北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が今月9~11日、韓国を訪問した高官級代表団の訪韓結果報告を受けて、今後南北関係の発展方向を具体的に指示したと北朝鮮メディアが報道した。特使派遣に続き、後続措置まで金委員長が直接取り仕切っている模様で、南北関係の修復にも弾みがつくものと見られる。
北朝鮮労働党機関紙の「労働新聞」は13日付で、金委員長が12日、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長など高官級代表団員から来韓活動内容の報告を受けたと報じた。特使として派遣された金与正(キム・ヨジョン)党中央委第1副部長も「今回の活動期間に把握した南の真意と米国側の動向」などについて詳しく報告したと、同紙は付け加えた。金委員長は帰還報告に満足感を示しており、南側が誠意を尽くした姿が印象的だったとして、謝意を表したと、「朝鮮中央通信」が報道した。
特に金委員長は「和解と対話のいい雰囲気をさらに昇華させ、素晴らしい結果を積み重ねていくことが重要だ」と強調し、南北関係の発展に向けた実務的な対策作りを指示したと、同紙は伝えた。
金委員長の指示内容は公開されていないが、今年に入って北朝鮮が見せた積極的な動きから、今後各分野で多様な南北交流・接触が続く見通しだ。南北はすでにこれに向けた枠組みも用意しておいた状態だ。南北は先月9日に開かれた閣僚級会談で、軍事的緊張状態を解消するための軍事当局会談▽多様な分野の接触・往来と交流・協力の活性化▽南北関係の改善に向けた南北高官級会談及び各分野での会談の開催などに合意した。したがって、当局レベルでは、軍事当局会談と離散家族再会に向けた赤十字会談などが先に進められるものと見られる。北側は中国の北朝鮮レストランで集団脱北した女性従業員の送還を離散家族再会の前提に掲げてきたが、南北関係の復元に乗り出しただけに、“妙手”を見出す可能性が高い。
北側の平昌パラリンピックへの参加に関連した後続実務接触も必要だ。北側は先月17日の次官級実務会談で、パラリンピック選手団と応援団など150人規模の訪韓団を派遣する考えを明らかにした。停滞していた民間交流が再開されるかどうかも関心事だ。昨年5月に韓国の新政府が発足して以来、民間団体の対北朝鮮接触の申請は合わせて243件に上る。
何よりも金委員長の招請に伴う第3回南北首脳会談の準備が当面の懸案だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が言及した「環境」を整えるためには、非核化問題を含めて南北の調整を先に行わなければならない。キム・ヨンチョル仁済大学教授は「北朝鮮核問題に進展がない限り、首脳会談はできないという主張もあるが、逆に首脳会談を通じて北朝鮮核問題の解決の突破口を開く可能性もある」とし、「朝米対話のためにも、南北が先に動き出すという発想の転換が必要だ」と指摘した。