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“地上波 独寡占”叩いて、新聞・財閥に独寡占あげるのか

登録:2009-07-14 09:53

原文入力:2009-07-14午前07:05:51
地上波売上額・視聴率 ぽたぽた…独寡占は昔の話
世論支配力 数値もドラマ・娯楽物でふくらませ
チャンネル増やして世論多様性? かえって商業性育てるだけ

クォン・クィスン記者

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与党放送改編 こうしてはいけない②

言論法改正論理の虚構性

“放送3社の寡占構造だ。現在調査によれば地上波3社の視聴者占有率が80%を越える。世論形成力は多くて68%だ。巨大新聞と言いながら巨大放送だ。 …放送を多様にして私たちの国民にもう少し多様で公正な情報を差し上げることによって自由主義の根幹を作ろう。自由主義の環境を作ろうというのがメディア法だ。” (ナ・ギョンウォン ハンナラ党議員-6月18日<文化放送> 100分討論で)

最近、政府・与党は放送法改正論理として有料商業放送進入を通じた‘地上波寡占解体論’を強調している。与党の論理によれば△地上波は寡占構造だ△地上波寡占は問題だ△チャンネル拡大は世論多様性の増大だという前提を置いている。これに対して地上波寡占論は私益的性格が強い新聞に地上波を譲り渡すためのごり押し論理だという批判が出てきている。

■地上波は果たして寡占であろうか?
専門家たちは「過去にはそうだったが今は違う」と言い切る。これは産業的統計で裏付けられる。放送通信委が去る9日に公表した‘2008年度放送事業者財産状況’によれば‘地上波衰退,ケーブル成長の勢い’は明確だ。放送事業総売上額8兆6213億ウォン中、地上波は3兆3971億ウォンで全体の39%に過ぎない。反面ケーブル放送(SO)と放送チャンネル事業者(PP)は各々1兆6795億ウォン,3兆537億ウォンを記録しニューメディアが地上波を軽く追い抜いた。地上波視聴占有率も2000年に75.7%を記録して以来、2006年には60.3%に着実に下落している。

放送の世論支配力数値も誇張された膨らませという指摘だ。与党の‘地上波寡占論’はユン・ソンミン ソウル大教授の研究を主要土台にしている。彼は去る2月ある討論会で地上波3社の世論支配力が42.5~68.8%という計量的分析を出した。これに対して多数の言論学者らはドラマや娯楽プログラムなど世論形成と関係がない視聴時間まで合算された点を上げ、この数値が誇張されたものと反論する。ユン教授は媒体利用時間などを世論寡占の直接指標として使った。

これに加えて専門家たちは、地上波の世論支配力は一般的な寡占概念とは違うという主張も出している。社会的公信力や信頼度のような肯定的要素が世論支配力を構成する主要要素なので、これを寡占という否定的要素に等値させることはできないということだ。シン・デソプ前東義大教授は「イ政府になって<韓国放送>報道の信頼度と公信力が下落し影響力が減った」としつつ公信力と世論支配力が緊密な関係にあることを強調した。シン前教授はまた「ユン教授が米連邦通信委員会(FCC)の多様性指数(DI)を援用して計算した韓国言論の多様性指数(集中度測定)は基準の1000より低い981.0と出て来て、世論寡占の弊害がないという結論を出さなければならないのに、自ら算出した多様性指数値と反対の主張をしている」と反論した。

■地上波寡占は問題か?
言論学者らは地上波の世論寡占が強く問題というのは、基本的に論争の種にならないと話す。世論寡占は公共放送ではない商業放送の弊害に適用されるという見解だ。英国・ドイツなどは地上波放送の影響力と公信力を増大させようとしている。公共放送は労働者の声,女性の声,少数者の声を代弁し内部的に世論多様性を具現するためだ。したがって‘公共放送寡占=世論多様性増進’という社会的合意の下に公共放送は視聴占有率規制を受けない。代わりに多様性と均衡性,地域性のような公共性が強い責務を具現するように公的規制を受けている。

有料商業放送を進入させ世論多様性を育てるという与党の論理に対しても学界の見解は正反対だ。‘多チャンネルは商業性増大,多様性縮小につながる’というのが大半の意見だ。ユン・ソンミン教授の主張もそうだった。昨年8月論文(<放送研究>夏号-‘放送通信融合時代 放送の公益性と内容規制政策’)で彼は「メディア チャンネルの増加は放送の商業性を加速化させ多様性を減少させる可能性が濃厚だ」として「放送市場で競争が深刻化される時期にプログラム多様性がむしろ減少したことは1994年に実証的に明らかにされた経緯がある」と書いた。また「公共放送サービスの多様性および完成度のような内容上の質的価値が市場によって自動的に達成されるだろうというのは非現実的信頼ということがこの研究の結論」と言った。

■言論学界の意見
‘地上波は寡占であり地上波寡占は世論寡占’という与党論理は「新聞財閥の既得権層の声を強化させようとするごり押し論理」だというのが多数の言論学者らの指摘だ。キム・スンス全北大教授は「地上波寡占論は政治的攻勢に過ぎない。放送3社の寡占を解体し、私益新聞に寡占権を与えるということは、二重寡占を招く自滅手法論理」と反論した。シン前教授は「寡占新聞や大企業の総合編成進入は既得権の立場をもう一度繰り返すということだけでなく、庶民の声を深刻に萎縮させ世論多様性を阻害する可能性が大きい」と分析した。キム・ソジュン聖公会大教授も「地上波放送の影響力は公的規制から来る信頼度と影響力により寡占弊害に帰結されない」としながら「報道・総合編成進入を通じた地上波弱化は公的世論形成機能を特定私的権力に渡そうとするもの」と批判した。

クォン・クィスン記者gskwon@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/media/365679.html 訳J.S