けられない措置」と話した。
これに対して、市民の監視領域から外れている保安分室を第一線の警察組織の内部に吸収しなければならないという主張が出ている。オ・チャンイク警察庁警察改革委員会委員は「第一線の警察署や地方警察庁の建物内に捜査空間を用意すれば、調査を受けに来る人々が威圧感を感じず、警察としてもテロの危険などの管理によりいっそう効率的な面もある」と話した。