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見慣れた日本映画の「韓国版」封切り迫る

登録:2018-01-20 06:58 修正:2018-01-20 14:29
韓国でリメークされた日本映画。(上から)『ゴールデンスランバー』、『リトル・フォレスト』、『いま、会いにゆきます』。右側は韓国のリメーク作//ハンギョレ新聞社

 韓国映画界が最近、「近くて遠い国」日本の映画を相次いでリメークしている。公演やドラマなど他のジャンルで続いてきた流れが、映画でも本格化している。今年は特に、このような現象が目立つ。日本の映画をリメークした4本の映画が、韓国で封切りを控えている。観客には「見比べる楽しさ」を、製作者には「素材や構成の貧困を乗り越えるアイディア」を与える“リメーク”が一つの流れとして定着するかに関心が集まっている。

■見比べる楽しさを与えるリメーク映画

 旧正月の連休を狙って来月14日に封切られる、カン・ドンウォン、ハン・ヒョジュ主演の『ゴールデンスランバー』は、日本人作家伊坂幸太郎の小説をもとに日本で先に製作された同名映画(2010)が原作だ。平凡な宅配運転手が有力な大統領選候補の刺客として疑われたことから起きる様々な出来事を盛り込んだ。「映画社ジブ」の関係者は「原作の柱をそのまま借用しながらも、ビートルズの名曲『ゴールデンスランバー』のほかに故シン・へチョルの『君に』、『力を出して』などの曲を使い、できるだけ韓国的な情緒を盛り込もうとした」と説明した。

 イム・スンレ監督の『リトル・フォレスト』は日本の五十嵐大介の漫画をもとに、2015年日本で映画制作された作品をリメークした。日本版が「冬編と春編」、「夏編と秋編」の二本で公開されたことに比べ、韓国版は四季をすべて盛り込んで一本の映画に仕上げた。韓国映画界の新星キム・テリとリュ・ジュンヨルが主演を務め、慶尚北道義城郡(ウィソングン)を背景に撮影した。「映画会社スイカ」の関係者は「四季の風景を撮るため、4度のクランクインと4度のクランクアップをした」とし、「素朴で暖かい情緒と“自給自足のスローフード”の饗宴が観客を魅了するだろう」と話した。

 ラブストーリー『いま、会いにゆきます』は「1年たったら、雨の季節にまた戻ってくるから」という約束を残してこの世を去った妻が、すべての記憶をなくして再び夫と息子の前に現れたことから繰り広げられる物語だ。2004年、市川拓司の小説をもとに日本で同名の映画が作られ、400万人を動員し、シンドロームを巻き起こした。韓国版ではソ・ジソブとソン・イェジンが主演を務めた。「韓国人の好みに合わせて、ユーモアコードを加えると共に、エピソードもかなりの部分に手を加えた」いうのが製作会社の説明だ。

 カン・ドンウォン、チョン・ウソン、ハン・ヒョジュが主演したキム・ジウン監督のSF『人狼』は、日本の同名アニメ映画をリメークした。原作が敗戦した日本の並行宇宙を背景にしているのに対し、韓国版は南北が7年の準備期間を経て統一を宣言した近未来が背景だ。反統一武装テロ団体の「セクト」とそれに立ち向かう警察特殊機動隊、権力機関の公安部との間で繰り広げられる暗闘と激突を描く。

■「日本映画のリメーク」が活発になった理由は?

 このように日本の映画をリメークする事例が増えた理由は、根本的に日韓が共有する“情緒的類似性”だ。『いま、会いにゆきます』の製作会社「ムビラク」のキム・ジェジュン代表は、「韓国と日本は家族愛や母性愛など儒教的価値観が通じる部分が多い。例えば、男女間の愛でも、欧米のように一晩で恋に落ちるような速度戦ではなく、『10年間、内に秘めていた無邪気な恋心』に共感を覚える」とし、「全世界の映画市場の境界が崩れ、米国や中国などで韓国映画のリメイクが活発になったのと同様の現象」だと説明した。

 韓国に最近吹き荒れた日本映画の宣伝も影響を及ぼしたという分析もある。昨年のアニメ『君の名は』が370万人を動員したのに続き、『君の膵臓を食べたい』(47万人)も善戦したのが代表的な例である。実際、映画振興委員会の統合電算網によると、2013年には上映作品219本で観客数が188万人(観客シェア0.9%)に過ぎなかった日本映画は、2015年には上映作品と観客数がそれぞれが441本と437万人(観客シェア2.0%)に増え、昨年には上映作品661本に観客数873万人(観客シェア4.0%)を記録するなど、勢いに乗っている。評論家のチョン・ジウク氏は「1998年、日本大衆文化の開放直後に『ラブレター』、『鉄道員(ぽっぽや)』など作品性のある日本映画が多く輸入された」とし、「その時から公式的に日本映画やドラマ、J-POPに接した10代が、今は文化の主な需要者に成長し、最近の現象をリードしている」と説明した。

 最近の“成功事例”は、今後のリメークの見通しを明るくしている。以前にも『容疑者X(原題:容疑者Xの献身)』、『波浪注意報(原題:世界の中心で愛を叫ぶ)』、『フライダディ(原題:フライ、ダディ、フライ)』『さまよう刃』などのリメークがあったが、興行に惨敗したり、損益分岐点をやっと超えるレベルだった。ところが昨年、日本映画『鍵泥棒のメソッド』(2012)をリメークした『ラッキー』が698万人を動員し、大きな成功を収めた。

 結局、リメークの成功の決め手は、いかに韓国的情緒に合わせて“再解釈”するかだ。キム・ジェジュン代表は「原作が素晴らしく、面白いからこそ、リメークに乗り出すのだが、逆説的にも、原作の柱の中に韓国的要素をいかにうまく埋め込んでいくかが最も大きな課題」だとしたうえで、「原作の強みと韓国的情緒を絶妙に融合させるのが成功の鍵」だと指摘した。

ユ・ソンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/828490.html

韓国語原文入力:2018-01-19 08:11
訳H.J

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