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[記者手帳] 韓国サッカー再生を目指すシュティーリケ監督

登録:2015-01-31 11:51 修正:2015-01-31 13:35

 ハンギョレのスポーツ部サッカー担当記者のホ・スンです。2014年ブラジル・ワールドカップで韓国サッカーが儚く敗れ去る姿を現場で目の当たりにしたこともあります。惨めな失敗の責任を負い指導部が総退陣するなど、韓国サッカーが総体的な難局に直面したのは昨日のことのようですが 韓国サッカー代表チームはいつのまにか55年ぶりのアジアカップ優勝を目前に控えています。

 米国のスポーツ専門チャネルESPNは「韓国サッカーはルネッサンスをむかえた」と報じ、韓国サッカーを侮っていた日本でも現役のプロチーム監督が「韓国の実力は日本より頭一つ分秀でている」と語るほどにまでなりました。なぜこんなことが起きるのでしょうか?たった半年で韓国サッカーが突然上達するはずはありません。となると最も目につく差である指令塔に変化の理由を求めるしかありません。マスコミは先を争って「ドロ沼サッカー」、「実学サッカー」といった新造語を作りウリ・シュティーリケ監督の成果を説明しようとします。

 シュティーリケ監督は選手時代にドイツ代表チームとスペインの名門レアル・マドリードで活躍したスタープレーヤー出身ですが、指導者としては優れた方ではありませんでした。2000年5月から2006年1月までドイツ青少年代表チームを率いたのを除き、任されたチームを1、2年で去ることを繰り返しました。韓国代表チームを引き受ける前までの25年の監督生活で12チームを転々としています。そんなシュティーリケ監督が韓国代表チームを任され、突然卓越した戦略家になったはずもありません。

 アジアカップでのシュティーリケ号は“運”なしには語れません。大会序盤で比較的弱いチームのはずだったオマーンとクウェートに1-0で辛勝した時点では、むしろ失望の声が上回っていました。それに加え「運良く勝った」という評価がついてまわりました。専門家たちも似たような意見でした。しかし運も繰り返し続くと運とは言えなくなります。韓国代表チームは強豪オーストラリアを1-0で、8強で手強い相手のウズベキスタンを2-0で、4強でイラクを2-0で破り5競技連続無失点の行進を続けました。競技力は大会で試合を重ねる度にますます向上しています。

 「運が良かった」は半分当たっています。大会序盤で主戦力となるソン・フンミンが体調を崩し、イ・チョンヨン、ク・チャチョルのような中心選手が大会中の負傷で戦列から離脱するなど運に恵まれず、簡単に勝つことができるはずの競技を運良く勝つことになる状況になるからです。中心選手たちの相次ぐ離脱にシュティーリケ監督はエントリー23人中22人を適材適所に配置する幅広い選手起用で危機を克服しました。

 その基本には合理的な選手の選抜がありました。5回の評価試合や済州(チェジュ)での現地訓練で選手たちを粒さに点検し、自分の戦術に合った選手をうまく起用したのです。無名に近い攻撃手イ・ジョンヒョプとゴールキーパーのキム・ジンヒョンが代表的です。この時シュティーリケ監督は先入観や選手の知名度に束縛されませんでした。ブラジル・ワールドカップでの不振でファンの怨声が絶えないパク・ジュヨンにさえ評価試合への出場の機会を与えました。先入観や知名度とは無縁の選抜はスター選手と無名選手のいずれにも強いモティベーションになったのです。

 シュティーリケ監督は26日に決勝進出が確定した後、「たとえ優勝しても韓国サッカーを発展させるため努力しなければならない」と選手たちを一喝しました。彼の真価はまさにここにあります。自分の任務を優勝より韓国サッカーの発展に定めているのです。試合に勝っても内容が気に入らなければ「運が良く勝った」、「優勝候補の資格がない」と苦言を呈しました。シュティーリケ監督は選手たちに韓国サッカーの青写真を明確に示し、一貫して求めています。それは“占有率サッカー”です。そのためにシュティーリケ監督は、大会直前に細部戦術を組む時に「占有率サッカーをするには消極的で責任を回避する態度を改めなくてはならない」と体質改善の課題を投げかけることもあります。

ホ・スン スポーツ部記者 //ハンギョレ新聞社

 こうした彼の特性からシュティーリケは錚々たる候補の中から韓国代表チーム監督に選ばれたのだと思われます。シュティーリケを迎え入れたイ・ヨンス技術委員長は、2002年ワールドカップを控えフース・ヒディンク監督を指令塔に据えた当事者です。当時は国内でワールドカップが開かれるため確実な成績を収めるのが課題だったとしたら、今与えられている課題は2002年以後むしろ後退している韓国サッカーの体質を改革することであり、そのパートナーとしてシュティーリケに目をつけたのでした。彼の任務が勝利ではなく改革と発展である以上、優勝に成功しようが失敗しようが、時間と余裕をもち韓国サッカーがどう変わっていくか見守っていくべきです。

ホ・スン スポーツ部記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.01.30 21:26

https://www.hani.co.kr/arti/sports/soccer/676162.html 訳Y.B