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KTX乗務員の涙の12年、ようやく解決の糸口見出す

登録:2018-01-17 09:09 修正:2018-01-17 09:51
韓国鉄道公社に正社員化を要求して2006年5月に解雇されたKTXの女性乗務員たちが、2010年8月26日午後、ソウル瑞草洞のソウル中央地裁で開かれた「労働者地位確認等請求訴訟」で勝訴し、感激した表情で法廷を出ている=カン・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国鉄道公社を相手に正社員転換闘争を繰り広げ、2006年に解雇されたKTX乗務員の「賃金返還」問題が宗教界の仲裁と裁判所の調整で解決の糸口をつかんだ。12年間続いてきたKTX乗務員の直接雇用問題も、今回の機会に解決方法を探ることができるか、関心が集まっている。

 16日、大田(テジョン)地裁(調整専担裁判官チョン・ウジョン)は、鉄道公社(KORAIL)がKTX乗務員34人に対し「仮支給された賃金の返還」を求めて起こした不当利得金返還訴訟と関連し、「給料の一部(元金の5%)返還」を骨子とした調整勧告案を提出した。裁判所の今回の勧告は、カトリックと仏教、キリスト教、聖公会など4大宗教団体の元老の仲裁に基づいたものだ。訴訟当事者である乗務員と公社の異議申し立てがなければ、勧告は2週間後に確定する。

 KTX解雇乗務員を苦しめてきた不当利得金返還訴訟は、2015年2月、最高裁判所が彼らを鉄道公社の労働者と見なせないという内容の判決を下したことから始まった。当初彼らは鉄道公社を相手に直接雇用を要求し、労働者の地位確認訴訟を起こし、1・2審で勝訴した。その結果、1人当たり「4年分の賃金」である8640万ウォン(約900万円)を受け取ったが、最高裁が原審を覆した。これによって彼らはすでに受け取った4年分の賃金に利子まで含めて約1億ウォン(約1040万円)ずつを鉄道公社に返さなければならない立場に追い込まれた。最高裁の判決直後である同年3月、乗務員の一人が「3歳の子どもに借金だけを残して行ってすまない」という遺書を残して自ら命を絶ったこともある。

 繰り返された曲折の末、宗教界が乗り出した。昨年5月からKTX解雇乗務員問題の解決のための対策委員会に参加した4大宗教団体は「鉄道公社は支給された賃金の元金の5%を回収し、解雇乗務員は国際機関の提訴と鉄道公社を相手にした損害賠償訴訟を中断する」という内容で労使仲裁を引き出した。

 現在、鉄道公社と鉄道労組は労使・専門家協議会を立ち上げ、KTX乗務員の直接雇用について協議中だ。鉄道労組は今年2月末までに完了されるものと予想される専門家協議会の議論の結果によって、解雇乗務員の復職協議にも扉が開かれるものと期待している。

 裁判所の調整勧告が出た後、KTX解雇乗組員たちは、「お金の問題が解決されたので、これでKTX乗務員の直接雇用に向けて一歩進めたい」と明らかにした。解雇乗務員のチョン・ミジョン氏(37)はこの日、ハンギョレとの電話インタビューで「裁判所の職員が支給命令書を持って夜遅く何度も訪ねてきて、玄関のドアをどんどんと叩く時にはまるで罪人になったようだった」と振り返った。2015年の最高裁判決後、チョン氏は妊娠を試みたが、3回も流産するほど激しいストレスに悩まされた。チョン氏は「賃金の返還問題が解決された今、ようやく原点に戻った」とし、「これからは復職を通じて、私たちがこれまで間違っていなかったことを明かにしたい」とした。

 キム・スンハ鉄道労組KTX列車乗務支部長は「最高裁判所はKTX乗務員業務が生命・安全業務ではないとし、労働者の地位を認めなかったが、セウォル号惨事後に鉄道安全法が改正された今はその部分に議論の余地がない」とし、「経済的・心的苦痛で仲間たちが一人ずつ離れ、闘争の現場には33人だけ残っている。離れた仲間たちも一緒に現場に戻ることができるよう努力する」と話した。

パク・テウ、イ・ジヘ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/827997.html韓国語原文入力:2018-01-16 22:00
訳M.C