ソウル市が鍾路(チョンノ)区玉仁(オギン)洞の「尹氏家屋」を文化財に再指定するための検討作業に着手した。
1919年に建てられた尹氏家屋は、親日派の尹徳栄(ユン・ドクヨン 1873~1940)の妾宅だった韓国式家屋で、ソウル市が1977年に文化財に指定したが1997年に指定を解除した。現在は再開発がまだなされておらず原形が残っているが、尹氏家屋の保存を巡って行われた法的攻防で大法院(最高裁)が他所に移し復元するという再開発組合側の手を挙げたために毀損される憂慮が高まった。ソウル市歴史文化財課関係者は25日、「ソウル市指定文化財に再指定することが可能かを検討している」と明らかにした。 今までに指定解除された文化財を再び文化財に指定した事例はない。
文化財解除後の再指定を行えば初の事例になるという点で、ソウル市も慎重な姿勢を見せている。 指定解除した当時の論理を覆すに足る根拠を提示しなければならないためだ。 ソウル市は1997年当時、ひどく古く崩壊の危険があるという嘆願を受けて文化財指定を解除したと説明した。 文化財再指定をするには、き損の程度が激しく保存価値がないと判断した当時の論理を覆さなければならないということだ。 現在はき損程度がさらに深刻になっているし、1870年に建てられたと把握した指定当時よりは、より新しい1919年の建物であることが調査されたという点も再指定の障害物だ。
ただし、最近になって韓国式家屋などソウルの建築文化財に対して以前よりはるかに高い価値を付与している社会的ムードが再指定には肯定的な影響を及ぼす可能性もあると見られる。
再開発が進行中の地域にある建物を文化財に指定することも容易ではない。 ソウル・中区の万里(マルリ)洞の「鄭栄国(チョン・ヨングク)家屋」が、周辺の再開発が進行される過程で指定された事例だ。 調査の結果、1930年代の万里洞地域の上流層都市型韓国式家屋という点が高く評価された。 結局、2005年に文化財指定を受けたが再開発組合が強く反対したため指定申請をした家屋の所有者も突然気持ちが変わるなどの難関を経なければならなかった。
尹氏家屋がある玉仁洞も再開発事業が進行している場所だ。 仮に尹氏家屋が文化財に指定されれば、それだけ事業性が悪化し再開発組合の反発が予想される。 再指定する場合、再開発組合側が訴訟を起こすこともありえ、法的問題に対する検討も必要と見られる。
ソウル市の文化財指定および解除は、文化財関連学科の教授と専門家などで構成されたソウル市文化財委員会の審議を経て決定される。