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[インタビュー]「“良い報道”を願うから、毎日2時間メディアを”はたく”」

登録:2018-03-06 17:05 修正:2018-03-09 09:29
(左から) 民言連のキム・オンギョン事務処長と活動家のイ・ボンウ、ぺ・ナウン氏、イ・ジョンイル PD =カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 民主言論市民連合(以下、民言連)のキム・オンギョン事務処長と活動家のイ・ボンウ、ペ・ナウン氏、プロデューサー(PD)のイ・ジョンイル氏は、平日午前10時には決まって民言連事務室の隅の倉庫に集まって“はたき”始める。 彼らに2時間ほどすっかりはたかれる対象は、前日の新聞・放送の報道内容だ。2時間録音した後、編集して午後6時頃ポッドバン(オーディオ放送を無料で聴けるアプリ)に上げる。 去年4月11日にスタートした民言連のポッドキャスト『民言連のメディア脱穀機』の話だ。 先月9日で200回を超えた。 先月27日、ソウル孔徳洞(コンドクトン)の民言連事務室で、この「メディアをはたく人々」と会った。

 民言連の前身である民主言論運動協議会は、全斗煥(チョン・ドゥファン)政権時の1984年に創立された。当時メディアは“独裁権力の侍女”だった。権力を批判しようとすれば投獄を覚悟しなければならなかった。権力と癒着するマスコミとジャーナリストはおこぼれと高い地位を得た。真のメディアへの熱望は高まらざるを得なかった。メディア監視市民団体である民言連の誕生の背景だ。

 同団体には11人の専従活動家がいる。活動家の報酬は他の市民団体に比して少しましな方だと言った。2016年5月と6月にあった“事件”のおかげだ。この時、会費を出す会員が1000名台から6000名台に急増した。キム・オンギョン事務処長などが 「ハンギョレTV」の 『キム・オジュンのパパイス』に出演して、視聴者に総合編成チャンネルの問題点を洗いざらい知らせてからだった。増えた後援金で活動家も増やし、放送モニターのための高価な装備も備えた。

 「会員が増えるとともに、ポッドキャストを開設してほしいという要求が出てきました。民言連の報告書は読まなくてもポッドキャストは聞くからと。それで去年の大統領選挙を控え、(民言連)代表を説得してスタジオを作り、イPDも採用しました」(キム・オンギョン)。「釜山平和放送」と「国民テレビ」でラジオプロデューサーを務めていたイPDは、当時は充電期間を過ごしていた。 ポッドキャストの主な台本は前日の新聞(担当キム・オンギョン)、放送(ペ・ナウン)、総合編成チャンネル(イ・ボンウ)の報告書と、イPDが作成したメディア関連ニューススクラップだ。「報告書は300人くらいが見るけれども、ポッドキャストを聞く人は1千人くらいになります。 1万人を超える時もあります」(イ・ボンウ、ペ・ナウン)。

 2015年公開採用で民言連の活動を始めたイ・ボンウ氏は、ロックバンド「ボンスチキン」のシンガーでもある。初期からメディア批評に卓越した感覚を発揮し、キム処長から「天才」と言われもしたという。 ペ・ナウン氏はインターネットメディアの記者をしたあと、民言連の活動に志願した。「私が記者をしていたメディアは問題が多いところでした。もう少し良いメディアを探して移るという問題ではないと思いました。メディア問題に根本的に接近したいと考えた時、民言連に出会ったんです」。キム処長は、会社に勤めていた1992年、民言連のメディア学校を受講した後すぐに活動家として参加した。2年間協同事務処長を務め、事務処長は今年で4年目だ。

 1日2時間の録音は活動家にとって大きな負担だ。「モニター報告書も書かなければならないし、他の仕事もしなければならないし、大変です。 外部からは、独自でせずに有名なポッドキャストに出演してメディアの話をしたらどうかとも言われます。でも、そうするとメディアの話は少ししか入りません。メディア問題を記録する資料蓄積という点からも、メディアに特化したポッドキャストが必要です」(キム・オンギョン)。

去年4月開始のポッドキャスト
『メディア脱穀機』200回を超え
キム・オンギョン処長とイ・ジョンイルPD
イ・ボンウ、ペ・ナウン活動家が参加

「聴取者は報告書の読者の10倍ほど
大変だが資料蓄積の意味も」

 セウォル号以後に生じた韓国メディアの修飾語の一つが「キレギ」(記者の「キ」とゴミを意味する「スレギ」の合成語)だ。メディア監視の最前線にいる彼らの考えを聞きたかった。「(政権交替以後)一部の政治的事案に対しては保身を図る姿も見られました。しかし性暴力報道においては、これ以上極悪であり得るのかと思われるほどに問題が多いです。扇情性は政権と無関係です」(ペ・ナウン)。「キレギ現象はさらに深刻化しました。しかし、これは市民のメディアに対する関心がさらに高くなったことを見せてくれるものでもあります。セウォル号惨事以後、確かなのは、市民が今までになくマスコミ報道に敏感に反応しているということです。今回の北朝鮮応援団報道を見れば、扇情的報道後に批判世論が起こるとすぐ翌日から自制していました」(イ・ボンウ)。「今、キレギ現象に対する批判はインターネットメディアの無力な記者たちに集中しています。朝鮮・中央・東亜の編集局の上司たちの方がよほど問題なのにもかかわらずです」(キム・オンギョン)。

民言連のポッドキャスト『民言連のメディア脱穀機』は民源連のホームページ(www.ccdm.or.kr)で直接聞くことができる//ハンギョレ新聞社

 “偽物ニュース現象”も、活動家にさらに多くの仕事をもたらすと言った。「この間、『MBN』がパク・ハンソ監督の美談を捏造した偽物ニュースに釣られました。最初の流布者が偽物ニュースだと認めた後に報道したので、いっそう問題になりました。しかし報告書を出すことはできませんでした。流布者の言った原出処を確認しなければならないんですが、それが難しいんです」(ペ・ナウン、キム・オンギョン)。

 同じ団体で仕事をしているといっても、ニュースを見る見解が皆同じではないだろう。意見の違いを狭められない場合、報告書から活動家の名前を除くこともあるという。人権とマイノリティに関する問題を扱うニュースが代表的だ。「人々が普遍的に受け入れることのできる媒体批評」とは何かに対する考えの違いがあるということだ。

 これからの民言連活動の核心課題は何か? 「メディアが権力監視のような典型的なジャーナリズムをちゃんと実践しているか、監視すべきです」(キム・オンギョン)。キム処長は民言連製作の映像番組『総合編成チャンネル、テッチ!』(訳注:「テッチ」は子供を叱る時の「だめ!」に当る)も、時間を今の20分から1時間ほどに増やして活性化させたいと話した。イ・ボンウ氏は笑って「総合編成チャンネル追放」と言った。 イ・ジョンイルPDは「もっと多くの活動家をポッドキャストに参加させたい」と言った。後援に関する問い合わせは82-2-392-0181, ccdm.or.kr

カン・ソンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/media/834554.html韓国語原文入力:2018-03-04 19:13
訳A.K