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密陽の病院火災、高齢重症患者も多いのに…スプリンクラーもなかった

登録:2018-01-27 08:15 修正:2018-01-27 08:38
26日朝7時30分頃、慶尚南道密陽市駕谷洞の世宗病院で火事が発生し、消防隊員が消火している/聯合ニュース

 26日午前、慶尚南道密陽市(ミリャンシ)駕谷洞(カゴクドン)の世宗病院で火事が発生し、この日夜10時基準で患者34人、医療陣3人の37人が死亡し、140人余りが負傷した。負傷者のうち7人は危篤状態で、死亡者はさらに増える可能性がある。先月21日に死亡29人、負傷40人の人命被害を出した忠清北道提川(ジェチョン)スポーツセンター火災事故が起きてからわずか1か月のことだ。

 この日、通報を受けて出動した消防当局が3分後に現場に到着し、火災の鎮火に乗り出したが、堤川火災の惨事よりもさらに多くの人たちが死亡した。煙が病院内部全体に広がったうえに、脳血管疾患と老人性疾患を主に治療する病院なので、他人の助けなしに避難するのが難しい高齢の重症患者が多かったことが原因として挙げられる。死亡した患者34人のうち33人が60~90代だった。60代3人、70代4人、80代17人、90代9人で、死亡した患者のうち80代以上が26人(76%)だった。同病院が関連法令ではスプリンクラーの義務設置の対象建物ではないという点のためスプリンクラーがなかったことも、人命被害が多かった原因となった。

 1階の応急室から出火して出た濃い煙は、中央階段を通じて上階へ急速に広がり、地上5階建ての建物全体を埋め尽くした。火災発生当時、救急室の防犯カメラに撮られた映像を見ると、火災発生から約30秒で煙が室内に充満し、その後約60秒で応急室全体が炎に包まれた。

 消防当局は消防ヘリ2機と消防車40台あまりを動員し、2階から火が上の階にさらに広がるのを防ぎ、午前10時26分に火事を完全に消火した。

 この病院には95人が入院できる。火災発生当時、応急室には患者がいなかった。2階の入院室には30人あまりの患者がおり、3階の集中治療室の患者15人は人工呼吸器を取り付けた状態だった。救助の過程で死亡した状態で発見された人は14人で、避難後近くの病院に移送されたり、移送後に死亡した人は23人だ。

 死亡者はほとんどが1階と2階で発見されており、最上階の5階で一部発見された。病室がない1階で多くの人々が死亡したのは、建物の外へ出ようと1階に向かって降りてきたが、炎に阻まれて前に進めず煙によって窒息し死亡したためと推定される。避難の過程で、集中治療室の患者たちの人工呼吸器のような生命維持装置がきちんと作動したのかは確認されていない。

 チェ・マヌ密陽消防署長は「現場に到着してみたら火は1階でのみ燃え上っていたが、黒い煙がすでに建物全体に充満した状態だった。死亡者のうち火傷で死亡した人はいないことが確認された」と明らかにした。警察は「死亡者のうち火に焼けた遺体はなく、全員窒息死したものとみられる」と説明した。チョン・ジェギョン密陽保健所長は「入院患者に重症患者、高齢患者、呼吸器患者が多く、火災事故に弱かったと見ることができる」と話した。世宗病院と隣り合う世宗療養病院にも一人で挙動しづらい入院患者94人などがいたが、彼らは全員無事に救助された。

26日朝7時30分頃、慶尚南道密陽市駕谷洞の世宗病院で火事が発生し、消防隊員が患者を移送している/聯合ニュース

 警察は慶南警察庁2部長を本部長とする捜査本部を密陽警察署に設置した。警察は、世宗病院が2012年8月に147平方メートルを無断増築したが、密陽市がこの事実を摘発しても毎年履行強制金を賦課し、無断増築建築物として登録した状態で放置していた理由も調べる方針だ。無断増築は病院1階の通路、4階の食堂の一部、5階の倉庫などで行われた。

 国立科学捜査研究院などは27日午前、合同現場鑑識を行い、最初の出火地点と正確な火災原因を明らかにする予定だ。最初に火事が起きたのは、1階の応急室の冷暖房機または冷暖房機に連結された電線から発生したと推定されるが、応急室に付いている看護士更衣室で最初に火事が起きたという主張もある。したがって、正確な発火点と火災原因は国立科学捜査研究院などの鑑識結果が出なければわからない。密陽市は27日朝、密陽市文化体育会館に合同焼香所を設置して弔問を受ける。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、火災の犠牲者の規模が大きくなったことに関連して「今回の火災が重症患者が入院中の病院で発生し、生命維持装置などの作動に問題が生じていないか、綿密に調べ死亡原因を迅速に把握し、家族が混乱しないようにしてほしい」と指示したとパク・スヒョン大統領府報道官は伝えた。

密陽/チェ・サンウォン、キム・ヨンドン、キム・イルウ、ファン・クムビ、チェ・ミニョン記者、ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/829608.html韓国語原文入力:2018-01-26 23:46
訳M.C