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平昌で「気象五輪」開かれる

登録:2017-12-08 05:51 修正:2017-12-08 08:30
今月6日午前、雪が少し降った江原道平昌冬季五輪のメインスタジアムで、行事要員らが雪を片づけている。ドームがない3万5千席のスタジアムで午後遅い時間帯に開・閉会式が開かれる予定であるため、天気が円滑な進行に大きな影響を及ぼすものと見られる=気象庁提供//ハンギョレ新聞社

 平昌(ピョンチャン)冬季五輪が開かれる江原道嶺東(ヨンドン)地方は気温と降水量の変化幅が大きく、気象予測が困難な地域だ。気象予報士を悩ませるここで、世界気象機関(WMO)が主催する国際共同研究「アイスポップ2018」が“援軍”として登場した。12カ国28機関が参加して50台以上の先端気象装備で気象研究と予報モデル競演をする、いわゆる「気象五輪」の幕が上がった。

 来年2月9~25日に行われる冬季五輪と3月9~18日に開かれるパラリンピック大会において、最も大きな影響を及ぼす要因は天気だ。平昌冬季オリンピック大会組織委員のイム・ジャンホ気象気候チーム長は6日、「冬季五輪を開くのに最も良いのは、氷点下10度から氷点下5度で雪と雨が降らず風が強くない天気だ。しかし、嶺東地方は気象変化が激しく、円滑な大会運営のためには正確な気象予報が重要だ」と話した。実際に2009年のバイアスロン世界選手権大会が行われる前日の2月13日、大関嶺(テグァンリョン)の1日の平均気温は10.5度で、18.5ミリの雨が降り、“水浸し”になった競技場に大関嶺雪花祭りのために積んでおいた雪を緊急空輸しなければならなかった。2013年の平昌冬季スペシャル五輪の際も、大会4日目の2月1日、大関嶺の1日平均気温が4.4度、降雨量が18.5ミリに達した。2014年の五輪期間(2月9~25日)には雪が北江陵(プクカンヌン)には174.1センチ、江陵は113.5センチも積もった。

平昌冬季五輪が行われる江原道嶺東地方は気象変化が激しく、気象予報が大会成敗の最も大きな要因として浮上している=気象庁提供//ハンギョレ新聞社

 地球温暖化により、冬季五輪では天気との戦いがいつも繰り返されている。2010年カナダ・バンクーバー大会と2014年ロシア・ソチ大会の際も、天気が問題となり多くの試合が遅延・延期されたり、取り消された。イムチーム長は「嶺東地方の場合、地球温暖化によって気温や降水量が統計的に有意義な上昇を示している。特に山岳と海が直線距離で20キロメートルしか離れていない複雑な地形であるため、異常気象現象が発生する可能性が高く、予報士らが緊張している」と話した。気象庁は、平昌五輪の気象支援のために73人の派遣団を構成して運営している。

 天気を予測し難いだけに、世界気象関連機関には正確な予報の実力を積む絶好の機会でもある。慶北大学天文大気科学科のイ・ギュウォン教授は「嶺東地方は世界的にも関心が多い複雑な地形であるため、正確な予報に向けては詳細な観測情報が必要だ。現在、世界12カ国の気象関連機関が五輪大会が開かれる江陵と平昌一帯に50台以上の先端気象装備を設置し、気象観測をしている」と話した。世界気象機関の世界気象研究プログラム(WWRP)の一環として行われる国際共同研究は、2010年カナダ・バンクーバー大会当時「スノーV10」という名で始まり、8カ国から9つの機関が参加した。以降、ロシア・ソチ大会の「フロスト2014」に10カ国から12つの機関が参加したのに続き、平昌「アイスポップ2018」では12カ国から28の機関に拡大された。アイスポップ2018は「Internation Collaborative Experiment for Pyeongchang Olympic and Paralympic 2018 winter games」の英文略字だ。主要参加国と機関は米航空宇宙局(NASA)、カナダ気象庁(ECCC)、スペイン・カスティララマンチャ大学(UCLM)、スイス・ローザンヌ連邦工科大学(EPFL)、英国気象庁(MetOffice)などだ。韓国からは、気象庁の数値モデリングセンターや延世大学、慶北大学、江陵原州大学、国土部漢江洪水統制所、空軍など12の機関が参加した。

今月6日、江原道江陵市の江陵原州大学の屋上でイ・ギュウォン慶北大学教授が取材記者団にカナダ気象庁が設置したレーザー降雨センー(Parsival)の作動原理を説明している=気象庁提供//ハンギョレ新聞社

 共同研究団は、束草(ソクチョ)と江陵の間の南北方向と、江陵から大関嶺気象台近くのメイヒルズリゾートまで東西方向で降雪の観測網を構築した。リゾート前の白菜畑に設置された「メイヒルズ観測網」をメインにし、気象台屋上や江陵原州大学の屋上などに鉛直(垂直)方向に降水を観測するマイクロレーダー(MRR)、3次元で風とエアロゾルを観測するライダー、降水粒子と密度、落下速度を測るレーダー式降雨センサー(POSS)、重量式雨量計(Pluvio)、カメラで雪の粒子結晶の写真を撮るマスク(MASC)など先端装備が設置された。イ・ギュウォン教授は「現在、気象庁が運用している江陵と横城(フェンソン)レーダーでは死角地域が生じる。観測網を細やかに作って観測したデータは気象庁特化予報システムに転送され、実際の予報に活用される」と話した。

イ・グニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/822447.html韓国語原文入力:2017-12-07 22:20
訳H.J