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景気浮揚資金 ‘インフレの罠’ かかった

登録:2009-06-15 09:26

原文入力:2009-06-15午前07:34:45
[ニュース分析]市中金利 急上昇 なぜ
5年モノ国庫債金利 年初対応30%上昇
景気より金利すばやく上昇 先制対応 困難

アン・ソンヒ記者

株式,不動産市場に続きこの頃は資金市場にも不吉な兆候が現れている。すなわち市場金利の上昇勢だ。これは資金市場で ‘お金が異常にあふれてインフレ(物価上昇)が来る’ という認識が広がったためだ。金利上昇自体を ‘市場が送るインフレ警戒警報’ と見る専門家たちもいる。金利と物価の同伴上昇は景気回復に冷水を浴びせ ‘史上最低金利’ が持続すると信じお金を大量に借りた家計と企業に致命的な打撃を与えかねない。

代表的な市場金利指標である満期5年の国庫債金利は去る12日現在、4.90%まで上がり5%台進入を目前にしている。年初金利(3.79%)と比べれば30%(1.11%ポイント)近く上がった。年初から5月末まで着実に下がり、5%線を下回った会社債(AA- 3年物)金利も5.40%に再び上がった。住宅担保貸出の基準となる譲渡性預金証書(CD)金利はまだ静かだが、他の債権金利が継続して上昇すれば影響を受けるほかはない。米国をはじめとする主要国市場でも金利が急速に上がり政策当局を緊張させている。

金利上昇の1次動力は景気が底を打ったという認識だが、各国政府と通貨当局が景気浮揚のために吐き出したお金のためにインフレがくるかも知れないという ‘インフレ期待心理’ も主要に作用している。最近オイル価格など国際原材料価格が急騰していることもこういうインフレ憂慮をより一層煽っている。チェ・ソクウォン三星証券債権戦略チーム長は「世界各国の財政・通貨拡張政策で市中に解かれた資金のために、株式市場が上昇し既に原材料市場までが揺れている」として「これは貨幣の価値が落ち、実物との均衡が崩れているということ」と話した。

原材料価格が継続上昇しインフレ期待心理が大きくなれば物価は再び上昇圧力を受けることになる。このようになれば世界各国の中央銀行は政策金利引き上げを考慮するのが当然だ。しかし資金が大量にあふれている中で金利と物価が景気に先んじて上がる状況では、通貨当局が先制対応をするのは難しい。家計と企業,政府の金融費用負担が突然増加すれば景気回復困難に陥りかねないためだ。

特に国内家計と企業は今年に入り貸し出しを大きく膨らませ、金利上昇に一層ぜい弱となった状況だ。国内銀行圏の住宅担保貸出残額は去る2~4月に月平均3兆3000億ウォンずつ増加した。こういう増加傾向は不動産景気が過熱様相を見せた2006年と似た水準だ。中小企業貸出も今年に入り5月までに15兆2000億ウォン増えた。

大宇証券のソ・チョルス首席研究員は「現在韓銀の基準金利である2.0%は文字どおり ‘非常局面’ から出たこと」としながら「たとえ景気が本格的に回復しなくても非常局面さえ抜け出せばこのような超低金利基調を維持することは困難だ」と話した。ジャン・ミン金融研究院マクロ経済研究室長も「今、市中に解かれた過剰流動性を適時に吸収できなければ深刻なインフレがくる恐れがある」と警告し、金利が継続的に上がると見通した。世界各国はすでに対策準備に出た。去る12~13日イタリアでは主要8ヶ国(G8)財務長官が集まり今後の政策目標を景気浮揚からインフレ抑制に変える、いわゆる ‘出口戦略’ を検討し始めた。わが政府と通貨当局にも決断の時点が近づいているようだ。

アン・ソンヒ記者shan@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/360424.html 訳J.S