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[ニュース分析] アリババ 馬雲熱風(下)

登録:2014-09-28 23:20 修正:2014-09-29 09:16

 ドイツのツァイトゥングはその原因を中国人の心をうまく攻略したところに求める。 イーベイが販売金額の一部を手数料として抜くのに対して、淘宝網には手数料がない。 売上はオンライン広告と企業顧客のホームページ デザイン、検索順位を上位に上げる際に受け取る代価などで上げる。 また“アリペイ”という名前の独自の決済システムを開発したことも功を奏した。 消費者が淘宝網で商品を買えば、振り込まれた金銭は販売者に直ぐには渡らず、アリペイに預置される。 配送が完了した後にアリペイから販売者に代金が渡る。 オンライン ショッピングで詐欺を心配する中国人の疑心を解消したわけだ。 アリペイはアリファイナンスに発展し、公共料金決済に続きデジタル クレジットカードに事業を拡張している。 国営銀行をほとんど使わない大多数の中国人に金融サービスを提供することを目標にしていると分析される。

アリバブルなのか、新しい歴史の始まりなのか

 再び馬雲に話を戻そう。 馬雲は俳優の両親の血を受け継いだおかげなのか、非常にショーマンシップが強く、人々を魅了する力があると周辺は評価する。 その上、仕事には非常に攻撃的だ。 彼がロールモデルとしている風清揚の“独孤九剣”は攻撃は最大の防御と説いていることを想起させる。 香港のスイス投資銀行で仕事をしていた蔡崇信が彼と一度面談した後に巨額の年俸を放棄して先行き不透明なアリババに合流したことだけを見ても彼の吸引力がどれほど優れているかが察せられる。 蔡崇信アリババグループ副会長は、馬雲との初めての出会いについて『フォーブス』にこのように語った。

「台湾にいる私の友人から電話がきた。『おい、杭州のこの男と必ず会ってみた方が良い。 彼はちょっと狂っているようだが、それでも…』。馬雲に会った時は、まだ会社もなく、ホームページ一つがどんとあるだけだった。 ところが私は彼に完全嵌まってしまった。 彼はカリスマあふれる態度で途方もないビジョンを語った。 収益モデルや利益のような話は一つもしなかった。 『中国に数百万の工場があるが、どのようにすれば彼らを西側世界に知らせて表に引っぱり出せるだろうか?』。その時、すでに馬雲には一群の追従者たちがいた。 大部分は彼の教え子たちだった。 彼らの目は光り輝き、全員が狂ったように仕事をしていた。 私は完全に圧倒されてしまった」

 馬雲は優れた技術を持っているわけではなかったし、体系的な経営授業を受けたこともない。 彼は2008年頃からは経営に直接関与しないと話したことがあり、昨年には最高経営者(CEO)の座からも退いた。 彼が最も得意とするのは、ビジョンを提示し、それを構成員に説明することだ。 職員の前に立って、それがどれほど価値あることなのかを強調し、懸命に働けば別荘やスポーツカーも持てるようになると励ます。 彼は重大な経営決定をする際に直観に頼る方であり、その決定の理由を説明することもない。 このようなスタイルのために“独裁者”という非難を浴びたりもする。 だが、創業こそが金持ちになる道、という彼の説明は青年たちの大きな呼応を得て、ほとんど宗教的な支持を受けている。 2008年に出版された、彼について分析したある本の題名は“馬雲教”だった。

 今年の初め、彼はある講演で「35歳まで貧しければ、それはあなたの責任だ。 あなたが貧しい理由は野心がないため」と話して、論議の的になりもした。 35歳は彼がアリババを創業した歳だ。 “なせばなる”という彼の成功観は、熱狂と冷笑を同時に得ている。 中国ヤフーを買収して馬雲が見せた、インターネットを統制しようとする中国政府への協力姿勢も批判の対象だ。 彼は「私たちが政府に抵抗して不渡りを出すことを株主は願わないだろう。政府がしろと言うならする」と話したことがある。

馬雲とアリババは、成功神話を書き続けるのだろうか

 予断することは困難だが答はやはり“中国”に求められる。 中国の巨大な人口がインターネットに動き、アリババの立ち位置が強固であり続けるならば、現在の成功は序章に過ぎないだろう。 だが、私たちは中国の神話があまりに早く崩れ落ちる場面をしばしば見てきた。 中国のジャック・ウェルチと呼ばれた張瑞敏が率いる家電企業ハイアール、ウォーレン・バフェットが投資して話題を集めたバッテリー・電気自動車メーカーの比亜迪(BYD)、米国証券市場に上場して突風を起こした太陽光関連業者サンテックパワーなど、今にも世界を征服するかに見えた企業等の相当数は、現在不渡りを出したり経営難に陥っている。 技術力不足や競争企業の乱立などで世界市場に堂々と踊り出る前に中国国内で崩れ落ちたことがその共通点だ。 フォーブスが警告した通り、アリババ熱風が“アリバブル”になるのか、新しい歴史の最初のページになるのか、見守る必要がある。

イ・ヒョンソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/657092.html 韓国語原文入力:2014/09/27 11:18
訳J.S(2231字)