一昨年8月から9月の釈然としない事業否決
誰がなぜボーイングF-15SEが推したのか
韓国型戦闘機は“ギャンブル”となる
核心技術移転が困難と知りながら
昨年9月にF-35Aを40機購入契約
大統領府は何も知らなかったかのように
遅ればせの真相調査に乗り出すという
米国は技術移転議論そのものを拒否
ところが、翌日の24日午後2時に開かれたキム・クァンジン長官主催の防推委会議で「絶対無い」と思われていたことが起きた。防推委会議で繰り広げられた場面は耳を疑うものだった。通常、防推委議決は複数案を比較して表決で決める方式をとる。例えば、1案は機種決定、2案は延期、3案は否決といった案を示し、最適な案を討論して多数決で決めなければならない。防推委会議はキム長官を議長として、国防部資源戦力管理室長、各軍参謀次長、放事庁長、政党推薦委員、民間専門家で構成される。イ・ヨンデ戦力管理室長はこの日、3案に該当する否決案だけを想定し、そこへ委員が署名するか否かを選択するよう要求したのである。それに対し一部の委員が、事業が遅れたら空軍の戦力空白が予想されると署名を拒否した。残る委員はまるで事前に予想されていたかのように素直に署名し、速やかに否決された。たった2時間で決定が下されると、4時30分にキム・ミンソク報道官が記者室で発表文を読み上げた。F-15SEの最終決定を予想して記事を準備していた国防部の記者室は一気に慌ただしくなった。
一部委員が防事庁が建議したF-15SEの機種決定否決に署名しなかったのは、これ以上決定が遅れる場合、空軍の戦闘機事業が遅れるだけでなく「韓国型戦闘機開発事業(KF-X)にも支障をきたし、空軍に深刻な戦力空白がもたらされるという理由からだった。仮にF-15SEの代わりにまだ開発も完了していないロッキードマーティン社のF-35Aが選ばれる場合、価格、性能、技術移転条件がすべて不確かになる。否決決定がされた後、その年の12月に国防部は合同参謀会議を開き、次期戦闘機要求性能にステルス機能を追加して、事実上、F-35Aを単独候補として選定するよう政策を変更する。この会議で米国政府が韓国政府に戦闘機を販売する政府取り引き方式(FMS)のF-35Aは、米国からKF-Xに必要な核心技術移転が難しいという点は討論さえされなかった。問うことも問題にされることもない決定だ。
2014年5月10日午前10時にサマーセット・パレスホテルで進めれた大統領府のチュ・チョルギ安保首席主催のKF-X対策会議。空軍と防事庁、業者、民間専門家、専門記者などが招かれた会議の冒頭、チュ・チョルギ首席は「昨年、朴槿恵大統領が次期戦闘機事業に関し歴史的な決断を下した。今年は韓国型戦闘機事業で歴史的決断を下すだろう」と悲壮な語調で語り始めた。
この会議でKF-Xの技術移転に対する見解は二つに割れた。空軍政策の諮問に応じるA教授は「共同開発のパートナーでF-X事業の随意契約対象のロッキードマーティンは、核心技術移転および開発費分担交渉で難航が予想される」と指摘し「米政府の輸出承認(E/L)不許可品目の電子式レーダー(AESA)と赤外線探知および追跡装置(IRST)、光学標的追跡装置(EOTGP)技術移転に問題が発生する」と現在の状況を正確に予測した。
これに対し、空軍諮問に応じる別のB教授は「米国は技術移転に好意的」と語り、無難に核心技術を受け継げると楽観した。意見が割れたまま会議は何の成果も出せずに終わった。その年の初めにKF-X事業体系の開発予算が国防予算に反映される時点で、空軍、防事庁、業者関係者は事業支障を恐れ誰も技術移転問題を語ろうとしなかった。何らかの“見えない手”がF-35A導入の障害物を一つずつ除去し、F-35Aの問題点に対し共謀の沈黙が形成されていった。
大統領府での会議直後、空軍、防事庁、そして過去の大統領府対策会議に参加したB教授などで構成されたF-X折衝交易3次交渉団が訪米し、米国防総省安保協力局(DSCA)と米空軍関係者に会った。ここで韓国側が強力に米政府の輸出承認品目の技術移転を要求すると、米国側関係者は「韓国でいったいどんな戦闘機を作ろうというのか?」と形状すら決まっていない韓国型戦闘機に技術移転を議論すること自体を拒否した。さらに米側は、「核心技術移転は交渉の対象にならないし、もし韓国が技術が必要なら、米国から別に購入すべきだし、購入しても韓国型戦闘機のシステムは技術を提供する米国業者が作るべきだ」と韓国側の戦闘機開発の全面否定さえ憚らなかった。
韓国語原文入力:2015-10-02 21:56