北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の「第3回南北首脳会談」の提案に対し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「環境を整えて実現させよう」と答えたことで、首脳会談の成功のための「環境」をめぐる議論が活発になっている。超えなければならない山などが少なくない。
1.北朝鮮の核・ミサイル実験の中止
3回目の首脳会談の開催に向けて、多くの専門家らが挙げる条件は、北朝鮮が核問題について柔軟な態度を示さなければならないということだ。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は「首脳会談に開くためには、ひとまず北朝鮮の核に対する立場が示されなければならない」とし、「少なくとも核・ミサイル実験の停止宣言などが発表されなければ、文大統領が首脳会談を行うのに負担になるだろう」と話した。北朝鮮は昨年11月「火星-15」型を試験発射した後、「核兵力の完成」を宣言する一方、核・経済の並進路線推進を続けると明らかにした。数回にわたり「非核化交渉はない」と釘を刺したものの、専門家らは、北朝鮮が米国の「対北朝鮮敵視政策」の廃棄と対北朝鮮制裁の解除など、確実な見返りが保障されれば、米国との交渉テーブルに座る可能性があると分析する。ただし、現段階で北朝鮮が「非核化ジェスチャー」を取ることが難しい点を考慮すると、核・ミサイル実験の中断宣言などが韓米に送る肯定的なシグナルになりうるということだ。
2.朝米接触
2000年の第1回南北首脳会談と2007年の第2回南北首脳会談は、いずれも南北米の三角関係が好循環を成している際に実現した。専門家らが韓米協力を強調するのも、そのためだ。マイク・ペンス米副大統領は最近のインタビューで、「制裁を緩和するために北朝鮮が取るべき措置」について「私もわからない。だからこそ対話しなければならない」と述べたという。「前提条件なしで北朝鮮と最初の会合をする用意ができている」というレックス・ティラーソン米国務長官の昨年末の発言と同じ脈絡と言える。しかし、韓国政府を悩ませているのは、米国が「先に手を差し伸べることはしない」という立場にこだわっているからだ。これに対し、一部からは、対北朝鮮特使の派遣を通じて韓国が米朝接触の糸口をつかまなければならないという声も上がっている。ク・ガブ北韓大学院大学教授は「韓国が運転台には座らなくとも、調整者の役割を果たさなければならない」としながらも、「簡単ではない問題」だと話した。
3.韓米合同軍事演習の調整?
平昌(ピョンチャン)冬季五輪の“平和”は、3月25日の五輪停戦期間の満了と共に危険な状況を迎える恐れがある。この期間に延期された韓米合同軍事演習が4月に再開される予定であり、このような見通しには説得力がある。ク教授は「韓米合同軍事演習が調整されなければならないだろう」と話した。実際、大統領府内外では期間の短縮や規模縮小も取り上げられている。北朝鮮が今月8日の建軍節軍事パレードを行ったように、韓米も軍事演習を「ローキー」でアプローチする案も提起される。チョ・ソンニョル研究委員は「(米国の戦略資産の展開や)軍事境界線隣接地域への飛行を控えるなど、北朝鮮を刺激しない線で訓練を行い、韓国側が規模を大幅に減らすことも考えられる」と話した。
4.首脳会談で環境整えることも
朝米接触が行われるよう、韓国政府ができるだけ仲裁者として努力を傾けるべきだが、これを必要十分条件にする必要はないという主張もある。首脳会談が文在寅(ムン・ジェイン)政府初期に提起されたため、現在南北対話の動力を活かして直接「非核化」の入口を作っていく作業を試みる価値があるということだ。キム・ヨンチョル仁済大学教授は「北朝鮮の核(問題が起こった)以降、南北関係では南北米の三角関係が好循環されなければならないという(前提)条件があった。(3者の)好循環に向けて最大限努力しなければならないが、それが実現しない限り首脳会談もできないと思う必要はない」と話した。南北が朝鮮半島で緊張が高まることを防ぎ、情勢を管理する一方、北朝鮮核問題の解決に向けた南北米の好循環構造の環境を造成するために、首脳会談を進めることもできるということだ。