先週末、運動アプリ「ストラバ」のビッグデータを分析して、世界各地の主な機密軍事施設の位置を把握できるという事実が知らされ、軍事当局者が“戦慄”を感じた。ビッグデータを分析した人は、サイバーセキュリティー専門家のネイソン・ルーサー氏と知らされたが、米国のニューヨークタイムズが30日(現地時間)、タイで夏季休暇中だったオーストラリアの二十歳の大学生ルーサー氏とインタビューした。
ルーサー氏は、キャンベラにあるオーストラリア国立大学で国際安保を専攻する大学生だった。米国防部が状況を検討していると明らかにするほど、軍事当局者に大きな危機感を呼び起こした張本人だ。しかし本人は、これと言った反応があるとも期待せず、タイで悠悠自適の夏休みを楽しんでいた。
「フィットビット(Fitbit、位置追跡装置を利用した運動測定機器)が安保をおびやかすなどと誰が思いますか?」ルーサー氏は自分も驚いたと反応した。だが、ストラバ熱地図でシリアを調べると、米軍基地が(軍人の運動による)熱で光っているのが見えた。彼は自身の分析資料を公開する前に、安保イシューに関心を持った人々が集まるツイッターチャットグループで意見を交わした。苦心の末に先週末、ツイッターにストラバ熱地図ビッグデータを分析した資料を基に、シリアなど紛争国にある米国の軍事施設を露出させた。
ストラバはユーザーがランニングや自転車などの運動をするたびに位置情報をデータとして蓄積する。ユーザーどうしが運動情報を互いに交換し、同じ運動をするユーザーをソーシャル・ネットワークで結びつけもする。特に昨年11月に発表したヒートマップ・サービスは、ストラバ使用者の携帯電話のGPS情報から収集した移動経路を地図上にに表示し、熱の動きに沿ってユーザーが実際に動いた動線を描いたイメージを提供する。このサービスを活用すれば、軍施設の位置はもちろん、軍人の移動経路まで追跡できるということをルーサー氏が発見したのだ。たとえば、アフガニスタンのカンダハル米空軍基地周辺の熱地図を分析すれば、人影が少ないこの地域では米軍の動線がそっくり現れる。
ルーサー氏は、オーストラリアと他国の情報当局が脆弱性を確認する契機になることを願うとし、自身の発見が世の中に肯定的に寄与することを願うと明らかにした。「私は絶対に(国家機密を流出・公開した)マニングやスノーデン、あるいはアサンジのようにはならない」と冗談も言った。
他の多くの二十歳の青年のように、ルーサー氏も卒業後に何をするかはまだ決めていない。だが、オーストラリア戦略政策研究所のダニエル・ケーブ先任アナリストは、ニューヨークタイムズに「ルーサーはすばらしい技術を持っている」として「この分野にいる人々が、そんな人を放っておくはすがない」と話した。さらにルーサー氏に対してインターンシップを提案したいとの計画も付け加えた。